現代社会においてIT技術は仕事を進めるために欠かせないものとなっていることから、ITスキルの重要性が増しています。しかし、ITという言葉にアレルギーがある場合や、そもそもITスキルがどのようなスキルなのかわからない場合もあるでしょう。
そこで今回は、ITスキルの意味やITスキルを習得するべき理由を解説します。また、ITスキルを測る場合に活用できる指標も紹介するので、参考にしてください。
目次
ITスキルとは、IT(インターネットテクノロジー)に関する基礎的なスキルから応用的なスキルまでの総称を指します。
たとえば、プログラミングやSEOライティングはITスキルになる他、インターネットで検索することや、Wordを使って文章を作成することも、広義ではITスキルに該当します。
ITスキルを習得するべき理由は、IT技術が社会に浸透するスピードが早いからです。
現在では、ITスキルを使ったさまざまなビジネスが生まれています。IT技術はさらに発展していくものと見られており、ビジネスパーソンとして企業に所属したり、新たなビジネスを創出したりする場合には、相応のITスキルが求められることになります。
また、高度なITスキルを持った人材が足りておらず、今後は労働力人口の減少によってIT人材の人手不足に拍車がかかると見られています。
人手不足を解消するため、多くの企業でIT技術を用いた省力化や業務効率化の推進が急務となっている他、ITスキルの高さが評価の対象になるなど、ITとビジネスを取り巻く状況は日々変化しているのが現状です。
このような理由から、ITスキルは最優先で習得するべきと考えられています。
身に付けておきたいITスキルにはさまざまなものがありますが、中でも重要なITスキルは次のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
ソフトウェア開発などに必要になるのがプログラミングスキルです。プログラミングはコンピュータへの命令文を記述する作業のことで、専門の言語を用いて命令文を記述することで、アプリやデジタルツールなどを作成できます。
IT業界で働くためには、現場で使用されているプログラミング言語の習得が必要不可欠です。IT技術者の基礎となるスキルであることから、1つの言語を習得するだけではなく、新たな言語を習得してスキルの幅を広げたり、新たな言語を習得したりするといった努力が必要になります。
ネットワークのスキルとは、通信技術としてLANやWAN、インターネットなど、さまざまな機器の接続や設定を行うスキルを指します。
近年ではビジネスにインターネットを活用するのが当たり前となっており、ネットワークが整備されていなければ業務を進めることができません。
そのため、ネットワークの技術者のみならず、他の専門職やビジネスパーソンであってもネットワークの知識・スキルを習得すべきといえるでしょう。
クラウドとは、インターネットなどのネットワーク上で提供されるソフトウェアやハードウェアのことです。
IT業界においては、クラウドのスキルや知識が重宝されるケースが増加しています。近年では、組織でクラウドサービスを導入して活用するケースが増加している他、クラウド上で使用するアプリやシステムを開発するケースがあります。
また、クラウドによるインフラ構築などを担うクラウドエンジニアという職種が登場していることから、ビジネスにおけるクラウドの重要性が高まっているといえるでしょう。
セキュリティに関するスキルや知識も、習得しておきたいITスキルです。
インターネットなどのネットワークを活用した業務が増加する現在では、自社の情報や資産を守るセキュリティ対策が重要になります。また、サイバー攻撃によって国内外のさまざまな業種・職種で被害が発生している状況にあり、セキュリティスキルは欠かせないITスキルとなっています。
専門職としては、ネットワークやサーバー、クラウドなど幅広い知識が必要です。ビジネスパーソンとしては、自社の情報を漏洩しないための基本的なスキルや知識を習得しておくことが求められるでしょう。
ITスキルに関連して習得したいスキルや知識としては、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルが挙げられます。
案件をスムーズに進める、取引先と折衝する、企業のコンサルティングをするなど、一般的な仕事は誰かと関わりながら進める場合がほとんどです。その際のビジネススキルの基礎となるコミュニケーションスキルは、業種・職種に関わらず重要なスキルといえます。
また、マネジメントスキルはキャリアアップに欠かせないスキルです。コミュニケーションスキルを高めてマネジメントスキルに昇華させられれば、収入アップも期待できます。
なお、ITの世界では新しい技術やツールが誕生するスパンが短いのが特徴です。最新の情報にアクセスして、取り残されないようにする意識や行動も重要になるでしょう。
IT技術者のスキルレベルを図る場合の指標として「ITスキル標準(ITSS)」と「ITSS+」があります。
ITスキル標準(ITSS)は2002年に経済産業省が策定し、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が改定版を公表しています。ITSS+は2017年にIPAが策定した指標です。
それぞれの指標がどのようなものか詳しく解説します。
ITスキル標準とは、IT関連サービスの提供に必要な実務能力を明確化・体系化した指標です。IT人材のスキル体系で、業界で活用できる基準(ものさし)となり、保有しているスキルを客観的に確認できる他、伸ばすべきスキルを明確に把握するために活用されています。
ITスキル標準は、能力や実績に基づいた7段階のスキルレベルを策定しています。それぞれのレベルについて解説します。
情報技術に関わる場合に最低限必要な基礎知識を有しているレベルです。個人のキャリアプランを実現するために積極的にスキルを磨く必要があります。
上司やリーダーの指導のもとで求められた作業を担当するレベルです。IT技術者のプロとして必要な基本的な知識やスキルを持っているものの、キャリアプランを実現するにはさらにスキルを磨く必要があります。
要求された作業をすべて自分一人のスキルと能力で遂行できるレベルです。スキルの専門分野の確立を目指すべく、プロになるための応用的な知識やスキルを持っているものの、スキルの継続的な研鑽が求められます。
IT技術者のプロとしてスキルの専門分野が確立しており、自分一人のスキルを活用して業務上の課題解決をけん引するレベルです。プロとして求められる経験の知識化・応用・後進の育成に貢献しているハイレベルのプレーヤーです。
スキルに関しては継続的な研鑽が求められます。
IT技術者のプロとしてスキルの専門分野を確立し、テクノロジー(技術)やメソドロジー(方法論)、ビジネスの創造を社内でリードするレベルです。自他ともに認める経験・実績があり、社内のハイエンドプレーヤーとして認識されます。
IT技術者のプロとしてスキルの専門分野が確立し、社内に限らず社外でもテクノロジーやメソドロジー、ビジネスの想像をリードするレベルです。業界・市場においてプロとしての経験・実績があり、国内のハイエンドプレーヤーとして認識されます。
IT技術者のプロとしてスキルの専門分野を確立し、社内に限らず社外でもテクノロジーやメソドロジー、ビジネスの創造をリードするレベルです。市場全体に置いて先進的なサービスの開拓や市場をリードした経験・実績があり、世界で通用するプレーヤーとして認識されます。
ITSS+とは、第4次産業革命に向けて必要とされる新たな領域の学び直しのための指針です。
ITスキル標準で対象となっている情報システム部門に関わる人材のスキル強化に活用されることを想定して策定されました。ITSS+は学び直しのための指針として策定されたものであり、従来のITスキル標準と統合されるものではありません。
ITSS+ではデータサイエンス領域、アジャイル領域、IoTソリューション領域、セキュリティ領域の4つの領域で必要なスキルが定義されており、ITスキル標準と同様に7つのレベルが設定されています。
社会を取り巻く環境の変化によってビジネスシーンでのIT技術の活用が進んでいる現在、ITスキルの重要性が高まっています。時代の流れに取り残されないよう、ITスキルを磨いていくことが重要です。
また、ITスキルの習得・向上には2つの指針があります。自身のスキルレベルがどの程度か、どのようなスキルを習得すればキャリアパスを実現できるのかを把握しやすいため、うまく活用していきましょう。
こちらのコラムでは、デジタルスキル標準について解説しています。
デジタルスキル標準とは?策定された理由と概要を分かりやすく解説 | リスキリングナビ
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