人材マネジメントとは?目的やプロセス、活用できるフレームワークを解説

公開日:2023.07.06 更新日:2023.07.06

働き方が多様化し、働き方に対する考え方も変化してきている現代において、企業は自社の人材を有効的に活用することが求められています。その中で注目をされているのが「人材マネジメント」です。
ビジネスの変化が激しく、より競争力が求められるようになった今、企業戦略として欠かせないものになっているといえるでしょう。本記事では人材マネジメントの概要から、実務で人材マネジメントを行う際に活用できるフレームワークなどを解説していきます。

人材マネジメントとは?

人材マネジメントとは、企業が掲げているビジョンや目標を達成するために、人材を戦略的に配置したり、能力の最大化を図ったりするために行う仕組みです。
具体的には採用した人材に対しての育成や教育、働きやすい環境の整備、評価制度の整備などが挙げられます。競争が激しく、AIの活用など変化の激しい現代において、他社との差別化を図り、市場における優位性を保つためには、変化に柔軟に対応できる人材の育成やパフォーマンスの最大化が必要とされています。

人材マネジメントの目的

人材マネジメントの目的は「企業が持続的な成長を続けること」の達成です。人材マネジメントが注目されている背景として、「労働人口の不足」や「求められる人物像の変化」、「働き方の多様化」が挙げられます。

労働人口に関しては、2030年には644万人の人手不足となる予測がパーソル総合研究所の調査「労働市場の未来推計 2030」にて発表されています。労働人口の不足は少子高齢化の影響もあり、避けられないとされています。総務省の「平成29年版 情報通信白書」では、IoTやAIの活用によるイノベーションを起こし、生産性向上を図ることで人手不足による影響を避けられると考えられています。

こうしたIoTやAIなど専門性の高い分野の活用が求められているため、企業にとって必要な人材も変化しています。従来は幅広い分野に知識や経験を持った「ジェネラリスト」が求められる傾向にありましたが、昨今では専門分野に特化した「スペシャリスト」が求められるようになってきました。企業側も自社の市場における強みを出すために、スペシャリストの育成が急務な時代に突入しています。

最後に働き方の多様化です。テレワークや時短勤務、副業の推進など、これまでとは異なる価値観の働き方が広まってきており、企業側もこれらのニーズに対応しなければ従業員満足度は上がらず、人材の流出や採用難につながるおそれがあります。

時代やニーズの変化への対応は「企業が持続的な成長を続けること」には必要不可欠であるといえます。こうした背景から、人材マネジメントの必要性が増しています。

人材マネジメントのプロセス

人材マネジメントは以下のプロセスに沿って進んでいきます。

  • 採用
  • 育成
  • 評価
  • 処遇
  • 配置
  • 休職・復職

それぞれのプロセスについて、具体的に解説していきます。

採用

人材採用では自社が掲げているビジョンや経営戦略に沿って、必要な人材を確保していきます。自社の方針に見合う人材でなくては企業としての価値は上がらないため、どのような人材を確保すべきかを明確にしておくことが大切です。
自社の経営戦略に合った人材の確保は、企業競争力を向上させる下地の準備につながります。

育成

採用した人材から、従来から在籍している従業員に対して適切な育成を施していきます。入社時の研修、現場のOJT研修、専門スキルを学ぶための研修やセミナー、勉強会などを行なっていきます。育成は従業員のキャリアプランと照らし合わせながら、モチベーション向上も視野に入れて行うのが最適です。

評価

従業員が獲得したスキルや実績、働きに応じて適切な評価を行なっていきます。昇給や昇格などの人事評価制度を客観的に整え、従業員がどれだけの働きで評価されるのかの指標をわかりやすくします。役職や職種ごとにきちんとした評価制度を整えることで、従業員のモチベーション向上を図れるとともに、企業側も適切な評価を行えるようになります。

処遇

従業員それぞれの業務内容やスキル、実際の働きに応じて給与や福利厚生を与えていきます。処遇にはきちんと整った評価制度が求められ、整合性が必要になります。適切な評価制度のもと、正しい報酬や福利厚生が与えられる環境を構築することで、従業員が前向きに業務を行うようになります。

配置

従業員の適正と自社の事業戦略を照らし合わせながら、部署異動などの人材配置を行なっていきます。従業員のスキルはもちろん、希望や働きに応じて適材適所の人材を配置することが大切です。配置は定期的に確認を行い、会社全体の生産性向上につなげていきます。

休職・復職

従業員のライフステージに応じた休職制度が必要です。体調不良の際に、しっかりと休める環境のほか、出産や育児、結婚などライフステージで迎えるさまざまなタイミングで休暇を取得できるのも大切なポイントとなります。また、復職後に適切な業務やポジションを与えることは、従業員の「いつ休んでも大丈夫」という安心感につながります。従業員満足度も上がるため、長く自社で働いてくれる動機にもなるでしょう。

人材マネジメントで使えるフレームワーク

実際に人材マネジメントを行う際に利用できるフレームワークとして、以下の3つを紹介します。

  • MVV
  • PEST分析
  • SWOT分析

それぞれのフレームワークについて解説していきます。

MVV

MVVは、「Mission(ミッション)」「Vision(ビジョン)」「Value(バリュー)」の頭文字をとったフレームワークです。「Mission」は自社がやるべきことを示し、「Vision」は自社の理想像を示し、「Value」は自社の価値観を示しています。
ミッションからビジョン、バリューの流れで考え、言語化することで、組織として同じ方向を向けるメリットがあります。

PEST分析

PEST分析とは、「政治・法要因(Politics)」「経済要因(Economy)」「社会・文化要因(Sosiety)」「技術要因(Technology)」の頭文字をとったフレームワークのことです。
企業の外部環境を長期的に捉えるために用いられる分析で、分析を踏まえたうえで自社にどのような人材が適切かを考えていきます。外部環境は自社でコントロールはできないため、効果的な分析の実施が自社の持続的な成長にもつながっていきます。

SWOT分析

SWOT分析とは、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の頭文字をとったフレームワークのことです。内部環境と外部環境における自社の強みと弱みを客観的に分析でき、市場における立ち位置が明確になります。
経営戦略を立てる際には、SWOT分析で用いた強みを活かしていくと効果的です。また外部環境に関しては、前述したPEST分析と連動させると、より効果が発揮できます。

人材マネジメントのおすすめ資格3選

人材マネジメントに活用できるおすすめの資格を3つ紹介します。

  • プロジェクトマネジメント資格(PMP)
  • 社会保険労務士
  • ビジネスマネジャー検定試験

それぞれの資格について解説していきます。

プロジェクトマネジメント資格(PMP)

プロジェクトマネジメント資格(PMP)とは、米国プロジェクトマネジメント協会が主催する資格で、マネジメントに関する知識やスキルを持っている証明になります。
取得難易度は高く、合格後も3年ごとに資格を更新するための課題がありますが、取得しているとあらゆる業界で重宝される資格です。国際資格で、グローバルな活躍も可能になります。

社会保険労務士

社会保険労務士は、マネジメントにおける人事や労務に関する知識を体系的に取得できる資格です。具体的には雇用契約や労働環境などの法律を学ぶことができます。国家資格で難易度も高く、合格率は5%前後とされています。
所持しているとあらゆる企業のマネジメント業務で重宝される資格です。

ビジネスマネジャー検定試験

ビジネスマネジャー検定試験は、日本生活環境支援協会が行なっている認定試験です。資格を取得することで、マネジメントに関するアドバイザーとしても活動できるのが特徴です。
マネジメントに関する知識を網羅的に学ぶ試験になっているため、PMPや社会保険労務士の取得前に取得を目指すのがおすすめです。

まとめ

今後、人材マネジメントを効果的に行うことは、企業が持続的な成長を続けていくためには欠かせない要素になります。主観的ではなく、客観的な視点から自社に合った人材を確保し、長い期間活躍してもらえるような環境の整備が必要です。人材マネジメントを適切に行えれば、競争力の強化や企業価値の向上につながっていきます。今一度、自社の人材マネジメントの体制について見直してみてください。

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