DXがうまくいかない!その問題点と要因・解決策をまとめて解説

公開日:2023.10.16 更新日:2023.10.16

国内外のあらゆる分野で、DXの推進が求められています。しかし、実際には「自社ではDXがうまくいかない」と悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。DX白書2023では、「DXに相当する「新規製品・サービスの創出」と「顧客視点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」についてアンケート結果を載せています。それによると、上記質問にて「成果が出ている」と回答した日本企業は約20%に過ぎませんでした。一方米国では、同質問に対して約70%が「成果が出ている」と回答しており、日本においてはDXがうまくいっていないと感じている企業が多いと推察されます。

ただ、そもそもDXがうまくいかないと何が問題か、具体的に答えられない方もいるでしょう。また、うまくいかない場合、どう解決すればよいか頭に入っていれば、DXをより推進できるはずです。本記事では、DXがうまくいかない場合の問題点と要因に加え、その解決策も解説します。

引用:IPA「DX白書2023」

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DXがうまくいかないと何が問題?

今や世界中でDX推進が求められています。日本国政府においても、経済産業省は、2025年までにDXの推進に成功できないと国全体で年間最大12兆円もの損失が発生すると警鐘を鳴らしています(2025年の崖)。では、DXがうまくいかないと何が問題なのでしょうか。DXがうまくいかない場合に想定される問題点3つについて解説します。

  • 競争力低下
  • 生産性低下
  • セキュリティリスク増大

それでは、1つずつ見ていきましょう。

引用:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開〜」

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競争力低下

DXがうまくいかなければ、業界内での競争力が低下する恐れがあります。たとえば、マーケティング戦略でDXを活用すれば、マーケティング精度向上、新たなマーケティングモデル構築といった利点がありますが、十分に活用できなければ競合他社とマーケティングで差をつけられるため、企業の競争力が低下しかねません。
DXにおいては、新規のITシステム導入だけでは不十分で、ビックデータ活用や最先端の経営データ獲得などの目的が達成できないと、現状のマーケットに適応できなくなるリスクがあります。

生産性低下

DXがうまくいかないと、生産性の低下を引き起こす恐れもあります。生産性が低下してしまう大きな要因は、ITテクノロジーの導入自体をDXの目的にしてしまうことです。ITテクノロジーを導入したらどのようにビジネスに活用するかまで見据えておかないと、DXの効果は十分に発揮されません。DXの導入を進めただけでは生産性向上は実現できないのです。

セキュリティリスク増大

昨今のビジネス環境においては、数多くのITツールやデータのやり取りが欠かせませんが、それらを扱う際には情報漏えいやマルウェアなどセキュリティリスクへの対策が必須となります。ITツールやデータへの知見が低かったり適切に取り扱えないと、こうしたセキュリティリスクは増大してしまいます。DXをうまく取り入れられていなかったり、詳しい人材がいなかったりする状態では、セキュリティリスクへの懸念は払拭できません。

DXがうまくいかない要因

以下に3つ、DXがうまくいかない要因を解説します。

  • 経営サイドの理解不足
  • 目的が不明確なままDXを推進
  • DXを担う人材の不足

それでは、1つずつ見ていきましょう。


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経営サイドの理解不足

DXを成功に導くには、経営層自身がDXやITシステムを十分に理解し、率先して取り組む姿勢が欠かせません。DXの導入により今までとは異なる仕事の進め方などが求められることで、現場の業務が一時的に非効率的になる恐れがあります。場合によっては、従業員から不満が出たり、従業員がDXに後ろ向きになってしまったりするかもしれません。
そのため、経営層自身がリーダーシップを取る必要があるのです。経営層のDXへの理解が足りない状態では、DX推進に向けたリーダーシップを十分発揮することは難しいでしょう。

目的が不明確なままDXを推進

一口にDXと言っても、業務効率化や新しいビジネスモデルの創出など、その目的はさまざまです。目的が不明確なままDXを推進しても、具体的に必要なシステムやデータ、それらの活用方法などが定まりません。DXを推進しなければと焦る気持ちがあるかもしれませんが、まずは自社がDXを導入する目的をしっかりと見定める必要があります。

DXを担う人材の不足

DXの推進には、ITシステムの導入や運用に加えて、ビジネスを理解したうえでのデータ活用も欠かせません。そのためには、IT知識とビジネス知識を兼ね備えたIT人材が必要になりますが、DXを担えるIT人材の確保には、多くの企業が苦労している現状があります。DXの推進を主導的に行える人材をいかにして確保するか、頭を抱えている企業は少なくないでしょう。


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DXがうまくいかない場合の解決策

以下に4つ、DXがうまくいかない場合の解決策を解説します。

  • 社内の意識改革
  • 一元管理可能なシステムの構築
  • 長期的視点を持ったDX推進
  • リスキリングの活用

それでは、1つずつ見ていきましょう。


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社内の意識改革

社内業務でDXの活用が当たり前になるよう、従業員の意識改革を行います。その際に重要な点は、いきなり全社的に意識改革を進めようとしないことです。DXの推進に向けて急発進すると、変化に適応できず強いストレスを感じる従業員も出てくるでしょう。まずは一部の従業員、もしくは一部の業務に限定してDXを導入し、自社でDXを定着させるノウハウを蓄積させていきます。そこから徐々にDXの対象を増やしていくことで、無理なく社内の意識改革を進められるでしょう。

一元管理可能なシステムの構築

DXが失敗する要因の1つには、社内システムの問題があります。たとえば、導入するシステムが部署ごとにバラバラでは、社内で得られるデータ同士を総合的に分析することは困難です。また、老朽化して性能が劣るシステムを利用している場合、データ分析が思うようにすすみません。社内システム同士のつながりが複雑化、もしくはシステム自体がブラックボックス化すると、一層システム利用の実態把握が困難になるでしょう。
一元管理が可能なシステムを構築すれば、部署を横断して大量のデータを収集・分析できるようになります。社内連携がうまく取れるようになったり、部署ごとのシステムだけではわからなかった知見も得られるようになったり、多くのメリットを得られるでしょう。

長期的視点を持ったDX推進

DXを推進しても、売上向上やコストカットなどの目に見える効果はすぐに出るとは限りません。誰の目にもわかる効果が出るまでには時間がかかることを前提に、長期的な視点でDXの推進を行いましょう。長期的であっても明確なDX推進のゴールを示せれば、従業員や経営層が悩むことがなくなるはずです。また、定期的にDX推進の効果を定量的に示し、課題があれば改善していくことで、より確実にDXの効果が上がっていくでしょう。

リスキリングの活用

前述したようにDXの成功にはDX推進を担えるIT人材が不可欠ですが、優れた人材を採用するのは非常に難しい状況です。リスキリングとは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること」(経済産業省)。組織の事業戦略や体制の変革に伴って必要となるDX人材を、従業員に新たにDXの知識やスキルを身につけてもらう形で育成することは、DX推進に向けた有効な手段といえるでしょう。


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まとめ

本記事では、DXがうまくいかない場合の問題点と要因、その解決策を解説しました。DXがうまくいかない要因は会社ごとにさまざまです。まずは自社でDXを推進する目的や理由を見つめ直し、中長期的な視点を持つことが重要です。リスキリングで従業員全体にDXに関する知識を定着させていくことも、ポイントの一つといえるでしょう。

リスキリングについてお困りのことがありましたら、ぜひ「リスキリングナビ」をご覧ください。


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