マーケット分析とは?手法(フレームワーク)・やり方をわかりやすく解説!

公開日:2023.11.06 更新日:2023.11.06

マーケット分析と聞くと、3CやSWOTなど馴染みのない単語ばかりで難しいイメージがあるかもしれません。ここでは、マーケット分析で使われる基本のフレームワークや取り組み方などをわかりやすく解説します。

マーケット分析とは?

まず、マーケティング分析の概要や目的について簡単に解説します。

適切なビジネス戦略を練るために行う情報収集・分析

マーケット分析とは、業界の現状や将来性を把握し、自社の強みや特性を活かす最適なビジネス戦略を立てるために行う情報収集・分析です。自社が属する業界や競合他社の動向、顧客ニーズなどに関する情報を集めて、3CやSWOTなどの手法(フレームワーク)を活用しながら、今後の商品企画やプロモーションの方向性を検討します。

商品開発や新規事業開発、リブランディングなどに活用する

マーケット分析は、新商品・新規事業の開発やリブランディングなどのタイミングで実施されます。マーケット分析によって客観的なデータを根拠にした合理的な経営判断ができ、時代とともに変化する顧客ニーズやビジネス環境に対応した商品・事業を展開できます。

マーケット分析でわかること

マーケット分析を実施すると、市場規模・動向や競合他社の情報、顧客ニーズなどを把握できます。

市場規模・動向

市場規模とは、自社が属する業界の年間売上高や販売数量など、ビジネスの大きさを指す言葉です。市場動向は、ターゲットとなる市場の成長率・競争率など、ビジネス環境の流れを指します。

マーケット分析を行うときは「TAM・SAM・SOM」の考え方でターゲット市場を細分化して考えるとデータ活用しやすくなります。TAM(Total Available Market)は、分析対象の事業で売上・顧客を獲得できる最大の市場規模を表す言葉です。SAM(Serviceable Available Market)は、TAMのうち分析対象の事業で実際にアプローチする市場規模を指します。SOM(Serviceable obtainable Market)は、SAMの中でアプローチした結果、売上・顧客を現実的に獲得できる市場規模を表します。TAM・SAM・SOMを活用すれば、短期的にどれくらいの市場シェアを獲得するべきなのか、事業を拡大した場合に最大でどのくらいの収益が見込めるのかなど、具体的な事業計画を考えやすくなります。

市場規模・動向に関する情報を集める手段としては、官公庁や業界団体が発行している調査資料や民間の調査会社が販売している市場調査レポートなどが挙げられます。

競合他社の情報

マーケット分析を実施すると、競合企業の強み・弱みや商品価格、SNS・Web広告の活用状況、ブランディングの方向性などを整理でき、競合企業の事業状況を体系的に理解できます。競合他社の情報を正確につかむことで、より自社の強みを活かしたビジネス戦略を考えることが可能になります。

競合他社の情報を得る手段としては、各企業のホームページやIR情報、年次報告書、運営しているSNSなどが挙げられます。また、競合他社の商品に関する口コミを調査する、競合企業が出展している展示会に参加するなどの方法も有効です。

顧客のニーズ

マーケット分析を行うと、顧客が商品・サービスの何に魅力を感じるのか、どのような点に不満を抱いているかなど、顧客のニーズを探ることができます。その結果、新商品の開発にあたって目指すべき方向性が見えやすくなり、より効果的な戦略立案につながります。

顧客ニーズに関する情報を集める方法としては、商品に関するSNSの投稿や口コミサイトでの評価を確認する、アンケート・インタビューを実施する、取引先や消費者からの意見を聞く機会が多い営業担当の社員にヒアリングを行うなどが挙げられます。実店舗を持っている企業であれば、店舗に足を運んで顧客が商品を選ぶ様子を観察するのもアリでしょう。

マーケット分析で使う基本の手法(フレームワーク)

マーケット分析では「STP分析」「3C分析」「SWOT分析」「PEST分析」「5フォース分析」「バリューチェーン分析」「4P分析」などの手法がよく用いられています。

STP分析

STP分析は、Segmentation(セグメンテーション:市場細分化)、Targeting(ターゲティング:狙うべき市場の選択)、Positioning(ポジショニング:自社の立ち位置の決定)の頭文字から作られた用語で、自社と競合他社を差別化するポイントを見極めるための手法です。

STP分析では、まず市場全体を顧客の属性やニーズごとに分けます(セグメンテーション)。そして、細分化した市場グループの中から、収益性や競争優位性などを基準に自社が狙うべき市場を選びます(ターゲティング)。最後に、ターゲット市場にいる競合他社の商品と自社商品を価格・品質・販売チャネルなどの基準で比較し、自社の現在のポジションを把握した上で今後目指すべき立ち位置を明確にします(ポジショニング)。

3C分析

3C分析とは、事業に関わるCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社、の3つの観点から事業の方向性を検討し、事業を成功させるために必要な条件を把握する手法です。

3C分析では、まずCustomer(市場・顧客)の観点から市場の規模・成長率や顧客の属性・ニーズ・購買プロセスなどの項目を分析します。次に、Competitor(競合)の観点から競合他社の業界シェアや商品の特徴、現在の評価などの情報を整理します。最後に、Company(自社)の観点で、競合他社に対して行ったように自社に対しても現状の分析を行います。

SWOT分析

SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの観点で自社の現状を客観的に把握する手法です。4つの観点から網羅的に現状を把握することで、事業の改善点を洗い出しやすくなり、経営のリスクマネジメントにもつながります。

Strength(強み)・Weakness(弱み)の観点では、たとえば「品質が高い」「消費者の認知度が低い」など自社の内部環境を振り返ります。Opportunity(機会)、Threat(脅威)の観点では、「市場成長率が高い」「競合企業が急増している」など自社がコントロールできない外部環境を整理します。

PEST分析

PEST分析とは、自社の外部環境をPolitics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つに分け、これらが自社の事業活動に与える影響を考察する手法です。現状の分析だけでなく、事業の将来性を検討する際にも利用します。

Politics(政治)では、法改正や政権交代、規制緩和など、法律・政治面における変化を検討します。Economy(経済)は、株価や経済成長率、為替など企業の利益・売上に直接的に関わる項目が分析対象です。Society(社会)では人口の増減やライフスタイルの変化など、社会の動きや消費者行動を整理します。Technology(技術)では、AI技術の進歩や特許権の取得・消滅など、事業に関わる技術の変化に注目して現状・将来性の分析をします。

5フォース分析

5フォース分析は、収益を伸ばす上で脅威となる「競合業者」「業界への新規参入業者」「代替品」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」の5つの観点から、業界全体の競争状態を分析する手法です。自社が置かれている外部環境について理解を深めることができ、業界内で収益を確保するために必要な施策を検討しやすくなります。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、原材料の調達から市場での流通・販売までの流れ(バリューチェーン)を工程ごとに分析する手法です。事業全体を漏れなくチェックでき、自社の課題や強み・弱みを洗い出しやすいという特徴があります。

バリューチェーン分析を行うには、まず自社のバリューチェーンを書き出す必要があります。そして各工程のコストをまとめて強みと弱みを整理し、VRIO(ブリオ)分析を行います。VRIO分析は、企業の競争優位性を把握するための分析手法で、「Value:事業に経済的な価値があるか」「Rariy:事業に希少性があるか」「Imitability:他社に模倣される可能性がないか」「Organization:経営資源を有効活用できるような組織体制が整っているか」という視点で評価します。

4P分析

4P分析は、「Product(商品・サービス)」「Price(価格)」「Place(販売場所・提供方法)」「Promotion(販促活動)」の4つの観点から事業を分析する手法です。STP分析を経て具体的なマーケティング戦略を考える段階でよく用いられます。

4P分析は有形の商品があるメーカー企業に適したマーケティング手法です。無形商材を扱うサービス業の場合は4Pだけでなく、「People(自社・関係会社の人材)」Process(サービスの提供プロセス)」「Physical Evidence(物理的証拠)」の3Pを加えた7P分析が主流となっています。

マーケット分析のやり方

マーケット分析は「目的を決める」「分析に必要なデータを集める」「マーケティング手法を用いてデータを分析する」の3ステップで取り組みましょう。

【STEP1】目的を決める

まずはマーケット分析を行う目的を決めましょう。具体的には、「マーケティング分析で何を明らかにするのか」「分析結果をどのように活用するのか」の2点を明確にします。この2点をはっきりさせると、分析に必要なデータや用いるべき手法を考えやすくなります。

【STEP2】分析に必要なデータを集める

マーケット分析の目的を決めたら、どのようなデータがあれば目的を果たせるか考え、自社で持ち合わせていないデータを集める工程に移ります。たとえば、業界の市場規模や成長率、顧客ニーズ、競合他社の商品情報などはどのような企業でも必要になるデータでしょう。情報収集では、官公庁や民間調査会社の資料、企業のホームページやSNSなどさまざまな媒体を活用することが大切です。

【STEP3】マーケティング手法を用いてデータを分析する

必要なデータを収集できたら、上記で紹介したマーケット手法を用いて実際に分析を行います。 ターゲット市場や外部環境の分析に役立つ手法は「STP分析」「3C分析」「PEST分析」「5フォース分析」「4P分析」などで、自社のポジションや強み・弱みの分析には「SWOT分析」「バリューチェーン分析」のフレームワークなどが有効です。

まとめ

マーケット分析とは、適切なビジネス戦略を練るために行う情報収集・分析です。マーケット分析の手法にはSTP分析・3C分析・SWOT分析・PEST分析・5フォース分析・バリューチェーン分析・4P分析などがあり、マーケット分析の目的に応じて手法を使い分けることが大切です。

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