チームビルディングの目的とメリットは?フレームワークや事例を説明

公開日:2023.06.29 更新日:2023.06.29

チームでコミュニケーションが取れなかったり、目標の共有ができなかったりして、チームがうまく機能しなかったという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。新型コロナの影響でリモートワークを取り入れ、それぞれのメンバーが一か所に集まるという機会が少なくなった中で、チームのパフォーマンスをどうすれば高められるかを考える必要があります。今回はチームビルディングの目的やフレームワーク、事例についてご紹介します。

チームビルディングとは?

チームビルディングとは、チームのメンバーが自らの能力やスキルを発揮し、チーム全体のパフォーマンスを最大化するための取り組みです。チーム作りのワークや研修プログラムをチームビルディングと呼ぶこともあります。

チームビルディングの目的

チームビルディングの目的は、チームの生産性向上です。個々のメンバーが優れた能力やスキルを持っていても、チームとしてのまとまりがなく、期待していたような結果を上げられないケースは少なくありません。個々のメンバーの能力開発だけではなく、チーム全体が有機的に機能し、高いパフォーマンスを発揮できるようなチームビルディングが不可欠です。近年は新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークを導入する企業が増加し、個人の生産性は向上した一方で、チーム全体のパフォーマンスが低下したというケースが見られます。チームビルディングはこのような状況を改善する手立てとなるでしょう。

チームビルディングのメリット

チームビルディングにはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下の2つのメリットが挙げられます。

コミュニケーションの活性化

1つ目のメリットはコミュニケーションの活性化です。先ほど述べたように、リモートワークの導入によってコミュニケーション不足が起こりやすくなります。厚生労働省の第1回 「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」(2020年8月)の参考資料「テレワークを巡る現状について」には、リモートワークの導入状況や課題が記されています。この資料によると、従業員側からは、リモートワークの不便な点として、「社内での気軽な相談・報告が困難」(34.5%)、「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」(27.1%)、企業側からはテレワークの課題として「社内のコミュニケーション」(55.5%)が挙げられています。

内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」を基に加工して作成

東京商工会議所「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート調査」を基に加工して作成

コロナが落ち着き、企業は従業員の出社機会を増やす傾向にありますが、リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッド型の働き方が主流となる中で、対面でのコミュニケーション機会の減少は避けられません。チームビルディングによってチームでのコミュニケーションが増加し、各メンバーが問題意識を共有できるようになります。

アイデアの創出

2つ目のメリットはアイデアの創出です。チームビルディングによって活発にアイデアが出て、ビジネスチャンスが生まれる可能性があります。一人でアイデアを考えても、思いつくアイデアは限られています。良いアイデアだと本人は思っても、実は数年前のアイデアだったということもあります。新規事業につながるようなアイデアを出すためには、各メンバーがそれぞれ違った視点でアイデアを提案し、提案されたアイデアを別のメンバーが膨らませることが不可欠です。チームビルディングはこの共同作業を後押しします。

チームビルディングで使えるフレームワーク

ここでは、コミュニケーションの円滑化のためのフレームワーク「ジョハリの窓」とチームの成長段階を理解するためのフレームワーク「タックマンモデル」の2つをご紹介します。

ジョハリの窓

人間は多面性を持つ生き物です。一人の人間はさまざまな面を持つため、自分の性格が周囲によく理解されていなかったり、自分の気づかない一面を周囲から指摘されたりした経験があるでしょう。

ジョハリの窓(Johari Window)は、自己開示と他者からのフィードバックによって、自己理解の促進やコミュニケーションの円滑化を図るフレームワークです。ジョハリの窓では、自己を「自分も他人も知っている自分(開放の窓)」「自分は知らないが他人は知っている自分(盲点の窓)」「自分は知っているが他人は知らない自分(秘密の窓)」「自分も他人も知らない自分(未知の窓)」の4つの領域に分けます。自己開示によって秘密の窓を狭める、あるいは他社からのフィードバックによって盲点の窓を狭めることで、開放の窓が広がり、チームのコミュニケーションが円滑化されます。

ジョハリの窓を利用する際の注意点は、相手に対してフィードバックを行う際、ポジティブな言葉を選ぶことです。相手からネガティブな言葉をもらうと、誰しも心を閉ざしてしまいます。たとえば、自分の感じたことを包み隠さず話す性格の人に対しては、「あけすけに話をする」とフィードバックするのではなく、「何でも率直に話してくれる」とポジティブな言葉に言い換えてフィードバックすると良いでしょう。

タックマンモデル

心理学者のブルース・タックマンによって提唱されたタックマンモデルは、チームの成長を5つの段階に分けて理解しようとするフレームワークです。チームの成長段階に応じた施策を考える材料を提供してくれるでしょう。

1.形成期:お互いについて理解しておらず、共通の目的意識も持てていない

2.混乱期:お互いのことが分かり始め、意見を述べるようになるが、対立が生まれる

3.統一期:お互いを理解し、共通の目的意識を持てるようになる

4.機能期:チームが組織として機能し始め、メンバーはリーダーの指示がなくとも主体的に行動できる

5.散会期:チームが目的を達成し、解散する

チームビルディングの事例

チームビルディングの事例として、パナソニック リフォームと日清食品の2社を取り上げます。

パナソニック リフォーム株式会社

パナソニック リフォーム株式会社は、リフォーム工事の請負、設計、施工管理、アフターサービスに携わる、パナソニックのグループ会社です。同社は入社3年目の社員を対象に、kintoneやサイボウズ Officeといったグループウェアを開発するサイボウズ株式会社のチームビルディング研修を実施しました。この研修では、サイボウズチームワーク総研が制作した「わがままカード」を用いた自己開示のワークを取り入れました。このカードゲームは、価値観の書かれたカードを5枚ずつ配り、残ったカードを中央に重ねて順番に1枚ずつ引いて、自分の価値観から最も遠いカードを捨てるというルールです。カードを捨てるときは表向きにして、理由も述べなくてはいけません。価値観の開示を通して価値観の多様性を知ることが本ワークの狙いです。

日清食品ホールディングス株式会社

即席めんなどの製造および販売を手掛ける日清食品は、無人島サバイバル研修を実施しています。この新人管理職を対象にした無人島研修では、参加者は私物をすべて没収され、与えられた最低限のアイテムを活用して3日間の無人島生活を送ります。チームで課題解決に取り組み、リーダーシップや団結力の向上を図るのがこの研修の目的です。無人島という厳しい環境で生活することで心身を鍛え、お互いを尊重しながらのコミュニケーションやチームワークの重要性などを気づくことができるといいます。

まとめ

近年は職場におけるダイバーシティが進み、一人ひとりの価値観もさまざまです。チームビルディングは、異なる価値観を持ったメンバーがいきいきと働けるような職場づくりに貢献します。チームが組織として十分に機能していないと感じる場合は、チームビルディングの施策を実施してみてはいかがでしょうか。

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