デジタル人材育成プラットフォームとは?開設の背景やできることを紹介

公開日:2023.08.15 更新日:2023.08.15

組織のデジタルスキルの底上げやデジタル人材の育成の重要性は高まっていますが、「自社でDXに取り組みたいが、何からすれば良いのか分からない」という方も少なくありません。そのような方はデジタル人材育成プラットフォームを利用されてはいかがでしょうか。今回はデジタル人材育成プラットフォームや本プラットフォーム以外でDXについて学べるサービスをご紹介します。

経済産業省が開設した「デジタル人材育成プラットフォーム」とは?

「デジタル人材育成プラットフォーム」は、地域企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するためのデジタル人材育成を目的とするプラットフォームです。経済産業省から独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が委託を受けて運営しています。デジタル人材育成プラットフォームは「オンライン教育サイト(1層)」「ケーススタディ教育プログラム(2層)」「地域企業と協働したオンライン研修プログラム(3層)」という3層構造となっています。

経済産業省が「デジタル人材育成プラットフォーム」を開設した背景

経済産業省による「デジタル人材育成プラットフォーム」開設の背景には、デジタル化への遅れとDX人材の不足があります。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2022年9月に発表した世界デジタル競争力ランキング2022では、日本のデジタル競争力は63か国中29位、「デジタル/技術スキル」に至っては62位という結果でした。

出典:経済産業省「デジタル人材育成プラットフォーム の取組状況について」

参考:IMD 「World Digital Competitiveness Ranking 2022」

企業のDXを推進する人材も不足しています。IPAの「DX白書2023」によると、DXを推進する人材の「量」が「大幅に不足している」と回答した国内企業の割合は、2021年度は30.6%でしたが2022年度は49.6%に増加しました。

出典:IPA「DX白書2023」

DXを推進する人材の「質」については、2021年度は「大幅に不足している」と回答した割合は30.5%でしたが2022年度は51.7%に達しています。

出典:IPA「DX白書2023」

日本政府はデジタル田園都市国家構想を実現するため、2022年度からの5年間で230万人のデジタル推進人材の育成を掲げ、デジタル人材育成・確保の重点領域を定めています。その1つがデジタル人材育成プラットフォームの構築です。本プラットフォームは企業内人材のリスキルを推進するとともに、DXを実践できる人材の育成を目指しています。

「デジタル人材育成プラットフォーム」でできること

デジタル人材育成プラットフォームは3層で構成され、層が進むにつれて実践的なプログラムとなります。以下で各層について見ていきましょう。

1層:オンライン教育サイト「マナビDX(デラックス)」

「マナビDX」では、DXやDXに活用されるデジタル技術の学習講座が紹介されています。4段階のレベルに分かれ、無料と有料の講座があります。受講料の補助が受けられる講座もあります。基礎的なITリテラシーを学べるコンテンツからPythonやAIに関するコンテンツまで、さまざまな講座が紹介されています。

2層:ケーススタディ教育プログラム(マナビDXクエスト)

「マナビDXクエスト」はケーススタディ教育プログラム(2層)と地域企業と共同したオンライン研修プログラム(3層)を提供しています。ケーススタディ教育プログラムは、オンライン・講師無しで参加者が情報交換しながら与えられた課題を解決する、10週間のプロジェクト型学習(PBL)をメインとするプログラムです。「AI実装を通じたDXプロジェクトの疑似体験」「データ駆動型の変革推進の疑似体験」「デジタルを活用した新規事業創出・組織変革の疑似体験」という3タイプの教材が用意されています。2022年度は2,134名が本プログラムに参加しました。

 3層:地域企業と共同したオンライン研修プログラム(マナビDXクエスト)

2層のケーススタディ教育プログラムはプロジェクトの疑似体験でしたが、3層は受講生が企業と協働し、各企業のDXの段階に合わせて現場の課題解決に取り組む実践的なプログラムです。2022年度は本プログラムの協働参加者は425名、参加企業は88社でした。本プログラムの受講生は約2か月間、以下のテーマに取り組みます。

  • デジタル化構想・設計:DXを何からどのように進めるかといった検討を始める企業に対して、DXへの意識醸成支援やDXの推進計画の策定を行う
  • デジタル化設計・検証:DXのテーマが決まっている企業に対して、DX施策の具体化・効果検証を行う
  • DX構想:デジタル化は一定程度進んでいる企業に対して、新たなビジネスの計画検討を行う

「デジタル人材育成プラットフォーム」以外でDXに関する講座を受けられるサービスは?

デジタル人材育成プラットフォーム以外にも、DXに関する講座を受けられるサービスがあります。そのうちのいくつかをご紹介いたします。

東京都DX人材リスキリング支援事業

都内に本社または事業所の登記がある中小企業が参加できるプログラムです。DXスキル診断・学習計画作成、DX講習、学習効果の可視化という3ステップで学習を進めます。DX講習では「業務効率化コース」「データを活用した営業力向上ケース」「集客・売り上げ向上コース」「経営戦略コース」の4コースから選択できます。中小企業の経営者、現場責任者、IT担当者の受講を想定しています。

神戸大学DX基礎講座(神戸大学数理・データサイエンスセンター)

神戸大学のDXリカレント教育事業として提供されているeラーニングプログラムです。「データサイエンス・AI基礎」「Python基礎演習」の2科目が用意されています。技術系部署に限らず、データサイエンス・AIによるDX推進を担う方を対象としています。学習管理システム等を活用した、受講生・講師間の交流も予定されています。

gacco for Biz DX人材育成プログラム(株式会社ドコモgacco)

NTTグループの社員育成で培ったノウハウが生かされているプログラムです。約250の動画学習コンテンツが用意されたeラーニングと、演習テーマがカスタマイズ可能な対面研修により、企業のDX人材育成を支援します。メンバー・リーダー・マネージャーといった階層別、業界別・職種別のカリキュラムが提供されているため、「DXをどこから始めたら良いのか分からない」「事業部ごとの業務に合わせた人材育成をしたい」という場合でも安心です。

Aidemy Business(株式会社アイデミー)

もともとAIプログラミング学習サービスとして定評があるアイデミーは、2018年6月に法人向けサービス「Aidemy Business」を開始、近年はAIを中心としたDX人材・組織作りの支援に力を入れています。Aidemy Businessには150以上の学習コンテンツが用意され、初心者から実務経験者まで幅広いレベルに対応しています。オンライン研修がメインですが、専門スキルを有する講師派遣も可能です。自社に合わせたオリジナルコンテンツの作成・配信もできます。

まとめ

今回はデジタル人材育成プラットフォームについてご紹介しました。日本はDXで海外に後れを取っており、国を挙げてデジタル人材育成に取り組んでいます。デジタル人材育成プラットフォームは3層に分かれていますが、DXに関するスキルを一人で学べる講座を紹介する「マナビDX」を利用し、紹介されている講座の社内研修への採用を検討してみてはいかがでしょうか。デジタル人材育成プラットフォームで自社のニーズに合った講座が見つからない場合は他のサービスも探してみると良いでしょう。

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