社員のモチベーションが低い原因とは?人事担当者ができる対策を詳しく解説!

公開日:2023.11.24 更新日:2023.11.24

「モチベーション」という言葉は多岐にわたり活用されますが、ビジネスの世界では「業務への興味や意欲」を示しています。

誰しも大切な業務に取り組む際、モチベーションが低くなり、期待通りの成果が出なかったという経験があるのではないでしょうか。

タイミングよくモチベーションを引き上げることは思ったより困難であり、従業員のモチベーション低下の要因とそれに対する対策は、人事担当者が確実に理解していなければなりません。

そこで当記事では、社員のモチベーションが低く落ち込んでしまう理由とその改善策について詳しく解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

社員のモチベーションとは

モチベーションとは、個人が特定の目標や方向性に向かって積極的に行動を起こすための推進力や、行動を続けるためのエネルギー源を指します。ビジネスにおいてモチベーションは、「社員の仕事に対する熱意」を意味し、積極的な行動を引き出すことは「動機付け」と称される場合もあります。
アメリカの調査会社ギャラップが発表した「グローバルな労働環境調査」(2022年)では、我が国における「職場での充実感」を感じている社員の比率は僅か5%に過ぎないという衝撃の結果でした。
調査対象となった145ヵ国中、日本はイタリアと並び最下位でした。

参考:日本の「熱意ある社員」5% 世界は最高、広がる差|日本経済新聞

参考:ニッセイ基礎研究所|日本の従業員エンゲージメントの低さを考える

社員のモチベーションが大切な理由

社員のモチベーションが大切な理由の一つに、モチベーションが高いことで自発的に業務に従事し、良好な生産力を示せる点があります。
どの組織でも、気力を失っている人や意欲の低下した人が存在します。職場の雰囲気自体に活気がない場合もあるでしょう。そのような環境にモチベーションの高い人が参入すると、周囲のチームメンバーは「あの人のように頑張りたい」と意識するなど、ポジティブな影響を受けます。
全体のモチベーションが低かった場合でも、高いモチベーションを持つ人材が一人加わっただけで周囲のメンバーに活気が広がり、組織全体が活性化するケースは珍しくありません。

社員のモチベーションが低下する理由

社員にモチベーションを保って仕事をしてもらうためにも、モチベーションが低下する要因を理解することは重要です。この章では、社員のモチベーションが低下する状況を詳しく解説していきます。

仕事にやりがいがない

自身が望む仕事と現状の仕事との間に大きな乖離があると、社員のモチベーションは低くなりがちです。自分がやりたいと思える仕事でなくては、モチベーションはそう簡単に湧かないものでしょう。
また、仕事における達成感の欠如も、モチベーションを低下させる原因となります。これは、特に繰り返す作業が多い業務で見られるケースです。
成果が直接的に感じられない業務に長期間携わっていると、仕事をしている目的を見失いがちです。そのような状態に陥ると、モチベーションは低くなってしまう可能性があります。

労働時間が長すぎる

適切でない労働環境は社員のモチベーションを著しく落とす要因の一つです。具体的には、勤務時間が長引きすぎる、休日が不足している、ライフイベントの際に休みを取得するのが難しいといった状況が考えられます。体力的な過負荷が続けば、精神的に健康を維持するのも困難になります。
上司がそのような状況にある社員に気づかないと、結果としてその社員が離職してしまう可能性が高まります。自身が疲労困憊している状況に加えて周囲からのサポートもなければ、モチベーションが低下するだけではとどまらず、退職という選択肢が社員の頭に浮かんでしまいます。

人間関係が悪い

職場での人間関係が不和な状況は、仕事への熱意が削がれることがあります。業務連携もスムーズに行えず、ストレスを抱え込む事態になるかもしれません。
人間関係の悪化は、職場の雰囲気を不安定なものにし、仕事への集中力を損なう可能性があります。

待遇が悪い

給与や福利厚生といった待遇面も、モチベーションを左右する要因となります。これらは働くための主要な動機づけとなり、対価が不十分だとやる気の喪失につながってしまいます。
仕事がやり甲斐のあるもので職場の人間関係が良好でも、報酬が低ければ働く意欲を持続するのは難しいでしょう。プライベートの時間を犠牲にして仕事をしたとしても、その対価が十分に得られければ、モチベーションを低下する一方です。
結果として、条件が良い会社への転職を考えてしまうかもしれません。

人事評価に納得できない

昇進や昇給などの適切な評価は、モチベーションを形成し、仕事の意欲を持続するための重要な要素ですが、業績が上がっているにもかかわらず、それが適切に評価されないと、モチベーションは低下してしまいます。
また、自己評価と評価結果が大きく異なるケースもあります。自己の認識よりも評価が高かった場合は嬉しいサプライズになりますが、逆に思ったよりも評価が低かった場合は、その時点でのモチベーションが低下すると共に、この現場にいても今後も評価されないと感じるなど、将来への不安に繋がることが懸念されます。
そのほか、同じ程度の業績を上げた同僚と比較して低評価を受けるといったケースも、著しいやる気の低下に繋がるでしょう。

社員のモチベーションが低いことで起きる問題とは

モチベーションが低下した社員は、仕事に対する熱意を失い、自発的な行動を起こさなくなったり、やるべき仕事だけをこなしたりするようになります。こうした姿勢は周囲にも好ましくない影響を及ぼします。
ここでは、社員のモチベーションが低下するとどのような影響があるのかを説明します。

自主性が失われる

モチベーションの低下は自主的な行動を喪失させます。職場での積極性が失われると、上司からの指示や最低限の業務を遂行するだけという状況に陥ります。
これにより、職場でのやらされている感が際立ち、さらに主体性を持った働き方が難しくなっていきます。主体性のない働き方では良い成果も得られず、評価も上がらないという悪循環になってしまいます。

生産性が下がる

自発的な行動が起こせなくなる、チームワークが乱れるといった負の影響は、最終的に企業の全体的な生産性を低下させることに繋がります。
モチベーションが低い社員による悪影響が他の社員にも伝播し、個々人の問題から全体の問題へと拡大する可能性もあるでしょう。
企業の生産性が低下すると、残業時間の増加や売上の減少による給与カットなど、悪いスパイラルに陥ることもあります。そのため、モチベーションの低下は個々の問題ではなく、企業全体として取り組むべき課題といえます。

勤務態度が悪くなる

突然の遅刻や早退、欠勤が増加したり、これまで必要があれば応じていた残業を行わなくなったりしたら、仕事への情熱が失われていることが懸念されます。
また、普段よりも服装や身だしなみが整っている日が増えたり、勤務時間中に非業務関連の通話を頻繁に行ったりしている様子が見受けられれば、新たな仕事を探している可能性もあります。
日常的に度々席を離れたり、急に自宅勤務の日が多くなったりする場合も、何らかの心情の変化があると推測できます。

離職率が上昇する

モチベーションが不足している社員が増えると、離職率が上昇してしまいます。モチベーションの低下は、企業での目指すべき目標を持つことを困難にします。その結果、業務や組織への関心が徐々に薄れ、転職を視野に入れる人も出てくるでしょう。
離職率が高い職場は、求職においても不利となり、新しい人材の雇用が難しくなるため、人事面における大きなリスクになります。

社員のモチベーションを高める方法

社員のモチベーションを高めることは、組織の生産性向上や離職率低下に働きかける要素となりますが、それは簡単に達成できるものではありません。
それぞれの社員が持つニーズや価値観を理解したうえで、働きがいの提供、適切な報酬制度や評価システムの構築が求められます。
この章では、具体的な手段や取り組みについて解説します。

ワークライフバランスを充実させる

ワークライフバランスとは、仕事とプライベートのバランスが取れた状態を示します。極度の長時間労働や休日出勤により心身のストレスが大きい状況では、ワークライフバランスは満たされません。残業が常態化し、未完了の仕事を家庭に持ちこむような状況が続いている職場であれば、仕事に対するモチベーションは低下し、作業の効率性も損なわれてしまいます。
仕事とプライベートに明確な境界線を引くことは、生活リズムにメリハリをつける起点になります。まずは職場環境や制度を見直してみましょう。

透明性のある人事評価制度を導入する

どのような行動が評価に結びつくのかがわかりやすい評価制度は、社員の目標設定を容易にします。明確な目標があると日々の業務にも取り組みやすくなり、仕事に対するモチベーションは向上します。
さらに、職位の昇進や昇給の条件を明らかにすることも、モチベーションを上げる要素となります。これらが明示されると、社員は自身の人生ステージに応じたキャリアプランを計画でき、組織への長期的なコミットメントを生み出す動機となります。

成功経験を何度も積ませる

成功体験を重ねることにより自己承認感が醸成されると、モチベーションが向上します。自己実現の欲求が満たされれば、もっと上達したいと希求する気持ちが生まれるでしょう。
成功体験は小さなものでもかまいません。たとえば、スケジュールに則った資料作成といったものでも、繰り返すことでモチベーションの向上が期待できます。
高度な成果を求めると、成功体験の回数が少なくなるうえに失敗の可能性が高まります。まずは小さな成功体験を頻繁に経験させる点に重きをおきましょう。

社員の声に耳を傾ける

部下の話す意見に耳を傾けることで、社員のモチベーション向上を支援できます。働き方は社員によって多様であり、たとえば男性社員でも子育てに忙しく、育児休暇や短時間勤務を求める人がいるかもしれません。
普段の対話や面接の場で、このような本音を引き出すことができれば、働きやすい環境を創出するための有益な情報となります。相手の感情に寄り添い傾聴することで、単に言葉の表面だけでなく、相手の真の感情や意見を理解できるようになります。
また、対話を大切にすることで、職場での潜在的な問題を早期に発見できる可能性もあります。真剣に話を聞いてくれる上司の存在は、職場で安心感を抱くための重要な要素です。結果として業務の効率も向上するでしょう。

社員への期待を明確に伝える

仕事の重要性を伝えないまま業務に従事させると、社員はなぜ働いているのか疑問を抱き、モチベーションが損なわれる可能性があります。そのため、各社員に対して仕事の重要性や、組織内での期待を明確に伝えることが重要です。
たとえば、業務を配分する際に「あなたの〇〇という能力はプロジェクト成功のために必要不可欠だ」と伝えれば、個々の自尊心を刺激し、モチベーションアップにも繋がるでしょう。

実際に社員のモチベーション向上に成功した企業例

社員のモチベーションを高めるための実践策を導入し、成功している企業の事例を3つご紹介します。

ザ・リッツ・カールトン|ファーストクラス・カード

ザ・リッツ・カールトンは、マリオット・インターナショナルが世界規模で展開している老舗高級ホテルブランドです。
同社では、言葉だけでなく目に見える形で感謝の意を示し、互いに称賛することを推奨するために、社員全員に「ファーストクラス・カード」と呼ばれる感謝の印を提示する施策を導入しました。
このカードは、単に同僚に対する感謝の気持ちを形にするものではなく、人事評価にもかかわってくる点がポイントです。仲間を助ける行為(カードを送られる側)と、それに対して感謝を示す行為(カードを送る側)、双方がプラス査定の評価を受けます。
カードを送られた社員は、自分の行動に対して目に見える形で感謝されると共に仲間や会社から評価を受けることで、自分自身の存在価値を確認し、モチベーションを向上させることができます。
カードを送る社員も、感謝という目に見えにくいものを可視化できるため、社員同士で助け合う好循環が生まれるようになったといいます。
ファーストクラス・カード制度を導入してからは、社員全体の団結力が増し、互いに助け合う文化が醸成され、顧客に対しても献身的な精神がより深く根付くようになりました。

株式会社カヤック|サイコロ給

株式会社カヤック(通称:面白法人カヤック)は、神奈川県鎌倉市に本社を置くWeb制作・企画・運営会社です。
同社では、給料日前の毎月25日になると、毎月の給料がサイコロの出目によって決定される「サイコロ給」が開催されます。
具体的には、「基本給×(サイコロの出目)%」が追加給与として支払われる仕組みになっており、たとえば基本給が30万円の従業員がサイコロを振って6を出したら、30万円×6%である1万8千円が追加で支給されるという仕組みです。
この制度の大切な点は、絶対に給与が減ることはないという安心感と、追加の給与が運で決まるという楽しさにあります。社員の中には6の目を出すためにサイコロの振り方を研究している社員もいるそうです。
これは、「人の評価は曖昧である。だからこそ、その不確定性に左右されずに、仕事を楽しんでほしい」というカヤック社の企業文化ならではのアイデアといえます。

参考:面白法人カヤック公式

サイボウズ株式会社|育自分休暇制度

サイボウズ株式会社は東京都に本社を置くソフトウェア開発会社です。
ITツールの運営を手掛けるサイボウズは、かつて高い退職率に頭を悩ませていました。その打開策として取り入れたのが、2012年から導入された「育自分休暇制度」です。
育自分休暇制度とは、サイボウズの正社員が退職を希望した場合、最長6年までなら再び戻ってこられるという制度です。退職者が「いつでもまた仲間と共に働ける」という安心感を持ちつつ、新たな挑戦を行える環境を提供するためにつくられました。
この制度を利用した経験を持つ社員は、サイボウズ以外の企業で働いた経験から、サイボウズの環境は当たり前に与えられているものではないことや、サイボウズ以外にも多様な働き方や考え方があることを理解できたと語っています。

休暇中に得た経験を通じて、以前よりもサイボウズの製品や思考法に共感し、サイボウズへの再就職を選んだことに大きな納得感を感じているそうです。

このように、育自分休暇制度をはじめとしたさまざまな制度導入により、サイボウズではかつて30%近くあった退職率を4〜5%まで大幅に下げることに成功しています。

参考:ワークスタイル-サイボウズ株式会社

まとめ

社員のモチベーションが低下する主な原因は、会社環境や対人関係に起因しています。

モチベーションは組織の成果に直結する重要な要素であり、向上させるための適切な動機付けが大切です。

役割の明確化やコミュニケーションの活性化、目標の設定と達成感の提供、快適な労働環境の整備など、当記事で紹介した内容を参考にしていただき、会社組織全体に高いモチベーションを波及させていきましょう。


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