社内に特定の分野や事業に詳しい人材はいても、会社の先頭に立ち、組織を牽引できるリーダーは少ないのではないでしょうか。次世代リーダーの育成は、ジョブローテーションで経験を積ませて育つまで待つという従来の方法から、若手社員の中から適性のある者を選抜および育成するという方法へと変化が見られます。
今回は次世代リーダー育成のポイントや研修で実施される内容についてご紹介します。
目次
次世代リーダー育成とは、会社の将来を担うリーダーの育成を指します。具体的には経営者や経営幹部が該当します。会社のリーダーに求められるスキルは多岐にわたるため、リーダー候補を選抜し、計画的に育成を行います。
次世代リーダー育成にあたり、以下のポイントを押さえるようにしましょう。
目標なく惰性で日々の仕事に取り組むのと、高い志を持って仕事に取り組むのとでは、成長スピードが異なります。次世代リーダー候補には早期に自覚を持たせる必要があります。次世代リーダーは文化や価値観の違いを受け入れるとともに、会社を取り巻く環境の変化に柔軟に対応しなければなりません。この点をしっかりと自覚させることが重要です。
また、近年は企業の社会的責任(CSR)の重要性が高まっているため、自社の利益追求だけでなく、社会や環境への視点も持たせる必要があります。
次世代リーダーの定義や選抜方法が不明確であれば、周囲からも、場合によっては本人からも納得を得られにくいでしょう。次世代リーダーの育成は経営陣と人事部門だけでは実現できません。社内全体で次世代リーダーの人材像についてコンセンサスが得られ、育成を支援する環境づくりが求められます。各部門長による推薦という選抜方法が多いようですが、現時点でのパフォーマンスだけではなく、これからの伸びしろも含めて判断することが重要です。
ストレッチアサインメントとは、本人のレベルよりも高いレベルの業務を任せて成長を促す方法です。本人の専門領域とは異なる領域のプロジェクトマネジメント、新規事業の立ち上げ、厳しい状況にある事業の立て直しなどが該当します。最後までやり遂げた経験は大きな自信につながります。ただし、ストレッチアサインメントは心身へのストレスも大きいため、任せる業務のレベルを適切にコントロールする必要があります。
組織の中でコミュニケーションは重要な位置を占めます。上司との信頼関係の構築や上司を動かすためのコミュニケーションスキル、部下とのかかわり方や成長を促すための指導方法について学びます。また、周囲の巻き込み方を座学と演習で身に付けます。
リーダーは経営的視点が求められるため、決算書の読み方や経営指標の求め方、自社の業績の経年比較や競合他社との比較、マーケット比較などを行います。自社のリソースを分析する「内部環境分析」や自社を取り巻く環境を分析する「外部環境分析」の手法を演習の中で実践し、理解を深めます。
VUCA(※)時代と呼ばれる今日、会社と社員が先行きの見えない中で成長を続けることが求められます。若手社員向けのキャリアデザイン研修は、「自分が目指す将来の姿を描き、その実現のためにすべきことを明らかにする」「仕事の意味や目的を考える」「主体的なキャリアデザインの重要性を理解する」といった内容が取り上げられます。
※VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字を取ったもので、現代のビジネス環境を特徴づける言葉として用いられる。
次世代リーダー研修を受けた人は、何らかの収穫を得られているようです。主な感想は以下の通りです。
・考え方次第で自分の成長につなげられることが分かった
・頭で考えるだけでなく、行動することが重要であると感じた
・意識変革によって以前と比較して積極的に業務に取り組めるようになった
・社内コミュニケーションの重要性を再認識できた
・会社から求められる役割、自分が目指す理想像、そして現状と理想像とのギャップを埋めるための方法を 把握できた
・次世代リーダーとしての自覚を持ち、目標設定もできたので、この目標をぜひ達成したい
・次世代リーダーに求められるマインドやスキルを理解できたので、今度はそれらを実践していきたい
ここでは、次世代リーダー研修を提供している会社を4つご紹介します。
周囲からはリーダーとしての活躍が期待されているにもかかわらず、「自分はリーダーには向いていない」とリーダーへの昇格に後ろ向きである人材も多くいます。1日で行う本研修では、次世代リーダーが果たす役割やリーダーとしてのスキルアップ方法を学び、研修の最後に3か月後に達成したい目標を設定します。インソースの次世代リーダー研修には、「リーダーシップとオーナーシップを発揮する」という別テーマの研修(1日間)と自社の決算書の分析を通じて事業戦略を立案し、経営者視点を習得する2日間の研修もあります。
参考:次世代リーダー研修~安定力・思考力・指導力を身につける(1日間)| in sourse
次期リーダー候補である課長職以下などの人材を対象に、リーダーシップとマネジメントの基本を学び、成果・結果を出すためのリーダーシップを身に付けるプログラムです。全5日間の研修の中で、これまでの世代とは異なる新しい価値観を持った人材が、自分のあるべき姿を思い描き、成長のための課題を明らかにします。主体性を備え、自らの判断に責任を取れる人材になることが本プログラムの大きな目標です。
30~40代の選抜者を対象に、1回2日間の研修を5~7回実施するプログラムです。上司の方針や自部門の基準に沿って、これまでの延長線上で目の前の課題をこなしていくという状態から、方針や基準の見直しや策定といった中長期視点を持てるようにするためのプログラムです。ヒューマンスキル(対人関係能力)とコンセプチュアルスキル(概念化能力)の強化を重視した内容となっています。
チームで現実の課題に取り組む「アクションラーニング」を取り入れた研修です。ケーススタディでなく実際の問題の解決策を考え、行動し、結果を振り返るため、高い教育効果が期待されます。本研修では、組織サーベイや意識調査に基づき、市場分析と新規事業計画の策定、組織変革のリーダーシップ、業務改善と効率化、職場の風土改善といったテーマにチーム(研修運営会社よりファシリテーター2名)で取り組みます。
参考:次世代リーダー育成プログラム | ライトマネジメント(マンパワーグループ)
今回は次世代リーダー研修のポイントや実施される内容、そして研修を提供する会社をご紹介しました。次世代リーダーを生み出すポイントの1つは、リーダーとしての適性を備える人材を早期に把握し、本人に自覚を持たせることです。社内での育成と併せて外部研修を有効活用し、会社の将来を担う人材の育成につなげましょう。
なお、以下のコラムでも人材育成について解説しています。気になる方はぜひご覧ください。