DXスキルが必要な職種とは?DX人材となるための必要なスキルも合わせて解説

公開日:2023.08.29 更新日:2023.08.29

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業が増えてきています。DXの推進を成功させるために不可欠なDX人材ですが、多くの業界で不足しているのが現状です。

企業としてはDX人材の育成や採用なども進めながら、DX推進に取り組む必要があります。そこで本記事では、DX人材とはどのような人材を指すのかといった概要から、DXスキルが求められる職種や必要なスキルまでを解説していきます。

DX人材とは?

DX人材には明確な定義は定められていませんが、経済産業省ではDX人材について以下のように示しています。

「自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材」

出典:経済産業省「DXレポート2(中間とりまとめ)」

つまり、デジタルに関する知識を持つだけではなく、知識をどのように事業に落とし込み、ビジネスを変革ができるかまでを求められる人材ということになります。

DXスキルが必要な職種は?

DXスキルが必要な職種として、主に次の7つが挙げられます。

  • プロダクトマネージャー
  • ビジネスデザイナー
  • テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)
  • データサイエンティスト
  • 先端技術エンジニア
  • UI/UXデザイナー
  • エンジニア/プログラマ

上記の職種はIPA(情報処理推進機構)が、DX人材に適した職種として定義しています。

参考:IPA「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた 企業とIT人材の実態調査 ~ 概要編~」

プロダクトマネージャー

プロダクトマネージャーとは、DXを推進するリーダーの役割を担う人材のことです。DXを通じたビジネスモデルの変革を実現するために、変革に向けた課題を持っている人や自社の課題設定力がある人が求められます。

明確にした課題をもとに、どのようなビジョンを掲げ、DXの推進によって何を達成したいかを明示し、先導する役割となります。デジタルや市場に関する知識、マネジメントスキルなど総合力が問われる職種です。

ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーとは、DXの企画、立案、推進を担う人材です。基本的にはプロダクトマネージャーが描いたビジョンを具現化する役割となります。たとえば、顧客のニーズについて把握したり、市場分析からDXによって発展できる事業を企画として落とし込んだりします。ITに関する知識はもちろんのこと、ビジネスについての高い理解力が求められます。

テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)

テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)とは、DXを推進するシステムを設計し、実装までできる人材のことです。ITシステムに関するスキルに加えて、チームで取り組む必要があるDXの推進のために、エンジニアチームをまとめ、生産性を上げるマネジメント能力なども求められます。

データサイエンティスト

データサイエンティストとは、事業や業務に精通したデータ分析ができる人材のことです。DX推進を行う中では、データの利活用が重要な要素を占めているため、データの分析や解析を行う人材が求められます。

統計解析のスキルから、データ分析ソフトを扱うスキル、ITに関する知識まで幅広い知識が求められ、分析したデータをビジネスにどのように利活用できるかなどの視点も必要とされます。

先端技術エンジニア

先端技術エンジニアは、文字通り最先端のデジタル技術を扱うことができる人材のことです。昨今ではブロックチェーン技術やAIなどを扱える人材を指すことが多くなっています。最先端の技術を扱えるだけでなく、常に変わっていくトレンドを敏感に捉え、仕事に取り入れ続けるアンテナの高さも求められます。

UI/UXデザイナー

UI/UXデザイナーとは、システムをユーザーに提供する際に優れたデザインを考える人材です。わかりやすく誰でも扱えるデザインにすることで、システムを利用してもらうユーザーの顧客満足度の向上が図れます。デザインスキルの他に、開発の要望を満たすためのコミュニケーションスキルやトレンドを押さえる情報収集力なども必要となります。

エンジニア/プログラマ

エンジニア/プログラマとは、実際のシステムの実装、システムインフラの構築、導入後の保守を担当する人材のことです。DXに関わるシステムに加えて、既存システムの運用保守も担う人材になります。

プロジェクトマネジメントスキルやエンジニアリングスキルなどが求められ、スムーズな設計・開発を行うスキルが必要です。また、外部に業務を委託するケースも少なくなく、適切なシステムとするために、エンジニア/プログラマにはコミュニケーションスキルなども求められます。

DX人材に必要なスキル

DX人材に必要なスキルとして、以下の6つが挙げられます。

  • IT分野の基礎知識
  • 最先端技術に関する知識
  • データサイエンスの知識
  • UI/UXに関する知識
  • プロジェクトマネジメントスキル
  • ビジネスモデル構築スキル

それぞれのスキルについて解説していきます。

IT分野の基礎知識

DXの推進のためには、IT分野の基礎知識が備わっていることが必須条件です。基礎知識とは、システムに関する知識やネットワークに関する知識、最新の業界ニュースなどが該当します。

前章で解説したどの職種に就いたとしても、基礎知識がなければビジネスモデルの構築やDXの企画なども行えません。また、他の職種とコミュニケーションを取る際にも、基礎知識がなければ円滑に進めることが難しいでしょう。

最先端技術に関する知識

DXは最新のデジタル技術を活用しながら、自社のビジネスモデルの変革を目指していきます。具体的にはビッグデータやAIの活用、クラウドやIoT、ブロックチェーンなど最先端技術に精通した知識が求められます。

現在、最先端とされる技術だけでなく、今後発展していくデジタル技術についても積極的に取り入れていくことが必要です。たとえば、メタバースの技術を自社のビジネスモデルに生かせないかを考えるといった形です。DXは一度のプロジェクトで完了するものではなく、最新のトレンドやニーズを取り入れながら、常にアップデートを繰り返す必要があります。

DXを推進していく中で、これまでのシステム開発に関するノウハウと最先端技術に関わる知識を組み合わせることで、新たなビジネスモデルの創出につながります。

データサイエンスの知識

データサイエンティストとしてDXに関わっていく場合には、データサイエンスの知識が必要不可欠です。具体的には基礎数学や統計学の知識、プログラミング言語を活用して行うデータ分析の知識などです。DXではデータを利活用して、自社の課題の認識から改善策の提示、実行後の分析までを行っていきます。ビッグデータやAIを活用した機械学習などで、より精度の高い分析が実施できるようになってきており、データの利活用ができなければ市場における競争優位性を保つことが難しくなっています。

今後さらに多くの需要が見込まれ、データサイエンス学科を設ける大学なども増えてきています。

UI/UXに関する知識

DXを推進していく中でありがちなのが、現場を置き去りにしてしまうケースです。たとえば、DXを推進するために導入したシステムが分かりづらく、操作性が悪いため、導入前よりも業務効率が落ちてしまったという事例は少なくありません。

また、システムをユーザーに提供する側であれば、常にユーザー目線からシステムが使いやすいか、見やすいデザインとなっているかを意識する必要があります。ユーザーインターフェースに適したデザインであるかを考えられる思考力や、実際にユーザーに分かりやすいと感じてもらえるサービスを形にするためのプログラミング技術などが必要です。

プロジェクトマネジメントスキル

DXは長期的な視点からプロジェクトを進めていきます。円滑なプロジェクトの進行や成功につなげるためには、高いプロジェクトマネジメントスキルが求められます。プロジェクトマネジメントスキルは多岐に渡り、納期の管理や進捗管理、適切な人員配置、社内や外部との円滑なコミュニケーションなどが挙げられます。

特にDXの推進は全社的に行う必要があるため、プロジェクトに関わる人数も多く、常に現在地や課題の確認を行いながら、次の施策を実行するPDCAを高速で回すことが必要です。加えて、ほとんどの企業でDXの導入はスムーズには運ばず、試行錯誤を繰り返します。状況の見極めや早期にDXを実現するための意思決定なども、プロジェクトマネジメントスキルには必要です。

ビジネスモデル構築スキル

DXを推進する際には設計図が必要です。どのような戦略を、どれくらいの期間で達成するかといったビジネスモデルを、具体的に落とし込んでいくスキルが求められます。特に自社の課題を明確に把握する力や、DXによって現状を変えていくという強い意志が必要です。

何をやるのか、優先的に行うものは何か、それを行うことでどのように変わっていくのかなど、論理的な説明ができるビジネスモデルを構築していきます。

まとめ

DX人材となるために必要なスキルは非常に多く、ITに関する基礎知識からデータサイエンスの知識、プロジェクトマネジメントスキルまでさまざまです。そのため、DX人材となるための知識は簡単には身につけられません。一つずつスキルを身につけていくことで、高いスキルを兼ね備えたDX人材となっていきます。

おすすめの
パートナー企業