社員の離職は会社の損失であり、離職防止のための対策を講じる必要があります。特に中堅社員の離職は業務の停滞や退職の連鎖を引き起こす可能性があり、会社への影響が大きい点が特徴です。今回は中堅社員が辞めていく兆候や理由、離職を防ぐためにできる対策についてご紹介します。
目次
中堅社員の離職は会社に大きな影響を与えます。主な損失として以下の3つが挙げられます。
どの社員が辞める場合でも他の社員の士気は下がりますが、会社の中心メンバーである中堅社員の離職は他の社員を動揺させます。多かれ少なかれ社員は会社に不満を持っているため、社員は「自分もこのまま会社に残り続けるべきなのだろうか」という気持ちを抱いてしまうのです。信頼の厚い社員が辞める場合、他の社員も続けて辞めるという退職の連鎖が起きる可能性もあります。
中堅社員がいるおかげで仕事が回っているという職場も多いでしょう。ベテラン社員はモチベーションは高くても、若いときほど体力が続かないという方も少なくありません。若手社員は仕事の全体を把握できておらず、他の社員の手助けを必要とします。中堅社員は会社の業務を熟知しており、いつ何をすべきか自分で判断してスピーディーに業務を進められます。このように組織の中で大きな機能を果たしている中堅社員が離職してしまうと、業務の停滞が懸念されます。
中堅社員の離職によって、その社員がこれまでに身に付けた知識やスキルを社内で共有できなくなります。社内マニュアルを作成してノウハウを継承する方法もありますが、マニュアルを読んだだけでは分からないこともあるでしょう。中堅社員は若手社員の育成を担当する場合も多く、中堅社員の退職は若手社員の育成にも影響が出てきます。
中堅社員に以下の兆候が見られた場合、離職の可能性が考えられます。
今まで残業や休日出勤をしていたにもかかわらず、急にしなくなった場合、近い将来離職する可能性があります。本人は離職を決意して、残業や休日出勤に当てていた時間を転職活動に振り向けているのかもしれません。残業や休日出勤をしても転職先における評価にはつながらないため、当然の判断と言えるでしょう。
退職を決めているため仕事に対するモチベーションを失い、仕事のパフォーマンスも低下するというケースです。具体的には「ミスが増える」「報連相(報告・連絡・相談)が滞る」「仕事を仕上げるスピードが落ちる」といった傾向が見られます。仕事のミスが増えれば他の社員がミスの修正や確認をする手間が増えるなど、仕事のパフォーマンス低下は組織のパフォーマンスも下げてしまいます。
同じ会社で働き続ける場合、会社に対する不満があっても我慢する社員が多いでしょう。不満を口にすれば、上司から反感を買ったり、昇進や昇給を逃したりする可能性がないとは言えません。しかし、会社を辞めようとしている社員は周囲の機嫌を取る必要がないため、会社に対する不満を頻繁に口にするようになります。これとは反対に、会社に不満を言っても無駄だと考え、一切不満を口にしなくなる社員もいます。
先ほど中堅社員が辞めていく兆候を見てきましたが、辞めていく主な理由は以下の3つがあります。
給料が低ければ、家族を養うことが難しくなります。きつい仕事をしても頑張りが給料に反映されなければ、働く社員のやる気も下がってしまいます。企業の公式サイト、四季報、転職サイトを使えば、正確ではないにしろ、各企業のおおよその年収が分かります。この年収と自分の年収を比較して、自分の給料の低さに落胆する社員は多いでしょう。
仕事はできる人、つまり中堅社員に集中する傾向があります。中堅社員は仕事が早いため、他の社員よりも多くの業務をこなせます。しかし、本人のキャパシティを超える業務を任されてしまうと、肉体的・精神的に疲弊します。仕事中心の生活を強いられ、ワークライフバランスを十分に取れなくなったり、心身を壊したりします。業務過多の状況が長期間継続すれば、離職を考え始める中堅社員もいるでしょう。
職場で同じことを延々繰り返すだけでスキルアップできず、辞めてしまう中堅社員もいます。若手社員にOJTなどを通じて丁寧に業務の進め方を教えている会社は多いでしょう。若手社員はマンツーマンで先輩社員の指導を受け、大きく成長していきます。ところが、中堅社員が成長するための環境が整備されていないという会社もあります。仕事での成長を感じられなければ、会社への帰属意識も低くなりがちです。
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中堅社員の離職防止の対策はさまざまですが、ここではすぐにできる3つの対策をご紹介します。
1つ目の対策は1on1ミーティングです。近年はリモートワークの導入によって働きやすくなった一方、上司が部下の働きぶりを見たり、部下とコミュニケーションを図ったりする機会も減りました。1on1ミーティングは、部下の将来のビジョンや仕事での悩み、プライベートでの不安などを確認する良い機会となります。上司と部下が面と向かって話す機会を持つだけでも、離職の芽を摘むことができるでしょう。
仕事ができる中堅社員に業務が集中してしまう状況を改善するためには、1つの業務を特定の社員だけでなく複数の社員で担当させることが重要です。スキルマップを作成して、それぞれの社員が現時点で保有するスキルとこれから身に付けるスキルを明らかにし、1つの業務を複数名が担当できる体制を作りましょう。また、業務の割り振りについては業務可視化ツールの導入が有効です。実工数や実働時間を正確に把握でき、現場の負荷や業務状況をもとに業務の割り振りを見直すことができます。
従業員サーベイツールは、従業員満足度を調査するためのツールです。社員にスマホでアンケートに答えてもらい、管理画面から回答結果を確認できます。1on1ミーティングで率直に話しづらいという中堅社員もいるでしょう。一方、従業員サーベイツールのアンケートは基本的に匿名で実施するため、社員が本音で回答しやすく、組織が抱える課題を把握して人材の定着につなげやすい点が長所です。
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離職の根本的な解決のためには、辞めにくくなる環境づくりが求められます。ここでは、2つの方法をご紹介します。
退職金制度を設けている会社であれば、長く働けば働くほど退職金を多くもらえるため、退職金制度は離職を思いとどまらせる金銭的インセンティブになります。退職金制度を設ける際は、誰に対して退職金を払うのか、そして支払う金額の決定方法や支払う方法および時期について定め、就業規則にも記載します。ただし、退職金制度の導入後に制度の廃止や退職金の減額が困難である点には注意が必要です。
最近は社員の副業を認める会社も出てきました。副業をするメリットは、勤務している会社以外で業務経験を積み、スキルの幅を広げられる点です。スキルを深めたり、現在のスキルとは異なるスキルを身に付けたりできます。副業で得られたスキルを本業で生かせれば、会社にとってもメリットがあります。
リスキリングとは、所属している企業で働きながら、個人が成長分野の新しい技術やスキルを習得するために学ぶことです。リスキリングにより社員がスキルアップできる環境を整えれば会社に所属しながら新しいチャレンジができるので、会社を辞める選択肢をとる社員が減る可能性があります。
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今回は中堅社員の退職を防ぐ解決策についてご紹介しました。中堅社員から退職の申し出を受けてからでは手遅れとなる場合が少なくありません。中堅社員が辞めていく兆候を見逃さず、先手を打つことが大切です。離職を引き起こす要因を明らかにし、短期的・長期的な対策を講じるようにしましょう。
今回は中堅社員の離職に特化してお伝えしましたが、以下のコラムで企業の離職率についても解説をしています。気になる方は、ぜひご覧ください。