インターネットやスマートフォン、タブレットの普及に伴い、誰もがデジタルデバイスを所有・使用するようになりました。ビジネスシーンでもデジタルデバイスは欠かせないツールとなっており、さまざまな場面で活用されています。
また、デジタルデバイスやデジタル技術を適切に使いこなすためには、デジタルリテラシーを習得する必要があります。しかし、デジタルリテラシーが何なのか、わかっていない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回はデジタルリテラシーの概要について解説します。あわせてデジタルリテラシーの習得が必要な理由や、デジタルリテラシーの高め方も紹介するので参考にご覧ください。
目次
デジタルリテラシーとは、デジタル技術を理解して適切に活用するスキルを指します。
DX推進の流れがある中で、デジタル技術を導入する企業は増加傾向にありますが、デジタルリテラシーが低いとデジタル技術を使いこなせず、生産性が下落してしまう可能性があります。
DXを推進することも大切ですが、同時に従業員全員のデジタルリテラシーを向上させることが重要です。
デジタルリテラシーとよく似た言葉に「ITリテラシー」というものがあります。ITリテラシーとは、ITを理解して使いこなす能力を指します。
また、ITはネットワークやセキュリティを、デジタルはデバイスやソフトウェアを指すため、デジタルリテラシーの方が広い意味で使用される機会が多いといえます。
ただし、明確な違いが定義されているわけではなく、同じ意味や似たような意味で使用されることが多いです。
近年、必要性が指摘されているデジタルリテラシーですが、どうして習得する必要があるのでしょうか。その理由は次に挙げるとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
デジタルデバイスの利用を避けて通れない社会となっている状況が、デジタルリテラシーを習得するべき理由の1つです。
スマートフォンやタブレットが登場して以来、デジタルデバイスの普及が進み、さまざまな場面で「当たり前に」活用されるようになっています。
今やデジタルデバイスはビジネスをスムーズに進めるために欠かせないツールとなっており、従業員はデジタルデバイスを適切に利用できるスキルやセキュリティ、情報管理意識が求められるようになりました。
このような社会情勢となっている現状から、デジタルリテラシーの習得は必要不可欠といえます。
業務の効率化が急務となっているのも、デジタルリテラシーが必要な理由です。
業務効率化が必要になっている背景には、慢性的な人手不足があります。少子高齢化の進行により労働力人口が減少している日本では、今後、人手が足りない状況がさらに加速すると見られています。
限られた人員で生産性を向上させるためには、デジタルデバイスを活用した業務効率化が必須となっており、そのためには従業員全員がデジタルリテラシーを向上させる必要があるのです。
デジタルリテラシーの習得が求められているのは、働き方改革やDXが推進されていることも関係しています。
新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、テレワークを導入する企業が増加しました。そのため、オフィスではなく社外での仕事環境の整備が必要になっています。
パソコンなどの設備があらかじめ用意されているオフィスと異なり、自宅などでデジタルデバイスを使用できる環境を整えるためには、デジタルリテラシーが欠かせないのです。
また、多くの企業で長時間労働の改善が課題となっていますが、デジタルデバイスの導入による業務効率化を図る場合、前提条件としてデジタルリテラシーを習得している必要があるでしょう。
従業員がデジタルリテラシーを習得することで、次のようなメリットがあります。
それぞれ詳しく解説します。
デジタルリテラシーを習得すれば、生産性アップが期待できます。
デジタルリテラシーを土台にDXを推進することで、業務効率化が図れるためです。
これまで時間を割いていた業務が自動化・半自動化されれば、他の業務にリソースや時間を割けるようになり、業績アップにつながる可能性があります。
一方、デジタルリテラシーが低い場合、紙ベースでのやりとりなど、アナログな仕組みでの業務が残るため、生産性は下がってしまうでしょう。
セキュリティに対する意識が高まり、情報漏洩のリスクを回避できるのも、デジタルリテラシーを身に付けたい理由です。人為的なミスや知識の欠如による情報漏洩を避けられるためです。
デジタルリテラシーが低い場合、セキュリティに対する意識も低いため、メールに機密情報を添付したり、重要な情報が記録されたUSBメモリを紛失したりするようなミスが発生しやすくなります。
情報保護に関する事故(セキュリティインシデント)が発生した場合、企業の危機意識を問われ信頼を失う恐れがあるため、十分な注意が必要です。
従業員がデジタルリテラシーを身に付けることで、DXを推進する理由や必要性を理解できるようになります。
DXを推進する場合、社内全体で取り組む必要がありますが、DX推進を担当する部署以外の従業員はデジタルリテラシーが低いケースが多く、DX推進の必要性を理解できない恐れがあります。
従業員全員が適切なデジタルリテラシーを身に付ければ、DX推進の理由を理解できるため、デジタル技術の導入をスムーズに進められるようになるでしょう。
社内の働き方改革を実現しやすくなるのも、デジタルリテラシーを身に付けるべき理由です。
リモートワークやハイブリッドワークが導入され、社外で勤務する機会が増加しています。このような状況で企業内・部署内で連携するためにはビジネスチャットやクラウドシステムなど、デジタルツールの活用が欠かせません。
さまざまな働き方が推奨される現在では、企業全体でのデジタルリテラシー向上が求められていることを理解しましょう。
さまざまなトラブルを回避しやすくなるのも、デジタルリテラシーを身に付けるべき理由です。
たとえば、マーケティングにSNSを利用する場合、デジタルリテラシーが低いとユーザーを刺激してしまい、炎上につながる恐れがあります。また、プライベートで個人アカウントを利用する場合でも、ユーザーが情報をたどって在籍する企業が特定されるケースもあります。
SNSを利用する場合は企業で指針を定めて従業員を教育したり、アカウントを管理したりする必要がありますが、デジタルリテラシーが高ければ指針や教育内容を理解できるため、トラブルが発生するリスクを回避しやすくなるのです。
デジタルリテラシーの重要性が理解できれば、実際にデジタルリテラシーを高めていくことにフォーカスできます。 デジタルリテラシーを高められる具体的な方法は次のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
デジタルリテラシーを高めるには、その目的を明確に提示する必要があります。
デジタルリテラシーを習得する目的が明確になれば、従業員がデジタルリテラシーを向上させる重要性を理解できるようになるからです。また、何をすべきかもわかりやすくなるため、従業員の意識も高くなるでしょう。
具体的には、企業としての方向性や戦略、業務目標などにつながるよう目的を設定するのがおすすめです。
デジタルリテラシーを高めるためには、従業員が定期的に学習できる機会を提供することが大切です。
継続的に学習することで、知識が定着しやすくなります。また、日進月歩で進歩するデジタル技術を活用する場合、定期的な学習が効果的といえます。
社内で学習用のコンテンツを制作して配布したり、外部のセミナーや学習コンテンツを活用したりして、従業員が学べる環境を整えましょう。
また、通勤時間などスキマ時間を活用できる学習ツールの導入もおすすめです。
デジタルリテラシーの習得が必要な場合は、学んだ知識を周囲と共有してみましょう。
知識を同僚などと共有することで、各社員の知識が社内全体に伝わりやすくなります。
組織全体のデジタルリテラシーの向上は、知識を共有する社内文化やDX推進の意識の醸成につながるでしょう。
デジタルリテラシーに関連するスキルを人事の評価対象にするのも、デジタルリテラシー向上に効果的です。
たとえば、パソコンを使えるというのは、単なるスキルに過ぎないというのがこれまでの認識でしたが、デジタルスキルを活用することの重要性が増している現在では、スキルの評価が見直されているケースもあるようです。
デジタルツールの利用状況やセキュリティに関する知識など、デジタルリテラシーに関する具体的な評価項目を設定することで、従業員の学習意欲が向上し、結果的に社内全体のデジタルリテラシー向上につながる可能性が高くなります。
今回はデジタルリテラシーの概要と、デジタルリテラシーの習得が必要な理由などについて解説しました。
従業員のデジタルリテラシーの向上は、企業側にも従業員自身にもメリットがあります。企業のDX推進や働き方改革を進めるためには、デジタルリテラシーが重要になることを理解しておきましょう。
こちらのコラムでは、身につけたいデジタルリテラシーの一つでもあるセキュリティについて詳しく解説しています。
また、リスキリングナビでは情報セキュリティの講座や研修を展開している企業やサービスを紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。