DXに関連する資格にはさまざまなものがあります。一般財団法人全日本情報学習振興協会が主催するDXオフィサー認定試験もその1つです。
今回はDXオフィサー認定試験の概要や勉強法について解説するほか、その他のDX関連資格も紹介します。
目次
DXオフィサー認定試験とは、一般財団法人全日本情報学習振興協会(以下、全情協)が主催する「デジタルトランスフォーメーション検定」の1つです。
DXの現状、企業やビジネスを変えるためのデジタル技術、DXの推進に必要な人材や方法論についての知識を習得でき、マネージャーやオフィサーとしてDX推進の最前線で活躍したり、企業をサポートしたりできる人材の養成を目指した認定試験となっています。
DXオフィサー認定試験は、これまで年2回実施されてきましたが、令和6年には年4回実施される予定です。
開催会場は日程によって異なりますが、札幌・仙台・東京・横浜・埼玉・千葉・名古屋・大阪・京都・福岡での開催に加え、オンライン受験・CBT受験(Computer Based Testing、コンピュータを使った試験方式)も可能となっています。
制限時間120分で合計100問が出題され、正答率70%以上で合格です(問題の難易度に応じて正答率70%未満でも合格になる場合あり)。合否発表は試験日の約1カ月後となります。
出題される問題は、全情協の公式サイトで紹介されている書籍や関連省庁・機関が発表した資料を基に作成されています。
国籍や年齢に関わらず、誰でも受験可能です。受験料は一般13,200円(税込)、学割・資格者部会会員10,560円(税込)で、DX推進アドバイザー認定試験と併願すると受験料の合計から10%OFFになる特典もあります。
試験の詳細についてはDXオフィサー認定試験の公式サイトを確認してください。
参考:DXオフィサー認定試験|一般財団法人全日本情報学習振興協会
DXオフィサー認定試験は「デジタルトランスフォーメーション検定」の1つとして位置付けられています。デジタルトランスフォーメーション検定には、DX推進アドバイザー認定試験というものがありますが、DXオフィサー認定試験とどう違うのでしょうか。
DXオフィサー認定試験は、マネージャーやオフィサーなど、責任者としてDX推進の現場で活躍できるスキルや知識を証明できる資格です。デジタルトランスフォーメーション検定の中では上級資格に位置付けられます。
一方、DX推進アドバイザー認定試験は、DX推進のために必要な知識やDX人材のあり方などを学べる資格です。デジタルトランスフォーメーション検定においては、中級資格となっています。
それぞれの認定試験の出題範囲は同じですが、DXオフィサー認定試験の方が出題数は多く、記述式の問題が必要になるほか、試験時間も長くなっています。
参考:DX推進アドバイザー認定試験|一般財団法人全日本情報学習振興協会
DXの推進に取り組む場合、特定の資格を取得する必要はありません。
しかし、資格を保有していればDXに関するスキルや知識があることを客観的に証明できるほか、DX推進を任せられる人材として企業から重宝される可能性が高いでしょう。
DXの知識やスキルを網羅的に学べるメリットもあるため、DXを推進する立場にある人や、DXについて詳しく学ぶ必要がある人には、受験をおすすめしたい資格です。
DXオフィサー認定試験の資格は、以下に該当する人にとって有利に働く可能性があります。
また、IT・情報・通信、自動車・機械、金融、人材、流通、小売、医療、メディア・エンターテイメントなど、幅広い業種・業界でDX推進が進んでおり、DXオフィサーの資格が有益になる可能性が高いでしょう。
DXオフィサー認定試験の他にも、以下のようなDX関連資格があります。
それぞれの資格・試験について解説します。
DX検定は日本イノベーション融合学会が実施する検定試験です。スコアレベルによってDXに関する知識力やスキルを証明できます。
DX検定には合格の概念がなく、獲得したスコアによってレベルが認定されるのが特徴です。
800点以上獲得すればDXプロフェッショナルレベル、700点以上でDXエキスパートレベル、600点以上でDXスタンダードレベルにそれぞれ認定されます。平均点は500点強で、800点以上獲得できるのは全受験者の5%程度と難易度の高い試験です。
レベル認定を受けるためには、DXの重要なキーワードやトレンドを理解した上で、応用的・実践的な活用方法を理解する必要があります。
また、多肢選択式の問題が120問出題されますが、制限時間に対して質問数が多いため、効率的な回答が求められる試験となっています。
受験資格はなく、DXに関する知識に自信があれば誰でも受験可能です。自宅や職場でも受験可能なオンライン試験方式が採用されているため、試験会場に移動する必要もありません。
試験は毎年1月と7月の年2回実施され、受験料は6,600円(税込)となっています。
参考:DX検定™(日本イノベーション融合学会*ITBT(R)検定)
+DX認定資格はIoT検定制度委員会が主催する認定資格です。
DX推進の基礎的なスキルを測定できる認定資格で、資格保有者はDX推進に必要なスキルやリテラシーを有することを証明できます。
「革新性・創造性」「実現性・計画性」「生産性・付加価値」「継続性・人材育成」「共創・顧客視点」の5つのカテゴリから合計30問が出題され、80%以上の正答率で合格となります。
受験資格はなく、IT関連職以外の方でも受験可能です。試験時間は30分、CBT方式で実施されるため、自宅や職場からも受験できます。
ITストラテジスト試験はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する認定試験です。
ITを活用したプロジェクトの策定・実行によってビジネスを成功に導くためのスキルが問われる試験で、高度な専門知識が要求されます。IPAが実施する情報処理技術者試験の中でレベル4に位置する難易度の高い試験で、合格率は例年15%程度となっており、入念な試験対策が必要です。
試験は午前Ⅰ(50分)・午前Ⅱ(40分)、午後Ⅰ(90分)、午後Ⅱ(120分)の4つの試験で構成されており、四肢択一、記述式、論述式の問題が出題されます。
受験手数料は7,500円で、試験は年1回(4月)実施されます。
参考:ITストラテジスト試験|IPA独立行政法人情報処理推進機構
プロジェクトマネージャ試験はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する認定試験です。情報処理技術社試験のレベル4に位置付けられており、合格率は例年15%程度と難易度の高い試験になっています。
適切なプロジェクト管理によりシステム開発を成功に導くスキルが問われる内容となっており、プロジェクト責任者として現場を統括する人や計画、実行、管理する人に向いている試験です。
受験資格が設定されておらず、実務経験がなくても受験できるため、これからプロジェクトマネージャーを目指す人でも受験可能です。
なお試験に合格した場合、中小企業診断士、弁理士、技術士、ITコーディネータ試験の一部が免除されます。
試験は午前Ⅰ(50分)・午前Ⅱ(40分)、午後Ⅰ(90分)、午後Ⅱ(120分)の4部構成で、四肢択一、記述式、論述式の問題が出題されます。午前Ⅰ・Ⅱの試験(多肢選択式テスト)は100点満点中60点以上の獲得が合格の条件となり、60点に満たない場合は午後の試験は採点されません。
受験手数料は7,500円で、年1回(10月)実施されます。
参考:プロジェクトマネージャ試験|IPA独立行政法人情報処理推進機構
ITコーディネータ資格(ITC)はITコーディネータ協会が主催する資格です。経営とITの両方に精通したプロの人材の養成を目的に設立されています。
ITコーディネータ資格があれば企業の存続や成長のために、計画の立案やシステムの導入、評価・改善まで一貫した推進・支援ができるほか、経営者側の視点からITの有益な活用方法についてアドバイスできます。
ITコーディネータ資格を得るためには、同協会から認定を受ける必要があり、試験合格と研修修了の2つの条件をクリアしなければなりません。試験の合格と研修の修了はどちらが先でも大丈夫ですが、片方をクリアしてから4年以内にもう一方をクリアする必要があります。
試験時間は120分、出題数は必須問題60問、選択問題40問の計100問です。受験料は19,800円(税込)で、試験は年2回(各期間50日程度)実施されます。受験資格はなく、誰でも受験可能です。
参考:ITコーディネータ資格取得サイト|ITコーディネータをめざす方へ
ITパスポート試験はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する認定試験で、すべての社会人や学生に必要とされるIT関連の基礎的な知識があることを証明できる国家試験です。
新しく登場した技術や手法、経営全般、プロジェクトマネジメントなど、幅広い分野の総合的な知識が問われる試験となっています。試験に合格すれば、業務効率化や商品開発にデジタル技術を活用するスキル、DX推進のための基礎的な知識を習得可能です。
出題数は100問(四肢択一式)で、ストラテジー系(経営全般)の問題が35問程度、マネジメント系(IT管理)の問題が20問程度、テクノロジー系(IT技術)の問題が45問程度出題されます。
総合評価点で1,000点中600点以上、分野別評価点として各分野で300点以上獲得すれば合格となります。
試験時間は120分、受験料は7,500円(税込)です。試験はCBT方式で、すべての都道府県で毎月試験が実施されるため、都合に合わせて試験日時や会場を選択できます。
AWS認定とは、クラウドコンピューティングサービスのAmazon Web Servicesに関する専門知識・スキルを証明できる認定資格です。
DX推進にはクラウドの活用が重要になるうえ、AWSはクラウドサービスの中でもトップクラスのシェアを誇るため、AWS認定を受けられればDX人材として企業で重宝される可能性があります。
全12種類の認定試験があり、6つの資格がレベル別に、残り6つの資格は専門分野別に分かれているのが特徴です。
各資格はFOUNDATIONAL、ASSOCIATE、PROFESSIONAL、SPECIALTYのレベルに分けられており、難易度の高い認定試験を受けるために実務経験が求められる場合があります。
受験する資格によって問題数や試験時間、受験料が異なります。また、AWS認定には3年の有効期限が設定されており、資格を維持したい場合は再認定試験に合格する必要があります。
参考:AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム | AWS
SMART合格講座は全情協が実施する試験対策講座です。
スマートフォンやタブレット、パソコンなどのデジタルデバイスで勉強できるのが特徴で、テキストを読んで学習できるSMARTテキスト学習や、音声で学習できるSMART音声学習を利用できます。
1単元が5~15分程度で学習しやすく、通勤や通学、休憩時間など隙間時間を生かして勉強できるのが魅力です。
受講料は13,200円(税込)ですが、試験と講座を同時に申し込むと3,300円(税込)の割引を受けられるほか、DX学習テキストがプレゼントされます。
SMART合格講座を利用したい場合は、全情協の公式サイトからアクセスして申し込みましょう。
参考:SMART合格講座|一般財団法人全日本情報学習振興協会
DXオフィサー認定試験はさまざまな書籍を参考にして問題が作成されています。特に以下の書籍はDXの全体像を説明しているため、同試験の正式な参考図書になっています。
『今すぐ知りたい DXの基礎』発行:日経BPマーケティング 日経クロステック編集、中村建助 編著
『図解 これ1枚でわかる 最新ITトレンド』発行:技術評論社 著者: 斎藤昌義
全情協の公式サイトでは、「今すぐ知りたい DXの基礎」の書籍で学習して「図解 これ1枚でわかる 最新ITトレンド」を併せて読んでおくことを試験対策として推奨しています。
参考:学習資料│DXオフィサー認定試験│デジタルトランスフォーメーション検定|一般財団法人全日本
また、同試験の第1課題第1章の問題と第3課題の参考資料として、関連省庁や機関が発表した情報が紹介されており、公式サイトにリンクが添付されているため、併せてチェックしておきましょう。
DXオフィサー認定試験に合格できれば、DXの現状やデジタル技術、DX推進のための人材や方法論などを理解・習得できます。資格があれば、DX人材として会社から重宝される可能性も高くなるでしょう。
受験資格はなく、オンラインや全国各地の会場で受験できるため、これからDXに関わる場合は資格取得にチャレンジしてみてください。
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