Di-Liteとは?スキル取得が推奨される3つの領域と対応資格について解説

公開日:2023.11.08 更新日:2023.11.08

デジタル技術の発展やデジタルデバイスの普及によって、デジタルリテラシーの習得が求められています。その範囲を分かりやすく提示しているのが「Di-Lite」です。

今回はDi-Liteの概要や習得が推奨される知識・スキルの領域、デジタルリテラシーが重要視される理由などについて解説します。

Di-Liteとは

Di-Liteとは、デジタルリテラシー協議会が提示するガイドラインで、デジタルを使用する人材として、すべてのビジネスパーソンが習得するべきデジタルリテラシーの範囲のことをいいます。

ビジネスパーソンが習得すべきDi-Liteの領域として、次の3つが提示されています。

  • IT・ソフトウェア領域
  • 人工知能(AI)ディープラーニング領域
  • 数理・データサイエンス領域

デジタルリテラシー協議会とは

デジタルリテラシー協議会とは、日本のデジタル人材の育成を加速させることを目的に設立された官民連携の会議体です。

経済産業省をオブザーバー(発言権や議決権を持たずに会議に参加する人や団体)に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)、一般社団法人データサイエンティスト協会(DSS)の3つの団体で構成されています。

デジタルリテラシーとは

リテラシーとは、便利なものや役立つものにアクセスして活用するスキルのことを指します。つまり、デジタルリテラシーとは、デジタル技術にアクセスして目的を達成するために使いこなすスキルのことです。

デジタルリテラシーを習得するためには、デジタル技術に対して、どのような性質や特徴を持っているのか、どのようなことに有効活用できるのかを理解することが重要です。

2023年現在、日本政府が先導して企業におけるDXを推進しています。経営陣から従業員に至るまで、企業に在籍するすべての人がデジタルリテラシーを習得すれば、企業のDX推進をスムーズに進められるのです。

デジタルリテラシーの習得が必要な3つの理由

デジタルリテラシーの習得が叫ばれているのは、デジタル技術を使いこなせる人材が不足していることが最大の原因ですが、それ以外にも次のような理由があります。

  • デジタルデバイスの普及
  • 働き方改革の推進
  • DXの推進

それぞれの理由について詳しく解説します。

デジタルデバイスの普及

近年では、デジタルデバイスが広く普及しており、ビジネスシーンにおいてもさまざまな場面で使用されるのが一般的です。

たとえば、オフィスでの事務作業や商談、プレゼンテーションではパソコンやタブレットを使用し、書類や日程などをスマートフォンからアプリを使用して確認するケースも増加しています。

デジタルデバイスは使いこなせれば便利である一方、操作方法が分からなかったり、セキュリティの意識が低かったりすれば、使いこなすのは難しいでしょう。

そのため、ビジネスシーンでデジタルデバイスを活用するためには、デジタルリテラシーの習得が必須となるのです。

働き方改革の推進

多くの企業で働き方改革が進められており、リモートワークを導入する企業が増加しています。

リモートワークを導入するにあたって重要になるのが、オフィス以外の場所で仕事ができる環境の整備です。

しかし、インターネット環境やセキュリティ対策が整っているオフィスと違い、従業員の自宅などでは環境が整っていなかったり、環境の整え方が分からなかったりするケースが多いのが現状です。

オフィス以外の仕事環境の構築やセキュリティ対策を整備、業務の生産性向上のためには、デジタルリテラシーの取得が必要といえます。

DXの推進

2023年時点の日本では、少子高齢化による人材不足の解消や業務効率化を目的として、DXが推進されています。

DX推進の基本となるのが、まずはデジタル技術やデジタルデバイスに対する企業全体のアレルギーを排除することです。

今後、他社に負けない競争力を得るためには、従業員全員のデジタルリテラシーの習得が求められることになります。

Di-Liteが推奨する3つのスキルとは

Di-Liteとして推奨されているのは、IT・ソフトウェア領域、人工知能(AI)・ディープラーニング領域、数理・データサイエンス領域です。

なお、これらの領域は2023年10月時点で定義されているものであり、今後重要と考えられる知識やスキル、マインドが順次追加される予定です。

現時点で推奨される領域がどのようなもので、どういう場面で関わることになるのか、詳しく解説します。

IT・ソフトウェア領域

IT・ソフトウェア領域とは、ビジネスシーンだけではなく、私たちの生活にも深く関わる領域です。

たとえば、スマートフォンやパソコンの使い方、パソコンに導入されているWordやExcelなどのソフトのスキルが該当する他、プログラミングスキルやセキュリティ、データベースなどもITやソフトウェアに関する領域です。

また、近年ではIoTやビッグデータ、ブロックチェーンなど、新しいIT技術が経済や社会に大きな影響を与えています。

ITやソフトが苦手な人は、気後れしてしまうかもしれませんが、すべてのスキルや知識を完璧に習得する必要はありません。ITやソフトウェアに関して、できるだけ幅広い知識やスキルの習得を目指し、学び続けることが重要になります。

人工知能・ディープラーニング領域

人工知能とは、人間が実現する知覚・知性を、コンピュータを使って人工的に再現するものを意味します。また、ディープラーニングとは、人間の行動を人工知能に学習させるための1つの手段です。

近年、人工知能(AI)に関する技術の発展が目覚ましい状況にあります。たとえば、カメラの加工アプリや検索エンジンのAI化など、私たちの身近でも人工知能の技術を生かしたサービスが多数提供されているのが現状です。

また、ディープラーニングの技術も同様に発展しており、医療研究や自動運転システムに活用されていることから、これらは現代社会のITインフラになっているといえます。

そして、今後は人工知能やディープラーニングを使う側ではなく、作る側としてのスキルが求められるようになると見込まれています。

そのため、人工知能やディープラーニングがどのような性質のものなのかを理解することから始め、知識やスキルを深めていく必要があるでしょう。

数理・データサイエンス領域

数理・データサイエンスは、さまざまなデータを処理したり、分析したりすることで、課題や新たなアイデアを生み出すための方法のことです。

デジタルデバイスやデジタル技術の発展によって、現在ではさまざまなデータが生まれ続けている状況にあります。たとえば、インターネット通販での購入履歴や動画サイトでの閲覧履歴、交通系ICカードの利用履歴、SNSへの投稿などが該当します。

これらの膨大なデータ(ビッグデータ)を処理・分析することで、企業が抱える課題やユーザーの行動パターン、嗜好性、商品やサービスの利用者の傾向などを把握できるようになり、課題解決や商品開発のアイデアが生まれる可能性があります。

今後もビッグデータは発生し続けることから、数理・データサイエンス領域の知識やスキルは重要視されるでしょう。

Di-Liteのスキル取得するために学習すべき範囲

Di-Liteが推奨する領域の知識やスキルは、次に挙げる3つの試験のシラバス(試験で出題される範囲、学習指針)を合わせた範囲として認定されています。

  • ITパスポート試験
  • G検定(ジェネラリスト検定)
  • データサイエンティスト検定

それぞれの試験の学習範囲について解説します。

ITパスポート試験

ITパスポート試験とは、IT化された社会で働くすべてのビジネスパーソンに求められる基礎的な知識を有することを客観的に証明できる国家資格です。

出題範囲の大分類は企業と法務、経営戦略、システム戦略、開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、基礎理論、コンピュータシステム、技術要素からなり、ITを利活用するビジネスパーソンや、これから社会に出る学生が習得するべき知識・スキルを問う内容となっています。

G検定(ジェネラリスト検定)

G検定とは、ディープラーニングに関する基礎的な知識や、適切な活用方針を決定して事業活用するスキル・知識を有することを客観的に証明できる資格です。

出題範囲は人工知能の概要、人工知能をめぐる動向、人工知能分野の問題、機械学習の具体的手法、ディープラーニングの概要、ディープラーニングの手法、ディープラーニングの社会実装、数理・統計からなります。

G検定の出題範囲を体系的に学習することで、人工知能ができることやできないこと、AIの活用方法、活用のために必要なものが理解できるようになり、データを活用した新たな課題やアイデアを発見できるようになります。

データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)

データサイエンティスト検定とは、情報処理や人工知能、統計学などの情報科学に関連する知識やスキルを有していることを証明できる検定試験です。

このうち、Di-Liteの学習範囲とされているのが、見習いレベルに該当する「アシスタント・データサイエンティスト」のシラバスです。

データサイエンティスト検定では、以下の3つのスキル領域について問われます。

  • 情報科学に関する知恵を理解して活用するデータサイエンス力
  • データサイエンスを使えるように実践・運用するデータエンジニアリング力
  • ビジネスでの課題を整理・解決するビジネス力

アシスタント・データサイエンティストの知識・スキルを習得することで、ビジネスパーソンに求められる領域がカバーできます。

Di-Liteに対応する研修・学習サービス

Di-Liteを習得するための学習方法はさまざまですが、近年では研修サービスや教育サービスによってビジネスパーソンのDi-Lite習得をサポートする企業が増加しています。

次に紹介する企業でも、Di-Liteに対応した研修・学習サービスを提供しています。

  • トレノケート株式会社
  • CTCテクノロジー株式会社

トレノケート株式会社

人材育成サービスを提供するトレノケート株式会社では、Di-Lite対応コースとして資格取得のファーストステップとなる研修サービスを提供しています。

Di-Liteが推奨するすべての領域の研修に対応しており、各領域のリテラシーレベルの知識習得を重視した内容で、各領域の試験準備の下地として幅広い知識を習得可能です。また、すべての研修がオンライン対応となっており、自宅やオフィスなどから受講できます。

参考:Di-Lite対応コース | IT研修のトレノケート

CTCテクノロジー株式会社

コンピュータシステムの設置やメンテナンス、技術的コンサルティングなどを展開するCTCテクノロジー株式会社では、IT・技術研修を提供するCTC教育サービスを提供しています。

Di-Lite推奨の領域にすべて対応しており、基礎的な知識を習得したい人から、各領域の試験の受験を検討している人まで、さまざまなニーズに応えられる講座となっているのが特徴です。すべての講座がオンライン受講となっており、インターネット環境が整っていれば、どこからでも受講可能です。

参考:Di-Lite|CTC教育サービス 研修/トレーニング

ビジネスシーンのデジタルリテラシー強化でDXの推進を

デジタル技術の普及やDXの推進などによって、ビジネスパーソンのデジタルリテラシーの重要性が増しています。Di-Liteは求められるスキルや知識を体系的に定義しているため、何から勉強するべきなのか理解しやすいはずです。

Di-Liteが推奨する3つの領域のスキル・知識を習得すれば、従業員のデジタルリテラシーを強化でき、スムーズなDX推進が可能になるでしょう。

リスキリングナビでは、こちらのコラムの他にも、社内DX推進やDX人材の育成をテーマにしたさまざまなコラムを展開しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

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