2019年に端を発した新型コロナウイルス感染拡大の影響を皮切りに、スマートフォンやタブレット端末を利用したオンライン授業やリモートワークが身近な存在になりました。
しかし、画面越しのオンライン学習が普及・定着するにつれ、オンライン学習を提供するシステムも多様化しているという現状があります。
そのような現状を受け、今からオンライン学習プラットフォームを導入したいとお考えの方の中にも、どのオンライン学習ツールを使うべきか迷ってしまうという方も少なくないのではないでしょうか。
そこで当記事では、オンライン学習プラットフォームを選定するポイントと、導入するメリットについて詳しく解説していきます。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
オンライン学習プラットフォームとは、インターネットを通じて学習を行うためのシステムやサービスのことを指します。主に、教育機関や企業が利用し、学生や社員向けに講座配信や受講者の管理を行うことができます。
厚生労働省が発表した「令和4年度テレワーク人口実態調査」によると、雇用されているテレワーカーの中で、テレワークを続けたいと考えている人の割合は約87%に上り、主な理由として「時間の効率的な利用」を挙げる人が約40%と最も多くなっています。
出典:国土交通省「令和4年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」
このように、リモートワークの需要増加が全国的な広まりを見せ、自宅にいながら手軽に学習を受けられるオンライン学習プラットフォームが注目を浴びることになりました。
また、場所や時間に縛られない学習が可能であることから、フレキシブルな学習スタイルを求める層の需要も、オンライン学習プラットフォーム市場を押し上げています。
オンライン学習プラットフォームには、主に以下の2つのタイプがあります。
講師と受講生が同時にオンライン上でやり取りを行う方式です。ビデオチャットやリアルタイムのコミュニケーションができます。
事前に用意された講義や学習コンテンツを受講生が自身のペースで受ける方式です。時間や場所に制約されず、自由な学習ができます。
オンライン学習プラットフォームでは、以下のような機能や活用が可能です。
オンライン上での講義配信やビデオ視聴、教材や資料の提供ができます。視聴環境はZoomやGoogle Meetなどの外部ツールを活用するケースや、独自のツールを利用するケースがあります。
プラットフォームに講義の動画や書類などのデータをアップロードすることで、オンラインでの講座の立案や教材、資料の作成ができます。また、それぞれの動画や資料をカテゴリー別で整理し、管理することも可能です。
テンプレートから自分のイメージに適したものをピックアップし、簡単にランディングページ(サイト訪問者が最初にアクセスするページ)を作成する機能もあります。説明文やサービス内容を入力するだけで、プログラミングなどの専門的な知識がなくても、プロ仕様のサイトを作り上げることが可能です。
プラットフォーム上で、受講者情報を一覧で確認することが可能です。具体的にはコンテンツの購入履歴、それぞれのカリキュラムにおける視聴履歴、受講日程、そして受講料の支払い状態などを確認できます。
受講者専用のページやコミュニティーページを作成でき、受講者はIDとパスワードを用いてログインします。受講状況の把握や問い合わせが可能で、受講者が利用しやすい環境を提供できます。
オンライン学習プラットフォームを導入するよるメリットは、以下の通りです。
オンライン学習プラットフォーム利用を通じて、教育経費の節約が可能です。一度教学資料を作り上げてしまえば繰り返し利用ができ、修正作業が容易なため、コスト削減が見込めます。
また、オンライン教材の性質から毎回の研修ごとに講師の手配や会場準備、資料作成や出席状況のチェックなどの手間が省くことができるため、研修に関わる業務全体の生産効率が向上します。
オンライン学習プラットフォームの導入により、教育管理の効率化を実現ができます。スマートフォンやタブレットなどの端末さえあれば、時間や場所を問わずに受講が可能です。出張や個人的な予定を考慮しつつ、自分のペースで学習を進めることができます。
さらに、理解し難かった内容の復習を何度でも行えるという利点もあります。離れた場所で働く受講者間でも、学習内容についての議論や実用例の共有を通じて、相互のスキルアップを図ることが可能です。
オンライン学習プラットフォームを導入することで、受講者全体の教育レベルの均一化やスキルの向上が実現します。
学習状況や結果を分析し、そのデータをもとに教育資料を改善すれば、教育の品質を逐次アップグレードすることも可能です。教育の質が向上すれば、学習者のスキルアップや組織全体の生産力の向上に繋がります。
オンライン学習プラットフォームを選定する際のポイントは、以下の通りです。
プラットフォームの使用に際しては、サービス利用料以外にも様々な手数料が発生することがあります。
これらの手数料には、決済手数料や販売手数料、振込手数料などが含まれます。各プラットフォームごとに必要となる費用は異なるので、詳細をよく確認しておくことが重要です。
また、サービス利用料は一定の費用で、月額料金制やIDごとの課金制のプラットフォームが主流です。受講者の人数規模等の条件により月額料金が変動するプラットフォームも存在しますので、自社に適した最適な運用を模索するためにも、サービス利用料をチェックしてみてください。
コストを考慮する際は、プラットフォームが提供する機能やサービス体系と自社のビジネスモデルや運営体制が一致しているかどうかをしっかりと評価することが重要です。
オンラインの学習プラットフォームを選ぶ際には、ライブ配信とオンデマンド配信の両方の利点を活用できるハイブリッドラーニングが可能なものを選択することが理想的です。
これにより、従来のオンライン教育の欠点である厳格な講義スケジュールや、受講生や講師との交流機会の減少などを解消できます。
疑問や不安を解消するために、質問や相談が可能なサポート体制が整っていると、安心してサービスを活用することができます。
プラットフォームの利用においてサポート機能の存在は重要な点です。トラブルや問題が発生した際に適切なサポートを受けられるかを確認しましょう。
Udemy,Incが提供する「Udemy for Business」はUdemyが運営する法人向けの学習プラットフォームです。
世界中で活躍する現役のエンジニア、ビジネスパーソン、大学教授などの実務家が講師として起用されており、講座内容は世界中の約4,400万人のUdemyユーザーからのレビューによって厳選された、質の高い最先端の講座を提供し続けています。
ポイント | ・一般受講生評価で人気の講座を厳選 ・各分野において最先端の知見を有する講師によるスキル直結型のコンテンツ ・いつでもどこでも学習できる環境、講師に直接質問ができるQ&A機能 |
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月額利用料 | 要問い合わせ |
配信機能 | リアルタイム機能、オンデマンド機能 |
法人プランの特徴 | ・学習進捗管理機能 ・データ抽出機能 ・社内講座作成、登録機能 |
お問い合わせ | Udemy Businessサポートセンター |
株式会社Schooが提供する「Schoo for Business」は、オンライン研修と自己啓発学習を組み合わせ、継続的な学習が可能な組織を形成するオンライン学習プラットフォームです。
各業界におけるビジネスの第一線で活躍する専門家を講師として招へいしており、国内最大級ともいえる8000本以上の豊富な授業ラインナップで、各企業の社員の課題に沿った研修を提供しています。
研修カリキュラム作成のテンプレートがあり、新入社員や経験豊富な社員など、各レベルや職種に合わせたカリキュラムを簡単に作成することが可能です。
これまで時間と労力がかかっていた研修カリキュラム設計も、Schoo for Businessでは時短で作成できます。
ポイント | ・ビジネスの第一線で活躍する講師から 実践的なスキルを学べる ・テンプレートで簡単に研修カリキュラムを作成 ・8,000本以上の豊富な授業で、各社員の課題に沿った研修が可能 ・研修×自発学習で主体的に学ぶ社員を育成 |
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月額利用料 | 月額1,650円(税込)/ID |
配信機能 | リアルタイム機能、オンデマンド機能 |
法人プランの特徴 | ・視聴履歴の管理 ・オリジナル研修の作成 ・カスタマーサクセスによる導入支援 ・レポート提出機能 ・受講データのダウンロード機能 |
お問い合わせ | Schoo for Businessヘルプセンター |
株式会社オンラインスクールが提供する「オンスク.JP」は、資格取得やビジネス、趣味の実用性に対応した60以上のオンライン講座を提供するサービスです。
月額定額で全ての講座が受講できる「ウケホーダイ」が人気のサービスで、全講座の講義動画、問題演習、機能全てが利用可能。法人利用の実績も多数あります。
講義動画は重要なポイントが的確にカバーされており、難易度別の問題演習で段階的に理解度を深めることができます。要望に応じて受講講座を選択することも可能で、受講者の学習進度を管理画面で一目で確認できる点も特徴的です。
ポイント | ・1つの講座を効率的に学べる「TEPPAN」コースと、気軽にサブスク低価格で60講座以上を学べる「ウケホーダイ」コースがある。 ・1動画5分から視聴できるので、スキマ時間での学習に最適。 |
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月額利用料 | ・ウケホーダイ-スタンダードプラン 1,628円(税込) |
配信機能 | オンデマンド機能のみ(公式サイト参照) |
法人プランの特徴 | ・講座受講状況管理 ・講義動画の視聴完了数管理 ・問題演習の解答数管理 ・総合進捗率管理、学習進捗データのCSV出力機能 |
お問い合わせ | オンスク.JPお問い合わせフォーム |
WHITE株式会社が提供する「MENTER」は、デジタルスキルに自信がない方やIT初心者を対象としたオンライン学習プラットフォームです。
真面目な内容をマンガ動画で配信しており、従来のオンライン学習よりも理解が進みやすい点が特徴です。5〜10分ほどのチャット形式のレッスンなので、空いた時間に学習を進めることができます。
また、「MENTER」で学習した知識の定着度を把握するための、30分間の「ITスキル診断テスト」も備わっています。
テスト内容は、ショートカットキーの使用からAIの理解まで、具体的なソフトウェア操作を必要とする実践的な問題が多く含まれています。得点は"Can"(できる)と関連付けて表示され、その結果を通じて自身のITスキルを確認できます。
ポイント | ・専門的な解説になりがちなDX、ITリテラシー分野をマンガ動画を使って分かりやすく解説。 ・チャット形式のレッスンで、スキマ時間を使って学習を進められる。 ・スキルの定着度を「ITスキル診断テスト」で確認できる。 |
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月額利用料 | 月額35,200円~(税込)※別途初期費用あり |
配信機能 | チャット形式によるオンデマンド方式 |
法人プランの特徴 | ・MENTER ASSESSMENT機能 ・学習カリキュラム機能 ・カスタム講座作成機能 |
お問い合わせ | MENTER ITスキルアップ相談室 |
日経ビジネススクールON-DEMANDは、日本経済新聞社が提供する継続的なスキルアップを目指す方々向けのオンライン学習プラットフォームです。
ビジネスに直接関連するスキルが100以上収録されており、職種ごとに最適な講座がおすすめとして表示されます。また、職種から検索をかけるだけで、必要とされるスキルを学べる講座を見つけやすくなっています。
購入した講座は期間制限なしで視聴可能なので何度でも見返すことができ、メモ機能やワード検索機能などの学習補助ツールも収録されています。
ポイント | ・経営スキルを筆頭にビジネスに直結するスキルを100講座以上収録 ・職種ごとに最適な講座をおすすめ表示 ・購入した講座は無期限で視聴可能 |
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月額利用料 | ・講座により価格に変動あり |
配信機能 | 公式サイトを見る限りだとオンデマンド機能のみ |
法人プランの特徴 | ・知識カード機能 ・おすすめ講座レコメンド機能 |
お問い合わせ | 日経MP問い合わせフォーム |
オンライン学習プラットフォームとは、インターネットを通じて学習を行うためのシステムやサービスの総称です。
オンライン学習プラットフォームが注目を集める背景には、新型コロナウイルス感染拡大の影響による感染リスクを避けるためのリモートワークやフレキシブルな学習スタイルの需要増加が要因として挙げられます。
法人向けのオンライン学習プラットフォームを選定するためには、企業にとって使いやすい機能があるか、各社員の課題を解決できる機能が備わっているかを中心に比較検討することが重要です。
当記事でご紹介したおすすめオンライン学習プラットフォーム5選をご参考いただき、自社に合ったサービス導入を進めましょう。
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