デジタル人材になるには、最新のデジタル技術やデータの活用方法を学ぶ必要があります。一方、デジタル人材になるための具体的な方法がわからないと悩む方もいるはずです。
そこで、今回はデジタル人材の意味からデジタル人材になるためのステップまで詳しく解説します。記事を読めば、デジタル人材が求められる背景や日本企業の現状を理解でき、自分がデジタル技術を身につけることでどのように活躍できるかをイメージできるでしょう。後半ではデジタル人材になりたい方におすすめの資格も紹介しています。ぜひ最後までお読みください。
目次
デジタル人材とは、DXを推進するために、最新のデジタル技術を適切に活用して企業に新しい価値をもたらす人材のことです。デジタル技術は時代の流れに沿って常に変化しています。近年ではAIやIoTなどの最先端のテクノロジーがあげられるでしょう。
デジタル人材になるために必要なことは、最先端のテクノロジーを活用した製品やサービスの開発・改善の技術を有することだけではありません。最新のデジタル技術に関する情報をキャッチアップし、どのように活用すれば自社の業務に新しい価値を生み出せるかを考える力も必要です。
関連記事:DXとIT化・デジタル化の違いは?DX推進の方法と企業事例
デジタル人材が求められる背景として、主に以下の2つがあげられます。
それぞれ順に解説します。
経済産業省の「IT 人材需給に関する調査 」におけるIT人材需給に関する調査において、2030年には以下のようにIT人材が不足すると予想しています。
IT人材の不足数 | IT需要の伸び | |
高位シナリオ | 約79万人 | 3~9% |
中位シナリオ | 約45万人 | 2~5% |
低位シナリオ | 約16万人 | 1% |
参考:経済産業省|みずほ情報総研株式会社「 IT 人材需給に関する調査 」
さらに日本は少子高齢化による将来的な労働力不足も懸念されています。高齢化が進むとともにIT人材は減少するでしょう。企業はテクノロジーを活用して生産性を高める必要があり、その技術を活用できるデジタル人材の確保が必要といえます。
近年、AIなどのデジタル技術が急速に発展しています。「令和元年版情報通信白書」によると、AIによって2035年における労働生産性は34%向上すると推計しているようです。
参考:総務省|令和元年版 情報通信白書|AIの利用が経済や雇用に与える影響
AIを上手く活用できれば、企業は人件費などのコスト削減や新規ビジネスの創出につなげられ、業界における競争力を強化できるでしょう。そのため、企業はAIをはじめとしたデジタル技術を活用して新しい価値を生み出せる人材を求めています。
日本企業におけるデジタル人材の育成は、業種によって施策の実施状況が異なります。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によると、IT業界などが含まれる情報通信業とそれ以外の業種において、以下のような結果が得られています。
引用:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)|デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査p42より
全体的に情報通信業はほかの業種と比べると、デジタル人材などを含めた育成施策を実施している比率が高いです。「育成制度としての資格取得の推奨や支援」と「社内で勉強会やコンテストなど」に関しては実施状況に顕著な差が現れています。
経済産業省は上記のような格差をなくし、あらゆる企業・産業分野におけるDXを推進するため、デジタル人材育成プラットフォームをはじめとしたさまざまな施策を打ち出しています。
参考:経済産業省|デジタル人材育成プラットフォームの取組状況について
ここではデジタル人材になるための具体的な方法をステップ形式で解説します。
まずは目的を明確にすることで、自社に必要なデジタル人材の人物像をイメージしやすくなります。たとえば特定の業務をAI技術で効率化するのが目的であれば、その業務にノウハウや知見がある従業員にデジタルスキルを学んでもらうなどの方向性を決められるでしょう。まずは企業のビジョンに合わせて方向性を定めることが重要です。
デジタル人材を育成する目的が決まれば、必要なスキルやマインドセットを書き出します。たとえば製造業においてDXを推進したい場合、以下のようなスキルが求められます。
また自社のDXリテラシーを高めたい場合は、デジタル技術に関する基礎的な知識やマインドを学ぶことが重要です。マインドとしては常識にとらわれない発想や変化への適応、事実に基づく判断などがあげられます。
参考:独立行政法人情報処理推進機構、経済産業省|デジタルスキル標準 ver.1.0
次にデジタル人材になるための具体的な育成プログラムを策定します。たとえば研修を実施するスケジュールや、どのような方法でおこなうか、資格取得の支援制度を導入するかなどがあげられます。またスキルマップを作成し、従業員のスキルレベルを基準にしてプログラムを策定することもおすすめです。スキルマップの概要については下記ページで詳しく解説しています。あわせてお読みください。
デジタル人材のスキルマップとは?導入目的や事例、おすすめの資格を紹介
自社のみでのデジタル人材育成は難しいと感じる場合は、外部のサービスを利用することもできます。外部の専門家からアドバイスをもらいながら育成プログラム策定のサポートを受ければ、より効果的なデジタル人材の育成をおこなえるでしょう。
実際にデジタル人材になるための育成プログラムを実施し、DXに関連する基礎的なスキルや知識をインプットします。デジタルスキルを学ぶ際は、資格取得などの明確な目標を設定することが大切です。従業員に明確な目標を与えることでモチベーションを維持しながら学習しやすくなります。
オンライン研修でデジタル人材を育成する場合、eラーニングシステム/LMSの導入がおすすめです。システムによっては従業員の学習進捗を確認でき、必要に応じて学んでほしいスキル講座の受講をアサインすることもできます。ほかにもさまざまな機能がありますので、eラーニングやLMSに興味がある方は下記ページをご覧ください。
eラーニングとは?導入メリット・デメリットや最新トレンドを解説
LMSとは?企業のメリットやサービス選定時の比較ポイントを解説!
デジタル人材になるためには、知識をインプットするだけでなく実務で経験を積むことが重要です。具体的にはOJTなどを活用する方法がおすすめです。OJTでは先輩社員や専門家から指導やフィードバックを受けながら実際の業務に取り組めます。実務で経験を積むことで、デジタル技術の応用力や問題解決力を高められるでしょう。
それぞれ順に解説していきます。
DX 検定™ は日本イノベーション融合学会が実施する検定です。デジタル人材になるために必要なDXに関する用語や知識を測れます。DX検定の取得を目指して勉強をすることで、IT先端技術トレンドや、ビジネストレンドの両面を理解することにつながるでしょう。
参考:株式会社ネクストエデュケーションシンク|第12回DX検定
「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」は情報処理の基礎的な知識やスキルを評価する国家資格です。ITエンジニアの登竜門ともいわれる資格で、基本情報技術者試験は、デジタル人材になるために必要なITの基礎的な知識を身につけている証明となります。
応用情報技術者試験は高度なIT人材として活躍するための資格です。
参考:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参考:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
データサイエンティスト検定は、一般社団法人データサイエンティスト協会が主催する資格試験です。デジタル人材になるにはデータを活用するスキルが求められます。資格試験に合格すると、データサイエンスエンジニアリングやビジネス力などの能力や、数理・データサイエンス・AIのリテラシーレベルを持つことの証明となります。
参考:一般社団法人データサイエンティスト協会DS検定® ★ データサイエンティスト検定™ リテラシーレベル
AWS認定試験は、AWSクラウドコンピューティングを扱うスキルや知識を検証するための試験です。AWSとはAmazonが提供するクラウドコンピューティングサービスで、データベースやアプリケーション開発などを必要な分だけ利用できるものを指します。AWSのスキルを習得すれば、サーバー環境構築やAmazonのAI技術の活用、データ分析などをおこなえるようになるでしょう。
参考:Amazon|AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム
プロジェクトマネージャ試験はプロジェクトの責任者として計画・実行・管理をおこない、現場を統括できる能力を示すための試験です。DXを推進するためには、プロジェクトマネージャスキルを持つデジタル人材が活躍します。試験に合格すれば、高度なIT人材としてだけではなく、プロジェクトを適切に進行できることが証明されるでしょう。
参考:プロジェクトマネージャ試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
デジタル人材になるために必要なステップとおすすめの資格をご紹介しました。デジタル人材に必要なスキルや知識を身につければ、企業のDXを推進する重要な役割を担えます。デジタル人材を育成したい方は、自社に合った方法を活用して人材育成をおこないましょう。