チームを上手にまとめて成果につなげられるリーダーがいるかどうかで、会社の業績も職場の雰囲気も大きく左右されます。今回は、結果を出せる優秀なリーダーの多くが満たしている7つの条件や、社内で優秀なリーダーを育てるポイントなどを紹介します。
目次
まず、ビジネスにおいてリーダーが果たすべき役割や、リーダーとマネージャーとの違いを解説します。
リーダーには、チームメンバーの能力・意欲を最大限に引き出して、売上・利益などの成果目標を達成するという役割があります。たとえば、目標達成に向けてメンバーのモチベーションを上げたり、一人ひとりが能力を伸ばせるように指導・育成したりします。
リーダーとマネージャーの違いは、チームメンバーとの関係性です。リーダーは、メンバーの精神的支柱となってチームを先導します。一方マネージャーは組織の指示に従ってチームを管理する存在で、メンバーとの間には上司・部下という明確な上下関係があります。
リーダーはあくまでチームをまとめる存在であり、組織内で正式なポジションがあるわけではありません。マネージャーの場合は「○○課長」「○○部門責任者」など会社組織の中で具体的な役職がもうけられていて、管理職手当がつくなど待遇面でも一般社員と異なります。
チームをまとめて成果を出せるリーダーには、メンバーとの関わり方や仕事の取り組み方にいくつか共通点があります。今回は、それらの共通点を「優秀なリーダーの条件」として7つ紹介します。
優秀なリーダーの条件1つ目は、メンバーの考えを尊重しつつ自分の考えを正直に伝える、誠実なコミュニケーションができることです。
リーダーがメンバーの意見を一切受け入れず自分の考えを押し通してばかりいたら、メンバーは萎縮して本来の能力を発揮できなくなります。「どうせ自分が意見を伝えたところで何も変わらない」とモチベーションが下がるメンバーも出てくるでしょう。反対に、自分の主張をはっきりさせずメンバーの顔色を伺いながら進めるリーダーも、自信がなさそうに見えてメンバーからの信頼を得られません。
チームをまとめるためには、リーダーがメンバーに対して心を開き、メンバーの意見に耳を傾ける誠実な姿勢が重要になります。
優秀なリーダーの条件2つ目は、自分一人で仕事を抱え込まずチームのメンバーを信頼して仕事を積極的に任せられることです。
リーダー1人だけの能力が高くても、1人でこなせる業務には量・質ともに限界があるためチームとして大きな成果は出せません。メンバーに適度に仕事を任せ、個々の能力を伸ばすほうが確実に目標を達成できます。また、メンバー一人ひとりのスキルが磨かれれば、企業の組織力強化にもつながります。
人材育成に力を入れ、チーム全体で成果を追い求める仕組み・雰囲気をつくれる人が優秀なリーダーと言えるでしょう。
優秀なリーダーの条件3つ目は、業務を属人化させない仕組みをつくり、長期にわたって安定的な成果を出せることです。
たとえば、ある1人のメンバーしか関与していない業務があると、そのメンバーが休職・退職などで突然チームを抜けた場合に仕事がうまく回らなくなる可能性があります。また、業務のマニュアル化や仕組み化を進めず一人ひとりの判断ばかりにゆだねていると、個人の考えやモチベーションなどによって仕事の質にばらつきが出て、一定の成果を上げられません。
そのためリーダーには、メンバーの能力や判断、モチベーションなどに依存しすぎないチーム運営が求められます。
優秀なリーダーの条件4つ目は、考え方にしっかりとした軸があり、どんなときもブレずに判断できる力があることです。
リーダーの意見がコロコロ変わると、リーダーの指示に合わせて業務に取り組んでいたメンバーは、自分の働きが水の泡になったと感じて無力感に襲われてしまいます。成果の観点から考えても、費やした時間やコストが成果に結びつかなくなるのは非効率的です。リーダーの考え方に一貫性がなければ、メンバーは「これ以上振り回されたくない」と感じ、強い信頼関係も築けません。
そのためメンバーから信頼されるリーダーになるには、自分の考え方に明確な軸を持ち、メンバーへの指示に対して責任を負う必要があります。
優秀なリーダーの条件5つ目は、今取り掛かっている業務の一歩先の展開を常に予想し、チームの仕事がスムーズに進むよう取り計らえることです。
たとえば、プロジェクトの企画案を考える場合、企画の中身を詰めるだけでなく上層部に提案したときにどのような質問がくるかも想定しておけば、実際の提案の場面で上層部が求める情報を提供でき、提案のやり直しを指示される可能性を減らせます。
リーダーはメンバーよりも業務の全体像を捉えやすい立場であるため、先の展開を予想する役目をリーダーが担えれば業務の効率化や目標達成につながりやすくなります。
優秀なリーダーの条件6つ目は、業務上の問題が起きてもその場の状況に応じて柔軟に対処できることです。
トラブルが発生すると、原因の追求や解決策の検討、スケジュールの再調整、関係各所への報告など、やるべき事項が多く発生します。普段よりもリーダーシップが求められる場面であるため、いち早く状況を察知してチームを先導する必要があります。
問題が起きたときにリーダーとして臨機応変に行動するためには、起こり得るトラブルを日頃から想定し、対処法を前もって検討しておく姿勢が大切です。
優秀なリーダーの条件7つ目は、自分のチームのミスや結果に対して最終的な責任を持つ覚悟があることです。
リーダーがチームの全ての責任を負う姿勢を見せれば、メンバー一人ひとりが失敗を恐れずに挑戦でき、本来の能力を十分に発揮できます。リーダーとしての覚悟を決めていると伝われば、メンバーや周囲の社員からの信頼も厚くなるでしょう。
社内で優秀なリーダーを育成するためには「リーダーの評価基準を明確にする」「リーダー候補者に期待する役割やメリットを伝える」「リーダーシップ研修を実施する」といった取り組みが必要です。
リーダー育成に取り掛かるためには、まず自社内でリーダーの評価基準を明確にすることが大切です。リーダーに求められる行動や成果などを具体的に定めておけば、リーダーの素質を持った人材を候補者としてリストアップしやすくなり、リーダー抜擢後も会社から期待された役割を果たせているか判断しやすくなります。
リーダーの評価基準は会社のビジョンやミッション、事業戦略などに基づいて考え、「マネジメント力」「コミュニケーション力」「成果」「意欲」「柔軟性」「周囲からの信頼」など細かな項目に分けて整理しましょう。
会社でリーダーの素質があると見込んだ候補者には、その人に期待する役割やリーダーになるメリットなどを伝えることも、リーダー育成では欠かせません。
候補者は、リーダーになると責任や業務が増えるため「ネガティブな影響しかないならリーダーになりたくない」と考えるケースもあります。そのため、会社としてその候補者にリーダーを任せたい理由を伝えて、会社の期待が大きいと理解してもらう必要があります。また、「リーダーだからこそできる経験や人事評価・キャリアへのポジティブな影響もある」などメリットを伝えて、前向きに検討してもらえるよう工夫しましょう。
今のリーダーやリーダー候補者にスキルを伸ばしてもらう対策として、リーダーシップ研修も一つの手です。リーダーシップ研修とは、リーダーとしての役割や心構えを知り、コミュニケーション力やマネジメント力などリーダーに必要なスキルを学ぶプログラムです。
リーダーに抜擢されて何をしたらいいか分からない人でも、研修を通してリーダーとしてあるべき姿を具体的に描けるようになれば不安や恐怖の軽減につながるでしょう。
リーダーにはチームの力を最大限に引き出して目標を達成する役割があります。優秀なリーダーはチームをまとめ会社から期待されている成果を出すために、メンバーに仕事を任せる、属人化を防ぐ仕組みをつくるなど工夫しています。
社内で優秀なリーダーを育成するには、まずリーダーの評価基準を明確にしましょう。そのうえで、リーダー候補者や現在のリーダーに対して期待している点を伝え、必要に応じてリーダーシップ研修なども実施します。
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