経営人材育成の重要性を解説!必要なスキルや課題とは?

公開日:2023.10.02 更新日:2023.10.02

経営人材育成とは、会社経営に関わる人材のことで、企業の成長・DX推進に取り組むうえでは非常に重要なものです。一方で、経営人材を育てたいものの、何をすればいいのか、どういったスキルを身につけさせればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では経営人材育成の概要や求められる要素、取り組む際の流れなどについて解説しています。また、経営人材育成に役立つ研修サービスについても取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。

経営人材とは

経営人材とは、その名の通り会社経営に関わる人材のことです。経営人材は、経営する上での目的や目標の設定および実行に関する決定権を持っており、会社の将来を考え、自社の発展を目指す立場にあります。多くの企業では一般的に、経営人材というと社長や専務といった経営陣のことを指しますが、企業によって経営人材として想定されている役職は異なります。

経営人材育成の重要性

企業が経営人材育成に取り組むことは、以下のような理由から非常に重要だといえます。

・人手不足の解消
・優れた人材の流出防止
・環境の変化に対する対応

近年の日本においては、総人口が減少している一方で、65歳以上の高齢者の割合が増えています。そのため、今後はさらに各企業が人手不足に陥ることが予想されます。これは経営人材についても同様です。人手不足の中で、会社をさらに成長させるためにも、優れた経営人材を自分たちで育てることが求められます。
また、現在の日本は終身雇用にこだわらず、転職することも一般的となりました。人材流出を防ぐためにも、企業は社員にとってより魅力的なものとならなければなりません。魅力的な会社になるための方策の1つが、優れた経営人材が会社経営に取り組むことです。
その他にも、少子高齢化による人口減少や人手不足など、企業を取り巻く環境は日々急速に変化しています。グローバル化やIT化も変化の1つと言えるでしょう。このような変化に迅速かつ確実に対応することが、企業の生き残りや成長に大きく影響します。たとえば海外進出するためにはグローバル人材が必要不可欠です。しかし、そのような人材を採用することは簡単ではありません。だからこそ自社内でグローバルな感覚を持った経営人材育成が必要となります。

経営人材育成にあたって必要なスキル

経営人材育成にあたっては、どのようなスキルを身につけるべきかを理解しておくことが大切です。そこでここでは、経営人材に求められる主なスキルを紹介します。

創造力

経営人材に求められるスキルの1つが創造力です。変化の激しい現代においては、既存事業や慣習にとらわれていると取り残されてしまい、競合との競争に負けてしまう可能性があります。事業を成長させるためにも、会社をより良いものにしていくためにも、常に創造力を働かせることが大切です。

決断力

経営人材は、会社の経営に関する各種の決断や判断をしなければなりません。経営人材の決断1つで会社の状況は良くも悪くもなります。新しいことに挑戦する決断をすることもあれば、事業から撤退する決断をしなければならないこともあるでしょう。責任を伴うさまざまな決断を実行していく力が求められます。

臨機応変さ

繰り返しとなりますが、変化の激しい昨今において、臨機応変に対応することは経営人材育成において非常に重要なスキルです。たとえば、数ヶ月前までの当たり前が、今現在は当たり前ではないといったケースは少なくありません。そのような時に必要になるのが柔軟な対応力です。

コミュニケーション能力

経営人材は社内外のさまざまな人と関わるケースが多いため、コミュニケーション能力は必要不可欠です。優れた創造力があり魅力的な事業を考えたとしても、それを周囲の人たちにうまく伝えられなければ、事業の成功はありません。またコミュニケーションにおいては、自分の意見を伝えるだけでなく、相手の話を聞き、理解することも大切です。

グローバルな視点

グローバル化は世界各国でますます顕著になっており、経営人材にもグローバルな視点を持つことが求められています。海外の企業に目を向けると、積極的に世界各国へ事業を展開しているケースが少なくありません。日本でも海外進出を目指している企業は多いでしょう。そのような時に日本と海外の違いを理解している人や語学力が堪能な人など、グローバルな経営人材が必要となります。

タフさ

会社経営においては、うまくいかないこともありますが、多少のことでは動じないタフさも経営人材に求められるスキルだといえます。何か起こるたびに考えを変えてしまうような人のもとでは、多くの社員が不安を抱えてしまうでしょう。逆境や批判などに惑わされずに邁進していける人材が求められます。

前向きな思考

前向きな姿勢も経営人材にとっては大切です。経営人材が前向きな言葉を投げかけ、常にポジティブでいることで、社員を奮い立たせられるでしょう。「この人なら大丈夫」と思わせられる姿勢が大切です。

経営人材育成を行う流れ

ここでは経営人材育成を行う際の具体的な流れを紹介します。経営人材を育成したいものの何から始めればいいのかわからないといった方は参考にしてください。

経営人材の明確化

まずは、どのような経営人材を育成したいのか、人物像や身につけさせたいスキルを明確にする必要があります。これらは企業によって異なるものとなるため、自社の状況を踏まえたうえでの検討が大切です。たとえば、将来的に海外進出を目指している企業であれば、グローバルな視点やスキルを持った人材の育成が欠かせないでしょう。

人材の選定

求める経営人材が明確になったら、誰を育成するのか人選を行います。社内にはどのような社員がいて、どのようなスキルや能力、人間性を備えているのかといった情報を収集し、適切な人材を選んでいきましょう。各部署やチームの上司から推薦を募る方法も有効です。

育成計画の検討・実施

人選ができたら実際に育成計画の検討・実施段階に移行します。育成方法には、以下を一例にさまざまなものがあります。

  • OJT
  • 階層別研修
  • 内部・外部講師の研修会

OJTは、新入社員に対して行われるイメージがあるかもしれませんが、経営人材育成にも有効です。また、階層別研修は、入社年次など階層に応じて段階的に成長をサポートできるため、将来の経営人材を時間をかけて育てる際などに役立つでしょう。そのほかにも、社内外の経営人材などを招いて研修会を行うことで、視野を広げられます。

経営人材育成の課題

ここでは経営人材育成を行ううえでどういった課題があるのか解説します。経営人材育成は一筋縄ではいきません。どのような課題があるのか理解したうえで取り組みましょう。

人材選定の難しさ

経営人材育成にあたっては、誰を育てるのか人材を選定しなければなりませんが、選定は簡単ではありません。たとえば、経営人材に求められる人物像は明確になっているものの、それを具体的な要件にまで落とし込めていないために、人材選定が難航してしまうケースはよくあります。

企業体質

経営人材を育成するために、社内に新しい業務や部署を作ろうとしたとしても、新しいことへの挑戦に抵抗感や不安を覚える人は少なくありません。また、戦力低下を懸念した部署が人材を手放そうとしないというケースも想定されます。このように経営人材育成に協力的でない企業体質がある場合、課題となります。

女性の少なさ

経営人材育成において、女性の候補者が少ないといったケースもよく見られます。近年では女性の社会進出がますます進んでいますが、経営人材となると女性が少ないのが現状です。女性に対する古い価値観がいまだに残っている中で、どのようにして女性の経営人材を増やしていくかは課題だといえます。

経営人材育成の研修サービスを提供している会社

経営人材育成を行う場合、研修サービスを提供している会社を利用することもできます。ここでは研修サービスを行っている会社を3つ紹介します。

GLOBIS

GLOBISでは、次世代のリーダー育成に関するさまざまな取り組みを行っています。たとえば、リーダーとしての使命感や今後のビジョンを醸成するための研修や英語、中国語、日本語の3言語で提供しているグローバル人材を育成するための企業内研修、事業フェーズを踏まえたうえでの女性リーダーの育成プログラムなど多岐にわたる点が特徴です。単なる座学ではなく、実践で役立つようなスキルの習得を目指します。

参考:次世代リーダー育成ならグロービス | GLOBIS

JMAM 日本能率協会マネジメントセンター

人材育成の支援に取り組むJMAM 日本能率協会マネジメントセンターでは、「パーパス経営と事業戦略研修」や「経営活動の経験から学ぶ 経営幹部養成コース」など経営人材育成に関わるさまざまな研修を行っています。また、コースによってはeラーニング形式や通信教育で行われるものもあるため、忙しい仕事の合間などでも参加しやすいでしょう。変化が激しく先行きが不透明な時代において、社会から信頼され愛される会社になるためにはどうすればいいのか、経営人材に求められる要素を学びます。

参考:経営幹部の課題解決にむけた人材育成施作 | JMAM 日本能率協会マネジメントセンター

学校法人 産業能率大学 総合研究所

産業能率大学綜合研究所では、将来の会社経営を担う存在としての覚悟を要請する研修を行っています。たとえば研修内では、経営を担うにあたってどういった要素が求められるのか把握し、自己の強みや弱みを押さえたうえで、経営人材に求められる意思決定力や決断力を身につけます。ケース演習やロールプレイング演習など、実戦を想定した中での立ち居振る舞いが求められるため、一般の社員と経営人材で求められる点が異なることなどが理解できるでしょう。演習の結果は参加者同士で相互評価を行います。

参考:経営マインドセット研修 | 企業内研修 | 産業能率大学 総合研究所

経営人材育成の事例

各企業では、将来の経営人材育成に向けたさまざまな教育制度が整備されています。たとえば三菱商事グループの人材育成プログラムは、社員の段階に応じた育成を実施している点が特徴です。また、知識やスキルを身につける研修のほか、経営執行や補佐能力の強化に取り組む研修など幅広く用意されています。
ハウス食品グループでは、次世代経営人材育成を図る「ハウス経営塾」を開催しています。こちらは、ハウス食品グループ本社の社長が「塾長」として関わっているほか、役員も関与するなど、グループを挙げた次世代経営人材育成の場となっています。

参考:人材育成・エンゲージメント強化 | 三菱商事

参考:人材育成・開発 | KDDI

参考:やりがいを感じられる仕組み | ハウス食品グループ

まとめ

経営人材育成の重要性や求められるスキルなどをご紹介しました。優れた経営人材を育成できれば、企業の成長、DXの推進をさらに加速できます。経営人材育成に取り組む場合は、どういった人材を必要としているのか明確にしたうえで、自社にあった方法を活用してください。

今回は経営人材育成に特化してお伝えしましたが、以下のコラムで管理職の役割についての解説をしています。気になる方はぜひご覧ください。

管理職の役割とは?求められるスキル・なってはいけない人の特徴を解説 | リスキリングナビ 

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