中小企業の新たな挑戦を支援する「新事業進出補助金」が、2025年度よりスタートしました。本制度は、中小企業基盤整備機構が運営するもので、成長産業分野への転換や新たな製品・サービスの展開に対する支援を目的としています。
2025年7月に締切を迎えた第1回公募に続き、現在は第2回公募(締切:2025年12月19日)が進行中です。制度の基本的な枠組みに大きな変更はないものの、第2回では実務面のルールがより具体化されており、申請企業はこれまで以上に注意深く準備を進める必要があります。
本記事では、第1回から第2回にかけての主な変更点を項目ごとにわかりやすく整理しました。
目次
第1回では、「みなし大企業」や「同一事業者」に関する取り扱いは、公募要領冒頭の注意書きにとどまっていましたが、第2回ではこれらの内容が補助対象者要件に正式に組み込まれ、より明確かつ具体的に規定されました。
たとえば、親会社が50%以上出資している子会社は「同一事業者」と見なされ、グループ全体で1件のみ申請可能となります。個人が複数の企業を実質的に支配している場合も同様の扱いです。
また、「1公募につき1事業者1申請まで」といった応募制限も第2回から明文化されました。複数の新規事業案がある場合は、1つの事業計画書にまとめて申請する必要があります。
補助対象となる経費の区分については、第1回と第2回で大きな変更はありません。機械装置費、建物費、クラウドサービス利用料、広告宣伝費など、幅広い費目が引き続き対象とされています。
ただし第2回では、書面審査における評価項目として「経費の妥当性」が新たに追加されました。これにより、事業内容に対して明らかに過大な見積もりや、費用対効果の低い支出が含まれている場合は、減点対象となる可能性があります。
そのため、申請にあたっては各経費が新事業にとって本当に必要か、金額が市場水準と比較して適切かといった観点から、根拠を明確に示したうえで申請書を作成することがこれまで以上に重要です。
補助率は第1回と同様に一律1/2で、従業員規模に応じた補助上限額にも変更はありません(たとえば、従業員51〜100人の企業は最大5,500万円、賃上げ特例を適用することで最大7,000万円まで引き上げ可能です)。
一方で、第2回からは賃上げ特例の適用条件が、より具体的な数値で明示されました。補助事業終了後の3〜5年間にわたり、「年平均で給与を+3.5%以上」「事業場内の最低賃金を+20円以上」といった要件を達成する必要があります。
この条件は、補助上限の引き上げを目指す企業にとって非常に重要です。未達成の場合は、特例によって上乗せされた補助金の返還が求められるため、計画段階から慎重に設計することが求められます。
第1回公募では、減点に関する具体的な基準は明示されていませんでしたが、第2回ではこれが正式に明文化されました。特に以下のようなケースは、評価が低くなる可能性があります。
⚫︎新規性が乏しい(例:既存製品の単なる増産)
⚫︎経費の積算が不適切(費用根拠の説明が不十分など)
⚫︎SWOT分析や市場環境分析が曖昧
このような内容が含まれる場合は、採択の可能性が下がる恐れがあります。
また、口頭審査(ヒアリング)においてもルールが厳格化されました。第2回公募では、「申請者本人以外がプレゼンや質疑応答に対応した場合、不採択となる可能性がある」と明記されています。これは、外部のコンサルタント任せではなく、経営者自身が自らの言葉で事業内容を説明する姿勢が求められていることを意味します。
本補助金では、「新規性のある事業」であることが申請要件のひとつとなっています。第2回からは、新規性要件に該当しない例が具体的に示されました。
たとえば、以下のような内容は「新規事業とは認められない」と判断される可能性があります。
⚫︎過去に製造していた商品の再開
⚫︎製造方法を変更しても製品の性能や付加価値が変わらないケース
⚫︎顧客層や市場が従来と変わらない事業(単なる販路拡大など)
このように、既存事業の延長や改善にとどまる内容では、採択は難しくなっています。申請にあたっては、これまでにない技術やサービス、新たな市場への参入など、質的な変化や独自性を明確に打ち出すことが重要です。
第2回公募では、提出書類の一部が簡素化されました。たとえば、固定資産台帳や決算書の個別注記表の提出が不要となり、賃上げ計画書も特例要件を含む一体型の様式に変更されています。
一方で、事業計画書の記載ルールはより詳細になっており、SWOT分析や収支計画、KPIの構成や記載内容にも見直しが加えられています。
そのため、第1回で使用した計画書をそのまま流用するのではなく、第2回公募用の最新様式に沿って、あらためて作成し直す必要があります。
第1回公募は2025年4月22日から7月15日まで、第2回は9月12日から12月19日までと、公募期間の時期と進行スケジュールには大きな違いがあります。
特に第2回は年末の繁忙期と重なるため、準備期間が限られる点に注意が必要です。また、第1回では電子申請システムの不具合により締切が延長された経緯があり、第2回では「締切直前の問い合わせは避けてください」といった注意喚起も追加されています。
さらに、第3回公募は2025年12月中に実施予定とされており、今後申請を予定している企業は、スケジュールを逆算し、早めに見積取得や書類作成に取りかかることが推奨されます。
第1回と比較すると、第2回では申請要件や審査基準の明確化および厳格化が進み、申請に求められる事業計画の完成度がより重視される制度へと進化しています。
一方で、提出書類の簡素化や賃上げ要件の表明時期の緩和など、申請しやすくなる見直しも加えられました。
制度の基本構造に大きな変更がないからといって油断せず、第2回公募要領をしっかり確認し、最新の要件に基づいて事業計画を見直すことが重要です。
今後の公募でも変更が加わる可能性があるため、公式サイト等で最新情報をこまめに確認し、余裕をもった申請準備を進めましょう。
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