eラーニングとは?導入メリット・デメリットや最新トレンドを解説

公開日:2023.05.30 更新日:2023.05.30

コロナウイルス感染症の流行は、ビジネスの幅広い領域に影響を与えました。コロナ禍で大きく需要が伸びたサービスの1つがeラーニングです。コロナ対策として密を避けることが求められ、対面での研修や学習が困難となる中、社員がテレワーク環境下でも学習を進められる方法がeラーニングです。今回はeラーニングのメリット・デメリット、最新のトレンドについてご紹介します。

eラーニングとは

eラーニング(e-learning)とは、電子媒体、特にインターネットを利用した学習方法です。eラーニングのeはelectronic(電子的)に由来します。具体的には、PCやタブレット、スマートフォンを利用して、インターネットを通じて学習する方法を指します。

以前は教材がCD-ROMで提供されていたため、配布後の修正や学習進捗の管理が困難でした。その後、インターネットのブロードバンド化が進み、Web上での学習「WBT(Web Based Training)」が主流となりました。タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末の普及により、現在はPCだけではなく、モバイル端末から利用可能な教材が増えています。

eラーニングと類似した学習方法にオンライン研修があります。eラーニングは基本的には録画された学習コンテンツを視聴するオンデマンド型の学習方法であるのに対し、オンライン研修は講師がオンライン上でリアルタイムの研修を実施する双方向型の学習方法です。

eラーニングにオンライン研修も含める場合もありますが、本記事ではeラーニングとオンライン研修を区別して考えるものとします。ただし、ライブ授業配信をシステム上で実施できる「eラーニングシステム(学習管理システム)」と呼ばれる製品も存在します(eラーニングシステムについては後述します)。

eラーニングのメリット

eラーニングのメリットは、時間や場所に縛られずに学習でき、何度でも繰り返し復習できる点です。

時間や場所に縛られずに学習できる

「業務の都合で時間が合わない」「家事との両立のため出社機会が限られている」というケースも少なくありません。学習する時間や場所を他の社員に合わせる必要がある場合、本人は強い学習意欲を持っていても、学習の継続は難しいでしょう。

eラーニングでは、受講者はPCやタブレット、スマートフォンからインターネットにアクセスして学ぶため、時間や場所に縛られずに済みます。業務の合間や通勤時間など、各自の都合の良い時間や場所で学ぶことが可能です。「時間的な余裕があるときは学習時間を増やし、仕事の繁忙期は学習ペースを落とす」「出社時は本来の業務に集中し、在宅勤務のときに集中的に学習する」といった方法を取ることができます。

何度でも復習ができる

一度の学習で内容をすべて吸収できるとは限りません。よく理解できない箇所も出てくるでしょう。また、学習してからしばらく時間が経過すると、覚えた内容を忘れてしまう場合もあります。学習内容の確実な理解や定着のためには、繰り返し学習することが重要です。たとえば、動画によるeラーニングなら、学習コンテンツを繰り返し視聴することにより、学習効果を高められます。一通りすべての動画を視聴した上で、2回目に学習するときには理解が不十分な箇所や記憶があいまいな箇所に絞って動画を視聴する、などのようにメリハリをつけた学習が可能です。

eラーニングのデメリット

それぞれの社員に合わせた柔軟な学習方法であるeラーニングですが、以下のデメリットがあります。

受講者のモチベーションを維持することが難しい

eラーニングは、学習コンテンツ動画の視聴などを通じて、いつでも、どこでも学習できるというメリットがある一方で、モチベーションの維持が難しい点がデメリットです。対面型研修なら、他の受講者から刺激を受けながら学習に取り組める場合もありますが、個々に受講するeラーニングではそういう機会がなかなか得られません。学習意欲が低い社員の場合、興味のない動画を視聴することを苦痛に感じ、学習がなかなか進まないケースも考えられます。ただし、eラーニングと集合研修を組み合わせるなどの方法により、デメリットを補える場合もあります(ブレンディッドラーニングについては後述します)。

受講者によって理解度に差が生まれやすい

同じテーマの講座であっても、学習経験者と未経験者とでは、理解するスピードが異なります。受講前に自主的に学習に取り組んでいた社員はどんどん先に進むことができても、初めて学習する社員は途中でつまずいて先に進めないという状況が起こりえます。これを防ぐため、受講者のレベルにあったコースを選択すると良いでしょう。

eラーニングの使い方

eラーニングのサービスは学習コンテンツだけでなく、受講管理機能を提供します。受講者はブラウザで画面を見て学習します。

管理者側

eラーニングでは、管理者は管理画面から各受講者の受講状況(受講した講座名、受講期間、進捗率、学習時間など)を確認可能です。氏名やユーザーIDで該当する社員の進捗率を検索したり、進捗率を指定して該当する社員の一覧を表示させたりすることもできます。受講履歴をダウンロードし、修了/未修了の集計や成績の分析に活用できます。

受講者側

eラーニングの受講にあたっては、インターネット接続環境があれば、PC・タブレット・スマートフォンの標準的なブラウザから画面を見て学習できます。基本的には会社で教材を用意する必要はありません。

eラーニングの最新トレンドは?

近年よく登場する「ブレンディッドラーニング」と「マイクロラーニング」についてご紹介します。

ブレンディッドラーニング

eラーニングのデメリットとして、集合研修のように他の受講者から刺激を受けられないという点が挙げられます。この弱点を克服するための方法の1つが、複数の手法を組み合わせて学習を行う「ブレンディッドラーニング(Blended Learning)」です。たとえば、最初にeラーニングで予習をしてもらった上で集合研修に臨んでもらう、といった方法を指します。受講者は予習である程度の知識を身につけられるため、集合研修で最初から学んでもらうよりも効率よく学習を進められます。

マイクロラーニング

「学ぶ意欲はあるが、長時間の学習は気が進まない」という方も多いのではないでしょうか。そのような方におすすめしたい学習方法がマイクロラーニングです。eラーニングの中でも、学習時間が特に短く設定されているものがマイクロラーニングと呼ばれています。1回の学習時間は最長約5分で、「隙間時間を利用して気軽に学習できる」「短時間で集中力を切らさずに取り組める」という利点があります。

eラーニング導入におすすめのサービス

ここでは、eラーニングの効率的な受講管理ができる「eラーニングシステム(学習管理システム)」のサービスをご紹介します。

KnowledgeDeliver(ナレッジ・デリバー)

株式会社デジタル・ナレッジの「KnowledgeDeliver」は教材作成・学習・運用管理の機能を搭載し、企業研修・教育ビジネス・学校・組織内情報共有に2,000以上の導入実績があります。Web会議ツールと連携し、システム上でライブ授業に参加できる「ライブオプション」をつけることができます。

Leaf(リーフ)

株式会社インソースの「Leaf」は、1,000名以上の大規模eラーニングに適したサービスです。同時アクセス人数やデータ容量に応じた従量課金制ではなく、利用者人数による月額固定制のため、規模の大きい企業ほどコストを低く抑えられます。動画などデータの格納容量、eラーニングやテストの配信回数、同時アクセス人数が無制限で利用できます。

LearningWare(ラーニングウェア)

株式会社プロシーズの「LearningWare」は70万ユーザーの運用実績があり、大手企業や官公庁から高い評価を得ています。「3社以上の要望があれば実装する」ことを開発ポリシーとしており、現場の声をいち早く反映させるべく、絶えず機能追加などのアップデートがされています。

etudes(エチュード)

「etudes」は、20年間にわたって人材育成サービスを展開するアルー株式会社が開発したeラーニングシステムです。初期費用ゼロで手軽に導入でき、情報漏洩を防ぐためにMicrosoft Azureのセキュリティシステムが採用されています。eラーニングシステムと学び放題の学習コンテンツを利用できる「etudes Plus」というサービスも用意されています。

eラーニングの導入事例

eラーニングの導入事例として、ニトリとあらたの2社を取り上げます。

株式会社ニトリホールディングス

家具・インテリア用品販売を手掛けるニトリは、ビジネス・経営について動画で学べる「グロービス学び放題」というサービスを導入しました。このサービスは、グロービス経営大学院の教員などが動画の講師として出演し、質の高い学びが得られる点が特徴です。同社は、新卒採用のリクルーターに選ばれた若手社員からの提案で「グロービス学び放題」を導入しました。リクルーターは得られた学びをもとに、ロジカルシンキング、簿記、インテリアコーディネートなどの内定者向け講座を企画し、講座は好評だったといいます。2019年度より全社員を対象に、永続的にサービスを使い続けられる永年プランを導入しました。通勤時間や自宅での隙間時間を利用して、店舗経営に必要な組織・リーダーシップに関する動画を視聴する、といった使い方がされているようです。

株式会社あらた

日用品・化粧品の卸商社であるあらたは、JMAM(株式会社日本能率協会マネジメントセンター)のeラーニングライブラリを活用し、管理職のガバナンス強化に取り組んでいます。同社は以前から社員の自己啓発を目的として通信教育を活用していましたが、2016年にeラーニングライブラリを導入、2019年には対象を全管理職に拡大しました。受講後、所属部署でディスカッションを実施し、その内容を報告書として提出することが求められています。同社では、eラーニングライブラリの受講を管理職の義務としており、評価と連動させています。

まとめ

今回はeラーニングの概要についてご紹介しました。これまでの対面型研修とは異なり、時間や場所に縛られずに手軽に取り組めるeラーニングは、社員の学びを力強くサポートしてくれます。自社のニーズに合わせてeラーニングの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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