チームビルディング事例に見るコミュニケーション活性化とチームワーク強化

公開日:2023.07.05 更新日:2023.07.05

チームの悩みはさまざまですが、その多くはコミュニケーションやチームでの連携に関する不安ではないでしょうか。今回はチームビルディングの事例を4つご紹介します。それぞれの企業がどのようにしてチームの課題を解決したのか、ぜひ参考にしてください。

チームビルディングとは?

チームビルディングは、チームのメンバーが能力やスキルを最大限発揮し、目標を達成できるようにするための取り組みです。チームビルディングを目的とするワークや研修をチームビルディングと呼ぶこともあります。

チームビルディングの企業事例4選

ここでは、4つの企業事例をご紹介します。

マシュマロチャレンジ

AIチャットボットのスタートアップである株式会社ZEALSはマシュマロチャレンジを実施しました。マシュマロチャレンジは誰でも簡単に取り組めて、チームでの役割分担やコミュニケーションの重要性を学ぶことができるアクティビティです。このゲームのために用意するものは、乾燥パスタ20本、90cmのマスキングテープ、ひも1本、マシュマロ1つ、はさみ1つ、測定のためのメジャー(巻き尺)1つです。4人1チームで18分の間にできるたけ高いタワーを立てて上にマシュマロを置き、最も高いタワーを立てたチームを勝者とします。マシュマロはパスタに刺してもかまいません。

同社は、優れたアイディアを持つだけではなく、そのアイディアを制限時間内に形にすること、役割分担後のコミュニケーション、事前にテストを行うことなどの重要性をこのゲームを通して学べたとのことです。マシュマロチャレンジはTEDの講演動画(日本マシュマロチャレンジ協会のホームページで視聴可能)でも取り上げられていますので、興味ある方は視聴をおすすめします。この動画によると、どうやって高いタワーを作れば良いのかじっくり時間をかけてからタワーを作り始める大人よりも、深く考えずにとにかく手を動かしてタワーを作り始め、試行錯誤を繰り返しながらタワーの高さを伸ばしていく幼稚園児のほうが良い成績を修めるのだそうです。

ボッチャ

大手旅行会社の株式会社JTBは法人向けに研修サービスを提供しており、スーパーマーケットチェーンを展開するサミット株式会社の新入社員研修において、ボッチャのプログラムを実施しました。ボッチャはパラリンピックの正式種目で、ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤(先攻チーム)と青(後攻チーム)のそれぞれ6つのボールを、投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競います。東京パラリンピックで日本選手の活躍を目にしたという方も多いのではないでしょうか。

サミットは前年、新型コロナウイルス感染症の影響により、新入社員研修は座学研修のみの実施となり、毎年行っている合宿研修で得られるような新入社員同士の交流の活発化やつながりの形成ができず、店舗配属後に課題を抱えていました。参加者の体力やスキルに関係なくチームで取り組むことができ、新入社員同士の結びつきを強める方法としてボッチャを実施しました。

社内YouTubeチャンネル

定額制でソフトウェア受託開発を行う株式会社ソニックガーデンは、社員同士のコミュニケーションを活性化するため、社内テレビ放送を取り入れています。同社は、新型コロナウイルス感染症の流行前から全社員リモートワークを導入しています。上司・部下の上下関係もないフラットな組織であり、セルフマネジメントを重視しています。しかし、社員数の増加により、会社の価値観の共有や各メンバーの業務の把握が難しくなるなど、社内コミュニケーションに課題を抱えるようになりました。また、従来実施していたリアルでの会社合宿やイベントの開催をコロナ禍で延期せざるを得なくなり、社内コミュニケーションを活性化するための手立てを模索していました。

そこで同社は社内YouTubeチャンネル「SGTV(ソニックグループTV)」を始めました。SGTVは毎週金曜日のお昼に1時間ライブ放送されます。SGTVの視聴は強制ではありません。SGTVの制作に携わる社内広報チームが心掛けている点は、社員が自主的に視聴したくなる番組作りです。毎週違う社員をゲストに迎え、テーマに沿ったプレゼンを行ってもらうことで、その社員の人柄を広く知ってもらうことを期待しています。以前は制作側がテーマを決めてゲストにプレゼンをしてもらう形式でしたが、現在はゲストが話をしやすいように、あらかじめ複数用意したテーマの中から選んでもらうように変更しました。

SGTVの評判は非常に高く、視聴者の約95%がほぼすべての回を視聴し、その半数以上が「ただ純粋におもしろいから」という理由で視聴しているというアンケート結果が得られています。同社は全員がリモートワークのため、社員同士対面で接する機会が限られています。しかし、SGTVを通して社員の人柄を知ってもらうことによって、社内コミュニケーションの活性化はもちろん、自社が重視するザッソウ(雑談・相談)の浸透にプラスの影響をもたらしています。

部活動

ダイレクトリクルーティングサービスを提供する株式会社ダイレクトソーシングは、社内コラボレーションを促進するための手段として社内部活動を始めました。同社には人材業界出身者はおらず、多彩なバックグラウンドを持つ人材が集まっています。同社は社員一人ひとりのスキルや能力を最大限発揮してもらうために、在宅用ディスプレイを支給してリモートワークを推奨したり、勤務時間内に自由に時間を使える「ショートバカンス制度」を導入したりするなど、自由に働ける環境をメンバーに提供してきました。

メンバー個人の能力は高く、このような施策によって業務効率は向上したものの、自由な環境によってメンバー同士のコラボレーションが生まれづらくなっていました。当初は毎月1度の全員参加ミーティングで会社とメンバーについて理解できていましたが、社員数が増えてくると同じチームのメンバーについては理解できていても、他のチームのメンバーや会社全体の状況については把握が困難になってきました。

この現状を改善すべく、社内の現状分析から生まれたアイディアが部活動です。社員が自由に集まって「〇〇部」とついた活動が行われていたところに目を付け、部活動を奨励したのです。最初に「筋トレ部」「フットサル部」、続いて英語を話せるメンバーとランチをしながら英語のレッスンを受ける「英語ランチ部」が発足しました。その他、顧客満足度向上を考える「顧客満足度アップ部」、スクリプト(プログラムコード)をかけることを目指す「スクリプト部」、データ分析の手法について考える「統計部」などが生まれています。

部活動は同社のビジネスにも良い影響をもたらしました。スクリプト部は、営業担当者がクライアントに提示するデータを作成するための社内ツールを開発しました。開発したツールに数値を入力するだけで、必要なデータが出力されます。部活動のおかげで、各メンバーが自分の役割にとらわれずに自由に能力を発揮できるようになりました。システム開発のメンバーではなく、営業担当者がツールを開発するというケースも生まれています。部活動の取り組みがスタートする前は、会社に対する社員の総合満足度は74ポイントでしたが、スタート後は82ポイントに上昇しています。

まとめ

今回はチームビルディングの事例をご紹介しました。チームビルディングは社内コミュニケーション活性化やメンバー間の結びつきの強化を促進します。自社が抱える課題に合わせてチームビルディングに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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