高度なマネジメント能力が求められる人材育成。
人材育成に取り組む担当者にとって、「どのような目標を立てるか」は成功を左右する大きな課題です。
そこで本記事では、人材育成における目標の立て方、目標設定において注意すべき点などについて、実例とともに解説していきます。
目次
人材育成において、目標設定が重要視されるのには以下の2つの理由があります。
人材育成の目標を設定するということは、現状の社員がもつスキルを棚卸しし、企業が目指す理想に向けた伸びしろを明らかにするということです。
この過程で、企業に不足しているスキルや、社員個人の能力が可視化されます。足りないスキルが明確になることで、人材育成はもちろん、その他の業務においてもリソース配分やコミュニケーションが改善する可能性があります。
また、社員一人ひとりの課題が明確になり、具体的なステップが示されるため、社員のモチベーションを上げることにもつながります。
企業全体の経営目標やビジョンを人材育成に結びつけることで、社員にも同じ考えや姿勢が共有され、普及するというメリットもあります。
経営理念を日常業務の中で意識づけ、社員のエンゲージメントを高めたり、自律的な行動を促したりする効果が期待できるでしょう。
人材育成における目標の具体的な例を紹介します。
事務職、営業職、人事職、マーケティング職、管理職に分け、それぞれの場合の目標設定の具体例と意識すべきポイントを説明していきます。
事務職は、データ入力や電話応対などの細かな処理を正確にこなすことが求められる傾向があります。そこで、ミスの防止や業務効率化に関する目標を立てるのがおすすめです。
具体例としては、以下のようなものが考えられます。
営業職は、成果が売上に直結するため、数値目標を設定しやすい職種です。
指標としては、売上そのものや、法人営業であれば商談件数、個人営業であれば訪問件数などの行動面を数値化する方法があります。自社の要求に応じて、最適な指標を選定できるとよいでしょう。
具体例としては、以下のようなものがあります。
人事職は、業務が多岐にわたり、個人の成果を定量的に評価することが難しい職種です。
採用、教育、労働環境改善などの特定の領域に着目し、具体的な行動に対し数値目標を設定するとよいでしょう。
例えば、人事職では以下のような人材育成目標が考えられます。
マーケティング職は、さまざまな手法で顧客との接点を作り、集客する役割です。営業職と同じく、成果が目に見えやすく、定量的な評価もしやすいです。
WebサイトであればPV数、コンバージョン率などのユーザー行動をもとに目標を設定できます。メール、オンライン広告、SNSなど手法が変わっても、考え方は同じです。
マーケティング職における具体例は、以下のようなものになります。
管理職は、組織を管理する役割があるため、チーム全体の目標や部下の生産性を指標にするとよいでしょう。
具体的には、組織全体の売上、部下の行動目標、残業時間などを数値目標に据えることができます。
人材育成の目標を立てる第一ステップは、最終ゴールとなる企業全体の目的を確認することです。
具体的には、経営戦略をもとに、企業が目指す存在、業績、そして求める人材を明確化していきます。上位の目的を定めることで、そこから逆算して各事業部・部署・社員に与える達成目標を定めることができるようになります。
最終目的と企業全体の目標を定めたら、育成の対象者と求めるスキルを明確化します。
企業にはさまざまな部署・職種・階級の社員がいるため、誰にどんな成長を求めるのかが曖昧だと、どの施策を優先すべきかが分からず、現場に混乱を招きかねません。そのため、ターゲットとなる人材・スキルを明文化しておく必要があります。
また、優先すべき領域の育成に注力することで、経営資源のムダを減らすことにもつながります。
企業の目的と優先順位を照らし合わせ、社員一人ひとりにフォーカスした具体的な数値目標を決めましょう。
ここでは「人材育成目標の具体例」で紹介したように、定量的な指標と期日のあるゴールを決めることが望ましいです。
施策を行って終わりではなく、正しく振り返りと改善を行うためにも、達成を明確に評価できる目標を設定しましょう。
人材育成の目標が決まったら、表計算ソフトなどを使って管理シート等の形で可視化しておきましょう。
管理シートの目的は、進捗と達成度の把握です。目標と進捗を記載し、実施期間が終わったら振り返りと上司からのフィードバックを記録して課題の整理を行います。
また、計画の進捗は上司との1on1ミーティングなどを通じて定期的に見直しましょう。進捗と向き合い、上司や同僚に相談できる機会を設けることで社員本人のモチベーションにつながります。
人材育成の目標を立てる際に注意すべき点は、以下の3つです。
人材育成の目標は、達成可能かつ定量的な評価ができるものにする必要があります。
現状に比べて達成が到底困難な目標を掲げても、社員の達成意欲は湧きづらく、目標が形骸化してしまう恐れがあります。社員のモチベーションを引き出すには、ほどよく挑戦的でありながら、達成可能なラインの目標が望ましいです。
また、進捗の管理や達成の判別がしやすいよう、客観的な目標にすることも重要です。分かりやすく段階的に目標を達成することで、部下のやる気を引き出すことにもつながります。
設定した人材育成目標が、既存の人事評価制度と一貫性のある内容になっているかどうかは重要なポイントです。
人材育成目標を達成しても人事評価には反映されない、というような状況では、社員に不満を抱かせてしまうかもしれません。
2つの評価指標がつながるよう配慮することで、社員も納得感を持つことができ、モチベーションを保ちながら努力を継続しやすくなります。
人材育成の目標は企業全体の目的から作るものですが、一方でその目標がトップダウン式に押し付けられると、社員のコミットは消極的なものに留まる可能性があります。
本来、目標は社員本人が自らの意思で設定するもの。企業の目的と同様に、働く社員個人のキャリア設計を尊重し、内発的なモチベーションで打ち込める目標にすることも必要なのです。
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人材育成目標の立て方について、解説しました。
目標の立て方次第で、人材育成の成果だけでなく、社員の生産性やモチベーションにまで大きな影響があります。
本記事で紹介した具体例と注意すべきポイントを参考にし、より効果的な人材育成を進めていきましょう。