「LMS」とは、Learning Management Systemの略で日本語にすると「学習管理システム」となります。この記事ではLMSの概要や主な機能について解説しています。また、実際にLMSを導入した企業の事例も取り上げていきます。導入を検討している企業の担当者は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
LMSとは、Learning Management Systemの略で、頭文字をとってLMSと呼ばれています。日本語にすると「学習管理システム」です。LMSは、eラーニングを行う際のベースになるシステムとなっています。そのため、eラーニングシステムやeラーニングプラットフォームと呼ばれる場合もあります。
LMSは、日本語だと学習管理システムとなることから、学習を管理する人向けのシステムというイメージがあるかもしれませんが、受講者向けの機能なども搭載されている点が特徴です。そのため、eラーニングに関わる管理者・受講者双方をサポートするシステムだといえるでしょう。
LMSには、管理者向けの機能や受講者向けの機能など、さまざまな機能が搭載されています。各社によって具体的な機能は異なりますが、主な機能は共通しています。ここでは具体的にどういった機能があるのか解説します。
LMSの主な機能の1つがeラーニング機能です。こちらは、eラーニングの配信や受講をする際に使用する機能となります。簡単にいうと、eラーニング用の教材を特定の受講者に指定したタイミングで配信し、受講させる機能です。受講者にeラーニングの受講案内を自動で配信してくれるため、管理者側の負担軽減にもなります。また、eラーニングの受講にあたっては、上司の承認を必要とするケースもありますが、そのような際には承認者を設定することも可能です。
LMSでは、パワーポイントや動画といった素材をベースにした教材作成も可能です。LMSには既存の教材も搭載されていますが、自社のニーズに必ずしも合致するとは限りません。そのような時には教材作成機能が役立ちます。教材のアップロードにも対応しているシステムであれば、LMSを導入する前から自社で使用している教材をシステムに取り込むこともできます。
受講者の学習の進捗状況を確認・管理できます。たとえば、受講履歴をチェックすれば、誰が受講済みで誰がまだなのか一目でわかり、受講していない人にリマインダーを送れます。成績データの集計もできるため、理解度の確認も容易になるでしょう。個々の理解度が把握できれば、必要に応じて個別カリキュラムを作成するといった対策をとることも可能です。
LMSにはチャット機能もついているため、個人間でのコミュニケーションも取れます。たとえば、管理者が受講者に対して「まだ受講していないようなので忘れないようにしてください」といったメッセージも送れます。また、受講者間でもコミュニケーションが取れるため、課題について議論するといったこともできるでしょう。
近年では、動画を活用した教材も一般的なものとなりましたが、LMSでもライブ配信や動画録画などを行えます。動画を活用した教材の場合、最後まで視聴したら受講完了としたり、早送りを防止したりする機能もついているため安心です。また、ライブ配信ができれば、遠隔地からでもオンラインで研修に参加できるため、移動の負担も軽減できます。研修の様子を録画しておけば、当日参加できなかった人が後日視聴することも可能です。
ここではLMSを実際に導入している企業の事例を紹介します。どのような形で活用しているのか、これから導入しようとしている企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
兼松株式会社は、電子や食料、鉄鋼、プラント、航空など幅広い分野で事業を展開している総合商社です。同社では、人材育成を目的として企業内大学「兼松ユニバーシティ」を運営しています。もともと別のシステムを使用していましたが、旧システムでは、単位の管理が自動化されておらず、運用時の手間となっていました。また、受講者も自分がどの研修を受講するのか、どのくらいの単位を取得できているのかわかりにくい状況で、受講率も低迷していました。このような背景からLMSを導入しましたが、導入によって受講者側、管理者側の課題が解決され、スムーズなeラーニングが可能となりました。
参照元:LIGHT WORKS 導入成功事例〔兼松株式会社〕|企業内大学でビジネスを切り拓く経営人材の育成を目指し、「CAREERSHIP」で学びの効率化と効果向上を図る
eラーニングは時間や場所に関係なく受講できることもあって、人材教育の手法として広く認知されていますが、社員の利用率が高くないという課題があります。アサヒビール株式会社もこの課題に悩んでいた企業の1つです。
同社では、社員3,200名に対するeラーニングの閲覧状況が平均で500PV/月という状況でした。そのような中でLMSを導入しシステムを一新したことで、1ヶ月の平均PVが6,000まで伸びました。システムの導入にあたっては、各社員に必要なスキルと、それを身につけるための教材を明確に示せる点を重視したそうです。一人ひとりのニーズに合わせた教育を提供できるようにしたことが、受講率のアップにつながっています。
参照元:LIGHT WORKS 導入成功事例〔アサヒビール株式会社〕|利用率が12倍に!マイナーな存在だったeラーニングから成長を後押しするLMSへの転換を成功させた4つの要因
化粧品の製造・販売を行う株式会社ポーラでは、各店舗やサロンで顧客の美容に関する相談などに乗るBD(ビューティーディレクター)の教育にLMSを活用しています。以前までは紙ベース・対面ベースでの研修が行われていましたが、スケジュール調整の手間や移動の負担などに加え、研修結果のデータの積み重ねができない点などが課題となっていました。そのような中でLMSを導入し、より効率的な研修を実施できるようになっています。
参照元: LIGHT WORKS 導入成功事例〔株式会社ポーラ〕|コロナ禍を機に改めて感じたLMSの可能性。リニューアルを重ね世代を超えた教育プラットフォームを目指す。
計測機器や医用機器、産業機器など、さまざまな分野で活用される機器の製造に取り組む株式会社島津製作所では、海外拠点を含めたグループ全体の従業員への教育を徹底するためにLMSを導入しています。同社では、海外にも多くの拠点がある一方で、従来のシステムでは、グループ会社全体をカバーできていなかったこともあって、LMSの導入を検討しました。全グループでシステムが統一されたことで管理が行いやすくなったほか、直感的な操作が可能となるシステムは受講者からも高い評価を得ています。
参照元:eラーニングのプロシーズ|【事例一覧】株式会社島津製作所様
株式会社Speeeは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に取り組む企業です。LMS導入前に利用していたeラーニングシステムでは、運用の工数が多く、本来の教育目標の達成が困難であることが課題となり、LMSを導入しました。導入したことで、管理者側の負担が大幅に削減され、よりスムーズなeラーニングの実施が可能となりました。また、システムの扱いやすさから、社員のアンケート回答率が高くなるといった効果も見られています。
参照元:eラーニングのプロシーズ|【事例一覧】株式会社Speee様
パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社は、パナソニック製品の国内流通を担う会社です。同社では社員のスキル向上を目的として資格取得を推進しており、仕事と資格取得の勉強の両立が可能となるシステムを探していました。LMSを導入したところ、資格取得の合格率が向上したそうです。その理由としては、導入したLMSが間違えた問題を効率よく学び直せるシステムであった点や、スマートフォンからも利用できるシステムで通勤や育児などの隙間時間での勉強ができる点などが挙げられます。社員が利用するタイミングや環境にあったシステムを導入したことが成果につながっているといえるでしょう。
参照元:誰でも簡単に使えるeラーニングシステムのlearningBOX|【導入事例インタビュー】パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社
全国にホームセンターを展開しているある企業では、対面研修の実施に伴う移動の負担やエリアによって研修内容に偏りが発生しているといった課題を解決するためにLMSを導入しました。LMSを導入することで、時間や場所に関係なく、社員それぞれのタイミングで受講できるようになりました。特に現場の社員にとっては移動の負担がなくなったことが大きな助けとなっているようです。また、自分に必要な知識やスキルを必要となるタイミングで学べるようになったことから、学習効果も高まっています。
参照元:eラーニングのプロシーズ|【事例一覧】ホームセンター運営企業K様
スポーツ用品の製造や販売、公共スポーツ施設の管理運営などを手掛けるミズノ株式会社では、
社員研修にLMSを導入しています。ミズノというとスポーツメーカーのイメージを持っている方も多いと思いますが、スポーツ施設の運営やスポーツ教室の運営なども行っており、全国各地で社員が仕事に取り組んでいます。これまではそのような社員に対しても本社や各拠点で行う集合研修を行っていました。しかし、コストの負担や現場の業務の忙しさなどもあり、eラーニングの導入を検討し、LMSを活用することとなりました。対面で行うべき研修は集合する形で、それ以外はオンラインで行うなど研修方法をうまく組み合わせながら研修を行うことができています。
参照元:playse.(プレース)|playse.eラーニング導入事例|ミズノ株式会社様
パチンコ・パチスロメーカーのサミーとゲームメーカーのセガグループの持株会社であるセガサミーホールディングスは、グループ各社の本社機能を集約し、それに伴いそれまで一部で使用されていたLMSを全体に統合する形で導入しました。LMSを活用することで、社員一人ひとりが都合の良い時に動画の視聴や学習が行えるようになるなど、研修の効率が向上しています。また、学習後に問題を出すことで、理解度のチェックも可能になりました。ユーザー権限を振り分けることでグループ全体向けの情報や研修と、各社向けの情報や研修を使い分けることもできています。
参照元:Learning Ware|セガサミーホールディングス 様 グループ全体に一斉展開。情報共有の効率化と作業短縮を実現
総合機械メーカーである住友重機械工業株式会社では、新入社員向けの研修を目的としてLMSを導入しました。従来の研修は全員が集まって行っていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、集合型の研修が難しくなったことがきっかけで、LMSを活用しています。単なるeラーニングを行うだけでは、同期とのつながりや先輩社員とのコミュニケーション、学生から社会人への意識の切り替えなどが難しくなってしまいます。同社は、LMSを導入することでオンライン上でも密なコミュニケーションがとれ、同期との関係構築・強化につながることを期待しています。
参照元:Learning Ware|住友重機械工業株式会社 様 新入社員研修と同期のつながり作りに活用
今回は、LMSの概要や主な機能、企業における具体的な導入事例などについて解説しました。LMSは、eラーニングを行う際のベースとなるシステムのことです。eラーニング機能をはじめとして、教材作成機能や進捗管理機能など、受講者・管理者それぞれに役立つ幅広い機能を備えています。実際に導入している企業では、LMSが時間や場所に関係なく学習に取り組めること、一人ひとりの学習状況に応じた対応ができることなどから、より効果的なeラーニングの実現に貢献しています。
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