「新事業進出補助金」は、中小企業が新たな市場に挑戦する際に活用できる制度です。
本記事では、2025年度第2回公募に対応した最新情報をもとに、制度の概要から申請条件、補助対象、審査基準、採択事例まで、よくある質問30項目をわかりやすく解説します。
目次
中小企業新事業進出補助金は、中小企業や小規模事業者が、これまで取り組んでこなかった製品やサービスを新たな市場に展開する際、その初期投資を補助する国の制度です。実施主体は中小企業庁、運営は中小機構が担っています。
この補助金は、新たな市場への挑戦を通じて中小企業の成長を促し、その成果として賃上げにつなげることを目的としています。国内市場の成熟や物価高騰、人手不足といった課題に直面する中、企業が前向きに事業転換へ踏み出せるよう、国が環境整備を支援する制度です。
新たな事業に取り組む日本国内の中小企業や小規模事業者が対象です。常勤従業員が1人以上いることが要件となっており、大企業や、それに準ずる企業グループは申請できません。
既存の事業とは異なる製品やサービスを、これまでとは異なる顧客層や市場に提供する取り組みを指します。自社の強みを活かしつつも、従来の延長ではない新たな価値を生み出す内容であることが求められます。
補助事業終了後3~5年の計画期間で、付加価値額または一人あたり付加価値額を年平均4%以上成長させる計画が必要です。付加価値額とは、営業利益や人件費などを含む企業の生産性を示す指標です。
補助事業終了後の3〜5年間にわたって、給与支給額を年平均で2.5%以上引き上げるか、または一人当たりの給与を、直近5年間の最低賃金の平均上昇率以上のペースで増加させることが求められます。あわせて、自社の最低賃金を、地域別最低賃金より30円以上高い水準に設定することも義務となっています。
申請には、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定し、自社ウェブサイトで公表していることが必要です。借入を行う場合は金融機関からの確認書も必要となります。また、みなし大企業や暴力団関係企業は対象外です。
新事業を実施するうえで必要となる、設備投資や技術導入、広告宣伝などの費用が補助の対象です。具体的には、機械装置の購入、システムの構築、建物の改修、試作の外注、クラウドサービスの利用、広告制作などが含まれます。
人件費や家賃、光熱費など日常的な経費、土地購入費、税金、既存設備の更新費などは対象外です。また、補助金申請の代行費用や手数料も認められません。
補助率は1/2で、企業規模に応じて上限が設定されています。従業員数20人以下の企業は上限2,500万円、最大で7,000万円まで補助されます。申請できる最低金額は750万円です。
賃上げを年平均6%以上行い、自社の最低賃金を地域最低賃金より50円以上高く設定する「大幅賃上げ特例」を選択すると、補助上限額が最大9,000万円まで引き上げられます。
第1回公募では3,000件超の申請があり、約37%が採択されました。採択率は決して低くありませんが、事業計画の完成度が問われるため、十分な準備が必要です。
2025年度は複数回の公募が予定されています。第2回公募は11月10日から12月19日まで申請を受け付けており、第3回は12月下旬に開始される見込みです。
申請は中小機構の電子申請システムを通じて行います。紙の申請書は受け付けていません。GビズIDプライムアカウントを取得してログインする必要があります。
GビズIDの取得、決算書などの必要書類の準備、行動計画の公表、そして事業計画書の作成が必要です。見積書の取得や金融機関との相談も早めに進めましょう。
1回の公募につき申請は1件のみで、書類の不備があると審査対象外になります。また、補助対象経費の契約や発注は交付決定後でなければ認められません。
まず、申請内容が要件を満たしているかどうかについて形式審査が行われます。そのうえで、有識者による内容審査が実施され、新規性や実現可能性、収益性、政策的な効果などが評価されます。
明確な市場ニーズに基づいた計画であること、自社の強みや差別化戦略が明確であること、そして実現可能な収益計画を持っていることが重視されます。
米国による追加関税の影響を受けた中小企業や、事業再生に取り組んでいる企業は、審査時に加点の対象となります。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)やカーボンニュートラルといった政策重点分野に貢献する取組も、審査上高く評価される傾向があります。
採択率は約3割強で、事業再構築補助金などと比べるとやや高めですが、競争は激しく、内容次第で結果が大きく分かれます。
精密加工業が航空宇宙分野に進出した例や、印刷会社がデジタルプラットフォームを開発した例など、異業種転換型の取り組みが多く見られます。
自社の強みを活かしながら、全く異なる市場の課題解決に挑んでいる点です。既存事業の延長ではなく、新しい価値を明確に示すことが成功の鍵です。
製造業が最も多く、次いで卸・小売、建設、サービス業が続きます。業種による有利不利はなく、事業内容の新規性が重視されます。
できません。同一企業の申請は1件のみです。複数案がある場合は一体の計画として整理してください。
必須です。取得には1〜2週間かかるため、早めの申請が必要です。
必要です。労働局に届け出たうえで、自社ホームページなどで公開しておく必要があります。
交付決定通知を受ける前に発注・契約した経費は対象外になります。
補助金の返還を求められる可能性があります。目標は「努力義務」ではなく「必達要件」として扱われます。
軽微な変更であれば可能ですが、大きく事業内容が変わる場合は補助対象外になることがあります。変更の際は、必ず事前に事務局へ相談し、所定の手続を行う必要があります。無断での変更は、補助金の減額や返還につながる可能性があるため注意が必要です。
補助事業終了後は「実績報告書」の提出が必要です。また、賃上げや付加価値の目標達成状況について、3~5年間の「事業化状況報告」も求められます。報告の遅延や不備があると補助金返還の対象になることがあります。
この「新事業進出補助金」は、単なる資金支援ではなく、中小企業が新たな市場で持続的に成長するための「きっかけ」を与える制度です。事業再構築や賃上げに取り組む企業にとって、今後の経営を左右する重要なチャンスといえるでしょう。
「新事業進出補助金を活用したいがどこから手を付けていいか分からない」
「申請手続きが複雑で難しく、申請スケジュールの管理が難しい」
「 受給までの資金繰りが不安で融資など含めて相談したい」
このようなお悩みごとは株式会社X-naviが全てサポートします!
これまでに数多くの補助金申請をサポートしてきた実績があり、補助金制度に精通した専門家が多く在籍しています。補助金を最大限に活用するためには、事前の準備や計画が成功へのカギとなります。申請から採択、実績報告までをトータルでサポートいたしますので、安心してお任せください。
補助金を活用して、事業の成長と成功を目指しましょう!
まずは無料相談から、ぜひお気軽にご相談ください。