組織マネジメントとは?必要なスキルや実践できるフレームワークを交えて解説

公開日:2023.08.09 更新日:2023.08.09

組織の持続的な成長、生産性の向上のためには効果的な組織マネジメントが欠かせません。きちんとした組織マネジメントが実施できなければ、非効率的な仕事の進め方や従業員の不満の要因となったり、人材流出などの懸念につながったりする可能性もあります。

本記事では、なぜ組織マネジメントが必要とされているのか、実行するために必要なスキルや活用できるフレームワークなどを解説していきます。

組織マネジメントとは

組織マネジメントとは、組織を効率的に動かすためのマネジメント手法です。組織マネジメントを行う管理職には、組織に関わる「ヒト」「モノ」「金」「情報」を適切に管理・運用し、機能させていくことが求められます。

その中でも「ヒト」に関わるマネジメントに大きな影響を与えるのが、組織マネジメントです。組織マネジメントにおいて「ヒト」は、とくに重要な経営資源であると考えられており、適切なマネジメントが求められます。「ヒト」のマネジメントには他の項目と比較して、感情や体調など予測が難しい面があり管理が難しいとされていますが、注力することで組織の目標達成や理想の姿に近づいていきます。

組織マネジメントの必要性

組織マネジメントの重要性が増している背景には、企業の人材獲得競争が激しさを増してきた点やビジネスの変化が速くなってきた点が挙げられます。

少子高齢化や多様な働き方の広がりによって、どの企業でも優秀な人材の確保や育成が喫緊の課題となっています。転職に対する人々の意識が変化を見せる中で、従業員のエンゲージメントを上げ、離職防止につなげることも課題の一つです。企業の人材確保の観点からも、組織マネジメントの重要性が増しています。

さらに昨今では、グローバル化が進み、AIなどのITを活用したビジネスが急速な広がりを見せ、イノベーションが頻繁に起こるなど、ビジネスの変化が速くなってきています。こうした変化に対応し、企業が持続的な成長を続けていくためにも、適切な人材配置や優秀な人材の育成など、効率的な組織マネジメントが求められるようになっています。

こうした背景から組織マネジメントの必要性は、さらに増してきています。

組織マネジメントに必要なスキル

組織マネジメントに必要なスキルとして、以下の6つが挙げられます。

  • コミュニケーション力
  • 人材マネジメント力
  • 目標設定力
  • 計画遂行力
  • リスク管理能力
  • 評価力

それぞれのスキルについて解説していきます。

コミュニケーション力

組織マネジメントにおけるコミュニケーション力とは、部下や上司に対するコミュニケーション力を指します。組織マネジメントを行う管理職には、現場の状況を分析したうえで、上層部へ適切な進言を行ったり、部下に対して経営戦略から逆算した目標や、そのために今行うべきことの指示をしたり、さらに現場の意見に耳を傾けたりするなど、高度なコミュニケーション力が必要となります。

コミュニケーション力がなければ、信頼関係の構築は難しく、適切なマネジメントは難しくなってしまいます。

人材マネジメント力

人材マネジメント力とは、部下の個性や適性を把握し、適材適所の人材配置を行うスキルのことです。さらに配置した部下に働きやすいと感じてもらえるような環境整備や指導も必要になります。

その場所に配置した意味を客観的に説明し、部下に納得感を持って業務に臨んでもらったり、管理職自らが手本となるような姿勢を見せたりするなど、部下が業務に自発的に取り組むようなマネジメントが求められます。

目標設定力

目標設定力とは、組織の目標から逆算的に考え、その達成に向けた計画や施策を取りまとめる能力のことです。掲げた目標に対してどのような人材配置で、どのようなスケジュールであれば無理なく達成できるかなどを考えていきます。

目標設定力には中長期的なプランニングはもちろんですが、進捗状況に応じて見直していく対応力も求められます。

計画遂行力

計画遂行力とは、掲げた目標を達成するためにきめ細かい計画を立て実行していく能力のことです。目標設定力と類似していますが、計画遂行力は、大きな目標設定を業務レベルまで、より綿密に落とし込むスキルになります。

目標達成までの道のりを細分化し、わかりやすく示せば、メンバーは目標に向かって迷うことなく進めるようになります。メンバーが同じ方向を向いて目標を達成できるように、業務の必要性が認識できるような環境づくりや進捗が芳しくないメンバーに対しての適切なフォローを行うスキルが求められます。

リスク管理能力

リスク管理能力とは、想定されるリスクを事前に想定し、リスクが現実となってしまった際には優先順位をつけて対応していく能力のことです。

前章で解説したように、昨今のビジネスの変化はすさまじく、1年前とは状況が大きく変わってしまうというケースも少なくありません。組織マネジメントを行う管理職には、外部の状況にも目を凝らし、いち早く変化に気づき、対応していく力が必要です。

具体的にはリスクが発生した際のマニュアル作成や、業務フローの変更などを行なっていきます。

評価力

自己のマネジメント下にあるメンバーに対して、適切で公平な評価を行うのが評価力です。成果を出したメンバーを表彰したり、報酬を与えたりする機会を設けるなど、高いモチベーションを持って業務に臨んでもらえるような対策が求められます。

また、適切に評価されると認識されれば、評価された本人だけでなく、他のメンバーも含め、組織全体のモチベーション向上にもつながっていきます。

組織マネジメントで使えるフレームワーク

組織マネジメントを行なっていく際に活用できるフレームワークとして、以下の2つを紹介します。

  • マッキンゼーの「7S」
  • バーナードの組織の3要素

それぞれのフレームワークについて解説していきます。

マッキンゼーの「7S」

マッキンゼーの「7S」とは、マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱している組織の考え方で、ハード面に関わる「3S」とソフト面に関わる「4S」によって構成されています。

ハードの3S

  • 組織(Structure):組織経営スタイルの戦略決定
  • 戦略(Strategy):市場における競争優位を達成するために立てられた事業の方向性
  • システム(System):人事評価や報酬などの目標を達成のための仕組み

ソフトの4S

  • 人材(Staff):組織に属している人材および質
  • 経営スタイル(Style):企業文化や社風、マインド
  • 経営スキル(Skills):組織が持っている技術力や営業力、マーケティング力など組織全体のスキル
  • 価値観(Shared Value):組織共通で認識しているビジョンや価値観

これらの7Sを一つずつ分析していくことで現状把握や課題の把握、改善案の作成などにつなげていきます。組織の経営方針を決定する際に世界的に活用されているフレームワークです。

バーナードの組織の3要素

バーナードの組織の3要素とは、「共通目的」「協働意欲」「コミュニケーション」の3つの要素があることで、組織として成り立つという考え方のことです。

組織が一枚岩になって効果的に動いていくためには、経営層から末端の従業員にまで行き渡った「共通目的」、共通目的に共感し、達成するために一緒に働きたいと感じる「協働意欲」、目的を達成し、協力し合うために必要な「コミュニケーション力」、それぞれが欠けることなく、共通の目標に向かって助け合いながら進めていくのが強い組織であるとしています。

組織マネジメントを行う際は、バーナードの組織の3要素に当てはめて適切になっているかを確認すると効果的です。

組織マネジメントの企業事例

組織マネジメントの事例として、以下の2社の取り組みを紹介します。

  • Google
  • パナソニック株式会社

Google

Googleでは、「心理的安全性のある組織づくり」を掲げて組織マネジメントを行なっています。具体的には、組織において役職の違いや自分の考えを恐れることなく発信できる状態を作り上げることに注力しています。

Googleでは、毎週金曜日に「TGIF(Thank God, It’s Friday!)」という場を設け、従業員がCEOに対して直接質問を行い、回答を得るミーティングを開催しています。この取り組みにより、経営陣と現場の間で考えに違いが生じないようにしています。

他にも、定期的なフィードバックを行うなどフラットな組織作りを実践し続けています。

パナソニック株式会社

パナソニック株式会社では1933年から「事業部制組織」を採用していました。事業部制組織とは、本社部門の下に事業内容ごとに編成された組織(事業部)を構成する組織形態で、それぞれの組織が研究開発から利益管理までを行います。長年、その組織形態を続けてきましたが、時代の変化とともに対応が難しくなる場面も増え、2001年に廃止されました。

その後、業績は回復していましたが、パナソニックの強みであったプラズマディスプレイ市場で起こった低価格競争やニーズを捉えきれなかったことから、再び業績が悪化。改めて2010年に事業部制組織を復活させ、見事に業績を回復、発展へとつなげています。

時代の変化を適切に捉え、柔軟に組織改革を行なってきたパナソニック。パナソニックが長く発展している要因に組織マネジメントがあります。

まとめ

組織マネジメントを成功させるために必要なスキルはさまざまです。そうしたスキルを備えた人材を育成することも企業の課題の一つと言えるでしょう。

組織マネジメントを疎かにすると、時代の波に取り残され、持続的な成長を続けることは難しくなってしまいます。組織マネジメントを効果的に行うためにも、まずは自社の組織の現状を分析してみてください。

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