中小企業省力化投資補助金は、中小企業が労働力不足を解消し、生産・業務プロセスを効率化して生産性を向上させるための補助金制度です。本記事では、補助金制度の目的や背景、対象となる企業や補助内容について詳しく解説します。
目次
中小企業省力化投資補助金は、日本政府や自治体が中小企業の成長を促進し、競争力を強化するために設けられた補助金制度です。特に、労働力不足や生産性の低下が深刻化している中で、業務の自動化や効率化を促進することが目的です。
この補助金は、単に資金面の支援にとどまらず、中小企業が持続可能な成長を遂げるための基盤作りにも役立っています。例えば、ロボット導入やITシステムの構築などを通じて、長期的なコスト削減や業務効率化が期待できます。
中小企業省力化投資補助金が必要とされる背景には、次のような課題があります。
補助金を活用することで人手不足の解消と業務効率化を図り、企業経営の安定と長期的な成長が期待できます。
補助対象となるのは「中小企業等経営強化法」で定められた資本金または常勤従業員数が業種別基準を満たし、かつ「人手不足の状態」にある企業になります。
人手不足の条件としては、下記いずれかに該当する必要があります。
①直近の平均残業時間が月30時間を超えている、
②整理解雇以外の離職・退職で前年同月比5%以上従業員が減少している、
③求人活動を行ったものの人員を充足できなかった、
④その他特別な事情で省力化の必要がある
人手不足の証明には、労働時間の記録や従業員数の変動データなどの客観的な証拠提出が求められ、口頭での説明のみでは認められません。
さらに、補助事業終了後3年間で労働生産性を年平均3.0%以上向上させる事業計画を策定し、採択後はその計画に基づいて取り組む義務があります。
補助額が500万円以上となる場合は、事業計画期間終了までに取得財産を火災や地震などの災害に備えるため、保険または共済への加入が必須となります。
省力化投資により業務の効率化やコスト削減が進み、生産性や競争力の向上、収益拡大、労働環境の改善などが期待されるため、人手不足という経営課題の解決手段として有効です。
中小企業省力化投資補助金の補助額と補助率は、企業の規模や賃上げの取り組みにより異なります。以下に「一般型」と「カタログ注文型」それぞれの補助額と補助率は、以下のとおりです。
▼カタログ注文型の補助額・補助率
補助率:1/2
従業員数 | 補助上限額 (※大幅な賃上げを行う場合) |
---|---|
5人以下 | 200万円(※300万円) |
6~20人 | 500万円(※750万円) |
21人以上 | 3,000万円(※1,500万円) |
▼一般型の補助額・補助率
・中小企業:補助金額1,500万円までは1/2、1,500万円を超える部分は1/3
・小規模企業者・再生事業者:補助金額1,500万円までは2/3、1,500万円を超える部分は1/3
従業員数 | 補助上限額 (※大幅な賃上げを行う場合) |
---|---|
5人以下 | 750万円(※1,000万円) |
6~20人 | 1,500万円(※2,000万円) |
21~50人 | 3,000万円(※4,000万円) |
51~100人 | 5,000万円(※6,500万円) |
101人以上 | 1億円 |
「カタログ注文型」と「一般型」の2つの類型があり、購入可能な製品やサービスが異なりますので、それぞれの違いについて解説していきます。
〈カタログ注文型〉
▼カタログ注文型の特徴
購入可能な製品は、事務局が提供する「製品カタログ」に掲載された既製品のみが対象となります。検索画面で詳細情報を確認でき、カテゴリ別に「プレス間搬送ロボット」「自動フライヤー」「入出金機」などの製品があります。最新の追加製品やカテゴリは公式サイトで確認可能です。
▼導入製品事例
清掃ロボット、配膳ロボット、飲料補充ロボット、券売機、自動精算機、自動チェックイン機、物品貸出管理機、入出金機、スチームコンベクションオーブン、自動フライヤー、無人搬送車(AGV・AMR)、検品・仕分システム、自動倉庫、ピッキングカートシステムなど。
▼メリット
カタログ注文型のメリットは、事前に登録された省力化効果のある製品を専用カタログから選べるため、導入が容易で申請手続きが簡単な点にあります。効果が認定済みの製品を使用するため、導入後すぐに業務効率化や人手不足解消が期待できます。多様な製品から自社に最適なものを選択可能です。
〈一般型〉
▼一般型の特徴
企業の個別の現場や事業内容に合わせた、オーダーメイド性のある設備導入やシステム構築など、多様な省力化製品が対象となります。
▼導入製品事例
通信販売事業における自動梱包機や倉庫管理システムのオーダーメイド開発・導入、自動車部品製造業での最新のデジタルカメラやAI技術を活用した自動外観検査装置の導入など。
▼メリット
一般型のメリットは、オーダーメイド設備やシステムを導入できるため、企業の特定のニーズに対応可能な点です。業務効率化や生産性向上が期待でき、自動化によって人件費やコスト削減が可能です。また、最新技術を活用することで競争力が強化され、生産能力や品質の向上により市場での優位性を確保できる可能性があります。
この補助金を活用することで、事業の効率化や競争力強化など、以下のようなメリットが得られます。
ロボットや自動化システムの導入により、単純作業や反復作業を減らし、人手不足を解消できます。事務処理の自動化によって、作業時間短縮と人件費削減が可能になります。
業務フローの見直しや自動化により作業効率が向上し、作業時間短縮と生産能力増加が可能になります。また、エラーやトラブルが減少し、品質向上にもつながります。
自動化により人件費を削減し、高効率な設備やシステムの導入でエネルギーコストを抑えることで、コスト削減と収益向上が期待できます。
自動化により危険な作業や負担の大きい業務を減らし、従業員が働きやすい環境を整えることで労働環境が改善されます。
中小企業省力化投資補助金を活用することで、人手不足の解消、生産性向上、コスト削減と収益向上、そして労働環境の改善が期待できます。ロボットや自動化システムの導入により、作業効率が向上し、人件費やエネルギーコストが削減されることで、企業の競争力強化や持続的な成長につながります。
カタログ注文型はカタログから製品を選ぶため、手続きがシンプルで迅速に行えるのに対し、一般型は設備のカスタマイズや事業計画書作成が必要なため、より柔軟な対応が必要となります。
以下に、それぞれの申請方法をまとめます。
STEP1:GビズID取得
補助金申請は電子申請のため、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。GビズIDを持っていない場合やプライムアカウントでない場合は、GビズID公式サイトから取得してください。取得には時間がかかる場合があるため、早めに準備が必要です。
STEP2:カタログから製品選定
「製品カタログ」から、自社の省力化ニーズに合った製品を選びます。
STEP3:販売事業者の選定
選択した製品に対応する「販売事業者一覧」から販売事業者を選定し、掲載されている電話番号やメールアドレスから連絡します。STEP4:販売事業者と共同申請
補助金申請には、製品の販売事業者と共同で事業計画の策定が必要です。申請は販売事業者と協力して、公募期間内に申請受付システムを通じて行います。中小企業は販売事業者からの招待を受けることで専用フォームから申請可能です。必要な提出書類は「申請における留意事項」で確認し、準備してください。
STEP4:販売事業者と共同申請
補助金申請には、製品の販売事業者と共同で事業計画の策定が必要です。申請は販売事業者と協力して、公募期間内に申請受付システムを通じて行います。中小企業は販売事業者からの招待を受けることで専用フォームから申請可能です。必要な提出書類は「申請における留意事項」で確認し、準備してください。
STEP1:GビズID取得
補助金申請は電子申請のため、GビズIDプライムアカウントが必要です。GビズIDを持っていない場合やプライムアカウントでない場合は、公式サイトから取得してください。取得には時間がかかる可能性があるため、早めに準備が必要です。
STEP2:事業計画書の作成/機械装置・システム等の選定
STEP3:応募申請
申請は電子申請システムを通じて行います。申請内容は申請者自身が理解・確認した上で提出してください。採択結果は3か月程度で通知されます。
STEP4:相見積もり/事業者選定
採択後、交付申請の際に、発注先の選定と見積書の取得が必要です。価格の妥当性を証明するため、2社以上から同一条件での見積もりを取得します(海外企業からの調達も含む)。
STEP5:交付申請
交付申請も電子申請システムを通じて行います。入力内容を理解・確認した上で申請者自身が申請してください。
【 中小企業省力化投資補助金を賢く活用しよう】
中小企業省力化投資補助金を活用することで、生産性向上や競争力強化、そして労働環境の改善が期待できます。ロボットや自動化システムの導入により、業務効率が改善され、コスト削減や収益向上につながります。また、従業員の負担軽減や働きやすい環境作りにも役立ちます。補助金の効果を最大化するためには、正確な事業計画を作成し、迅速な申請手続きを行うことが成功のカギとなります。必要な提出書類やスケジュールをしっかり管理し、効果的に補助金を活用しましょう。