【2026年・14次公募】事業承継・M&A補助金の枠の選び方|促進・専門家活用・PMI・廃業を比較
公開日:2026.02.20
更新日:2026.02.27
中小企業の事業承継やM&Aを支援する制度「事業承継・引継ぎ補助金」。2026年2月に開始される第14次公募では、4つの支援枠が設けられています。本記事では、それぞれの枠の内容や違いを整理し、自社に適した枠を選ぶための視点をご紹介します。
補助金の概要とスケジュール
本補助金は、親族内承継や第三者へのM&Aを契機に、中小企業が行う設備投資や専門家への依頼費用などを支援する制度として位置づけられています。
第14次公募の申請受付期間は、2026年2月27日(金)から4月3日(金)17:00まで(予定)とされています(※申請時点の最新情報を必ずご確認ください)。
申請には「Jグランツ(電子申請システム)」を使用し、事前に「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。取得には2〜3週間程度かかるため、早めの準備が推奨されます。
本補助金は、要件を満たせば交付される「助成金」ではなく、提出された事業計画や書類に基づき審査される「競争型の補助金」です。申請にあたっては、制度の趣旨と要件を正確に理解し、準備することが重要です。
各枠の概要と支援内容
1. 事業承継促進枠
親族内または従業員など、社内の後継者に事業を引き継ぐ予定の中小企業が対象です。承継をきっかけに、生産性の向上や事業転換に取り組むための設備投資などに対して、補助を受けることができます。
- 対象経費:機械装置、ソフトウェア、外注費、専門家謝金など(詳細は公募要領で確認)
- 補助率:中小企業:1/2、小規模事業者:2/3
- 補助上限額:800万円(賃上げ要件を満たす場合は1,000万円)
- 特記事項:事業承継は申請締切日から5年以内に完了することが求められます。また、年率3%以上の付加価値額等の生産性向上計画が必要です。
2. 専門家活用枠
第三者へのM&Aを実施する中小企業が対象です。仲介手数料やデューデリジェンス、契約書作成費用など、M&Aの実行に必要な専門家活用経費が補助対象です。買い手企業・売り手企業いずれも申請可能ですが、申請要件や必要書類は異なります。
- 対象経費:仲介手数料、デューデリジェンス費用、契約書作成費など
- 補助率:
- 買い手:原則1/2(一定規模を超える案件は段階的に1/3へ)
- 売り手:原則1/2(赤字や営業利益率の低下がある場合は2/3)
- 補助上限額:
- 買い手:600万円(DDあり800万円)※一定要件を満たす場合は最大2,000万円
- 売り手:600〜800万円
- 特記事項:経済産業省の「M&A支援機関登録制度」に登録された仲介機関との契約が必要です。
3. PMI推進枠
M&Aの実施後に行われる経営統合(PMI:Post Merger Integration)を支援する枠です。統合計画に基づき、人材・業務の再編や設備・システム導入などに関する費用を補助します。
- 類型① PMI専門家活用:コンサルティング費、プロジェクトマネジメント費用など
- 補助率:1/2
- 上限額:150万円
- 類型② 事業統合投資:設備導入費、ITシステム整備費、統合工事費など
- 補助率:中小企業:1/2、小規模事業者:2/3
- 上限額:800万円(賃上げ要件を満たす場合は1,000万円)
- 特記事項:M&A成立後であることが前提です。他の支援枠(専門家活用枠・促進枠)との併用はできません。
4. 廃業・再チャレンジ枠
承継やM&Aの実施にあわせて既存事業を廃業し、新たな事業に挑戦する中小企業や個人事業主を支援する枠です。
- 対象経費:廃業手続費用、原状回復工事費、在庫処分費、設備撤去費など
- 補助率:原則2/3(他の枠と併用する場合は、主たる枠に準じます)
- 補助上限額:300万円(他の枠と併用申請した場合は、対象枠の上限に加算可)
- 特記事項:単独申請も可能です。再チャレンジの意思があることが前提とされます。
支援枠の比較(簡易表)
| 枠名 | 想定ケース | 補助率 | 上限額 |
| 承継促進枠 | 親族・社内承継+設備投資 | 1/2 or 2/3 | 800~1,000万円 |
| 専門家活用枠 | 第三者M&Aの仲介・DD費用等 | 1/2(条件により1/3~2/3) | 600~2,000万円 |
| PMI推進枠 | M&A後の統合(設備・人材) | 1/2 or 2/3 | 150~1,000万円 |
| 廃業枠 | 承継・譲渡に伴う事業整理 | 原則2/3 | 300万円(+併用加算) |
※詳細条件は必ず最新の公募要領をご確認ください。
枠の選び方と活用アドバイス
- 社内や親族内での承継を予定し、設備投資を行う場合は「事業承継促進枠」
- M&Aに向けた仲介やDD費用の負担が大きい場合は「専門家活用枠」
- M&Aが完了し、統合にかかる資金が必要な場合は「PMI推進枠」
- 事業を廃業し、新たな挑戦を考えている場合は「廃業・再チャレンジ枠」
複数の状況が重なる場合は、廃業枠との併用を検討することも可能です(他の3枠間の併用は不可)。
申請準備における注意点
- GビズIDプライムの取得が必要:取得には2〜3週間かかるため、早めの申請が推奨されます。
- 交付決定前の支出は対象外:契約・発注・支払は交付決定日以降に行う必要があります。
- 必要書類の確認:法人は直近3期分の決算書、登記事項証明書など。個人事業主は開業届や青色申告決算書などが求められます。
- 事業計画の完成度が重要:審査時には、賃上げの取り組みや地域経済への貢献も評価対象になります。
おわりに
補助金制度の活用は、事業承継やM&Aの計画を加速させる有効な手段です。どの枠が自社に適しているかを早めに見極め、余裕をもって申請準備を進めましょう。ご不明な点があれば、事業承継・引継ぎ補助金の事務局や支援機関に早めに相談することをおすすめします。
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