DX人材育成3つの秘訣〜経産省「デジタルスキル標準」から学ぶ〜株式会社ドコモgaccoセミナーレポート

公開日:2023.09.11 更新日:2023.09.11

少子高齢化や人材不足をはじめとする様々な社会課題があふれる中、企業のみならず社会の各領域ではDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが、より一層求められています。今回は、2023年7月21日に愛媛県松山市で行われた「えひめICTトレンドセミナー2023」より、株式会社ドコモgacco 営業部 マネージャー横山 竜也氏による「DX時代の人材育成 ~経済産業省『デジタルスキル標準』から学ぶ~」というセミナーの内容をレポートいたします。

大学時代から一貫してデータ活用に携わってきた

まず自己紹介をさせていただければと思います。私は三重県出身で、名古屋大学理学部に進学後、土地利用の変化が地球温暖化に与える影響の研究をしていました。2010年には同大学の大学院の環境学研究科に入学しました。森林が伐採されて都市化される等で土地利用が変化した場合、どれだけ地球温暖化に影響を与えるのかといったシミュレーションの研究をしていました。学生時代からデータが身近にあり、データの活用に取り組んできました。

2012年に株式会社NTTドコモ入社後、三重県のドコモショップのラウンダーを経験して、新規事業開発部門でドコモデータを活用したリサーチ・プロモーションサービスの運営・グロースとアライアンス等を担当しました。2018年より、現職の株式会社ドコモgacco(以下 ドコモgacco)でeラーニングを中心とした人材開発サービスの企画や営業のマネージャーと「DX人材育成プログラム」の開発に従事しています。

株式会社NTTドコモに入社した頃はスマートフォンが普及し始め、動画や音楽、書籍のコンテンツが普及し始めた頃でした。当時からお客様1人ひとりにあったサービスを提案したいと考えていました。新規事業開発部門ではdポイントクラブの会員様が使えるアンケートサービス(dポイントクラブアンケート)の事業に携わっていました。アンケートに答えていただくことでポイントがもらえるサービスです。企業が商品のリサーチをしたい時等に活用していただけます。また、会員の方々に趣味や思考などもお答えいただき、データを蓄積していく事で、お客様1人ひとりにあった情報をお届けすることにも貢献しているサービスです。新規開発部門でもデータ活用に関わり、大学時代から振り返ると、一貫してデータ活用に取り組んでいたと、感じています。

DXという言葉の定義の変遷

はじめにDX(デジタルトランスフォーメーション)についてお伝えします。DXとは2004年に発祥した言葉で、「デジタル技術が人間の生活の全ての側面に引き起こす変化」と定義されています。

DXの意味合いは時代の変遷とともに、受動的なニュアンスの「変化」から、能動的なニュアンスの「変革」に変化しています。最近ではデータやデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立するということに定義が変わっています。強い意志を持ち、デジタルの力やデータを使って、世の中を変化させなければ、といったニュアンスではないでしょうか。

しかしながら、デジタルトランスフォーメーションの実現は一足飛びにできるものではありません。デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションのプロセスを経る事が必要です。デジタイゼーションとは手書きのメモや手計算がWordやExcelに置き換わる様な物理データのデジタル化です。デジタライゼーションは個別の業務や製造プロセスのデジタル化によって業務の効率化、生産性の向上を目指します。例えば営業支援ツールの導入により業務効率化、生産性向上を図るといった事がデジタライゼーションです。デジタルトランスフォーメーションは組織横断での業務プロセスや製造プロセスのデジタル化や、価値創造のための事業やビジネスモデルの変革です。

DXで遅れをとる日本が迎える「2025年後の崖」問題

外の世界に目を向けると、日本はGDPこそ世界第3位ですが、DXの推進については遅れを取っています。日本のデジタル競争力のランキングは 2022年で世界ランキング29位、デジタルテクノロジースキルやビッグデータの活用、分析などの分野では世界の中でも63位とかなり低い位置です。デジタル競争力の弱さは日本の成長にとって足かせになっており、DXによる業務効率の向上、生産性の向上を図る事は日本に必須です。

DXが遅れた場合のリスクとして喫緊の課題が「2025年の崖」問題です。システムが複雑化したり古くなったりすることに加えて、人材不足によって2025年以降に 1年間で12兆円のもの機会損失が出ると言われています。この問題の影響は以下の3つが想定されています。

1.セキュリティやシステムトラブルのリスク向上
2.技術的負債による維持管理費の高額化
3.市場変化への迅速、柔軟な対応が困難になる

DX推進に向けた人材育成の重要性と「デジタルスキル標準」

先述の様な急速な社会の変化の中、デジタル人材の育成は急務となっています。DXを進めるだけではなく、質についても高めていける様な、デジタル技術に長けた人材の育成と確保が必要になっています。経済産業省もDXの推進と育成・確保については、両輪で回していく必要があると述べています。また、経済産業省では、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営者に求められる対応を定めたデジタルガバナンスコード(*1)を作成しています。

デジタルガバナンスコードでは、デジタル技術の進化がもたらす影響を考慮して、ビジョンやビジネスモデル、人材育成や体制作り、環境や目標設定をしていくことを目指しています。デジタルガバナンスコードは2022年の9月に改定され、DX人材の育成や確保の重要性が追記、明記されました。DX人材の育成の重要度がますます高まってきていると言えます。

経済産業省は2022年12月にデジタルスキル標準を作成しました。これはDX人材育成のため1つの道しるべになるスキル標準で、大きく2つの項目から構成されています。

1.DXリテラシー標準(*2)
2.DX推進スキル標準(*3)

DXリテラシー標準では全ビジネスパーソンに必要なDXに関するリテラシーがまとめられています。一方、DXスキル標準ではビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの5つの専門職種を定義しています。企業がDXを推進していく上では、社員が一定のDXに関するリテラシーを持つことが必要でしょう。

(*1)引用:経済産業省 デジタルガバナンスコード

(*2)DXリテラシー標準 引用:経済産業省 DXリテラシー標準

(*3)DX推進スキル標準 引用:独立行政法人情報処理推進機構 DX推進スキル標準(DSS-P)概要

DX人材育成における3つの秘訣

DX人材育成においては以下の3つの秘訣があります。DX人材の育成にはポジションごとの学び方が大切です。以下3つのステップを挙げます。

1.成功体験の積み重ね
2.学びの入出力経験
3.ポジション別のアプローチ

1つ目の成功体験の積み重ねですが、一足飛びにDX人材の育成は難しいかと思います。大学時代全くExcelに触れていなかった人が、入社してExcelを学び、データ分析ができる様になり顧客分析により新たな価値提供ができるようになった。こうした成功体験の積み重ねがDXに近づいていくことだと考えています。

2つ目は学びの入出力経験です。私たちは人材開発のサービスをeラーニングと対面研修で提供しています。eラーニングは動画を見て学ぶため、基本的にはインプットの学びです。一方、対面研修はワークショップ形式で学ぶため、自分が発信し実践することによりインプットした知識が、自分のスキルとして定着します。対面研修なので様々な人の発言をインプットでき、さらに自分のスキルが高められます。 DXの人材育成には学びの入出力の経験が大切だと考えています。

3つ目はポジション別のアプローチです。 ポジションごとに求められるスキルは変化します。現場のメンバー層は専門知識やリテラシーを持ち合わせていることが主に必要になりますが、上位のポジションに行くにつれてヒューマンスキルやコンセプチュアルスキル、ビジョン作成や計画立案、戦略立案といった統合的なスキルが必要になります。

そのため、上位のポジションになるほど、知識やリテラシーの習得を主目的としたインプット型のeラーニングだけでなく、対面研修で実際に手を動かし参加者と話し合いながらスキルを習得していくアウトプット型の学びが必要になってくると考えています。

ある製造メーカーの成功事例です。ポジションごとの様々な課題や悩みに対して全員が同じアプローチをするのではなくて、マインド醸成についてはeラーニングを使い、リーダー、メンバー層を中心にして学びました。環境の理解やビジョンの策定については、一部のリーダーを含めたマネージャーを対象に対面研修で学ぶことで、会社として方向性をしっかり考えることができました。結果的に会社全体としてDXを進めるべきといったマインド醸成と推進に向けた第一歩を踏み出すことができました。

ドコモgaccoが提供する「DX人材育成プログラム」

DX人材育成における3つの秘訣をお伝えしましたが、私たちは3つの秘訣の全てをご提供できると考えております。eラーニングのみならず、インプットとアウトプットができる対面研修にも特徴があります。DXのプログラムは何から始めていいかわからないといったお客様も多くいらっしゃいますが、そうしたお客様のニーズにお応えできるように、DX人材育成を進めていく上で、カリキュラムを制作しています。

eラーニングを幅広いラインナップをご用意していますので、より学習効果が高まると考えています。 すでに延べ10万人以上の方にご利用いただいているプログラムになっていますので、安心してご利用いただけます。 IT基礎スキルといった基礎的なコンテツからシステム、アプリケーション開発まで充実していますので、様々な課題感にお答えできると思います。デジタルスキル標準に準拠したカリキュラムや業種別のDXが学べるような講座、企画や財務といった職種別に必要なDXのコンテンツもご準備しておりますので、DXの第1歩を踏み出すことにご活用いただければと思います。

株式会社ドコモgacco

約10万人が利用したDX人材育成プログラム

ドコモgaccoのDX人材育成プログラムは、経済産業省が定める「デジタルスキル標準」に基づいた体系的なカリキュラムの提供により、 DX人材育成のスタートにお悩みの皆様の課題を解決できます。

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