医療業界でeラーニングを導入するメリットとは?システムの選び方も解説

公開日:2023.05.31 更新日:2023.05.31

eラーニングは、時間や場所を選ばずに組織全体のレベルアップを図れる学習方法です。集合研修と組み合わせて、eラーニングによる予習で座学の時間を短縮する、といった活用の仕方も考えられます。今回は医療業界におけるeラーニングの導入メリットや、おすすめのeラーニングシステムをご紹介します。

eラーニングとは

eラーニングとは、特にインターネットを利用した学習方法のことで、受講者はPC、タブレット、スマートフォンでインターネットに接続し、動画コンテンツの視聴などにより学習します。以前は教材がCD-ROMで提供されていましたが、現在はWeb上で学習コンテンツが提供されることが一般的です。

医療業界でeラーニングを導入するメリット

医療業界におけるeラーニング導入のメリットとして、以下の2つが挙げられます。

時間や場所を選ばずに学習できる

医療機関の職員はシフト制で働くことも多く、全員が同じ日に集合して研修を受講することは難しい場合もあるでしょう。しかし、eラーニングであれば、PC、タブレット、スマートフォンを利用して、いつでも、どこでも学習できます。また、学習コンテンツが豊富に用意されており、各自に合った内容を選択できます。

集合研修の事前学習に利用できる

新人職員を対象とした集合研修の実施にあたり、eラーニングで予習してから集合研修に臨んでもらうことで、研修の中で説明にかける時間を減らし、実技を学習するための十分な時間を確保できます。現場で使う技術を3D動画で分かりやすく学べるeラーニングもあります。

eラーニングシステムの選び方

eラーニングシステムは、eラーニングを効率的に管理するためのシステムであり、学習管理システム(Learning Management System、LMS)とも呼ばれます。eラーニングシステムを利用して、受講管理などを簡単に行うことができます。以下の3つのケースのうち、自組織がどのケースに該当するのかを確認しましょう。

・自組織で学習コンテンツを制作済みで、そのコンテンツをシステム上で管理したい
・これから自ら学習コンテンツを制作して活用したい
・外部の学習コンテンツを利用して自組織の職員教育に役立てたい

eラーニングシステムのコスト体系は、同時アクセス者数やデータ容量などに応じた従量課金制と利用者数などに応じた月額定額制に分けられます。従量課金制と月額定額制の2つから選択できるというシステムもあります。組織規模や利用環境によって選択すべきコスト体系は異なるでしょう。たとえば、多数の職員を擁する組織の場合、月額定額制の方が職員1人あたりのコストを低く抑えられる場合があります。

もう一つの選定ポイントは、オンプレミス型とクラウド型のどちらのシステムを希望するのかという点です。eラーニングシステムは、大きく分けて自らのサーバーで運用する「オンプレミス型」とソフトウェアがベンダーのクラウドサーバーからインターネットを通じて提供される「クラウド型」の2種類があります。 オンプレミス型はカスタマイズ性に優れる反面、環境構築が必要です。クラウド型は、サーバーへのソフトウェアのインストール、システムのアップデート・メンテナンスは不要ですが、カスタマイズできる範囲が限られるという特徴があります。

医療業界におすすめのeラーニングシステム3選

おすすめのeラーニングシステムを3つご紹介します。

病院・医療業界向けeラーニングシステム

徳洲会インフォメーションシステム株式会社の病院・医療業界向けeラーニングシステムは、院内で開催される勉強会や講習会などをオンラインで受講可能なシステムです。国際的な医療機能評価であるJCI認証取得を目指している病院や院内教育に力を入れている病院に向いています。職員教育・研修会の様子を動画で撮影し、管理者がシステム上にアップロードできます。動画なし/動画ありでのテストを実施でき、テストは後日途中から解答可能です。アンケート作成機能は、講習会受講後に感想を尋ねたり、職場満足度を調査したりする際に役立ちます。受講結果、テスト結果、アンケート結果の集計およびExcel形式での出力の他、受講義務のある職員への受講依頼メール送信、受講期限が迫った受講者へのリマインドメール送信ができます。

Baritess(バリテス)

株式会社メディシステムソリューションの「Baritess」は、集合研修の管理から未受講者のフォローまでを一元管理できる、オンプレミス型のeラーニングシステムです。業務の空き時間を使って電子カルテ端末からeラーニングを受講できます。自組織のドキュメントや動画を教材として利用できるだけでなく、病院グループウェア「CoMedix(コメディクス)」、インシデント管理システム「ファントルくん」といった同社製品と連携できます。

Cocri eラーニングサービス

株式会社オーティサイトの「Cocri eラーニングサービス」は、医療機関の法定研修でも利用されているサービスです。コンテンツのアップロード、受講確認、問い合わせ対応等の運営に関わる部分、動画編集やパワーポイント資料の動画化、監査対策のレポート作成等のサポートもサービスに含まれており、管理者側の負担を抑えながらeラーニングシステムを導入できます。

医療業界のeラーニングの導入事例

eラーニングは病院や介護施設で導入され、大きな効果を上げています。

千葉大学医学部附属病院 看護部

看護技術を学べるオンライン教育ツール「ナーシング・スキル」(エルゼビア・ジャパン株式会社)を導入し、新人看護師の研修に活用しています。従来は新人看護師研修を集合形式で実施していましたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、三密を避けるために少人数での研修に切り替える必要がありました。その場合、研修回数が増加することから、1回あたりの研修時間を短くしなくてはいけません。そこで受講者に研修前にナーシング・スキルで予習をするよう依頼したところ、これまで研修の冒頭で30分程度かけていた説明を省いて、すぐに実技に取り掛かれるようになりました。また、実写や3D動画といった映像を通して、具体的な手技のイメージをつかみやすいように工夫されている点も大きなメリットです。

社会福祉法人瑞穂会 ふぁみぃゆ行田

介護老人福祉施設ふぁみぃゆ行田では、施設職員全体のレベルアップを図るため、株式会社学研メディカルサポートの「学研介護サポート」を導入しました。学研介護サポートは、新人から管理者まで使える介護施設向けのeラーニングで、新人介護職員がおさえておくべき基礎知識を学ぶ「介護基礎コース」、施設マネジメントで役立つ知識を学ぶ「管理者コース」、介護現場で必要とされる技術を学ぶ「介護技術動画ライブラリ」などが用意されています。同施設では研修受講を人事評価項目に含めており、受講履歴やテストの成績をCSVファイル形式で出力し、受講状況の確認に役立てています。学習状況の評価により、受講者のモチベーション向上に効果を上げています。

まとめ

今回は医療業界におけるeラーニングについてご紹介しました。コロナ禍で大人数での集合研修の開催が困難となり、やむを得ずeラーニングを導入したというケースも少なくありませんが、導入してみると、職員の意識向上や研修担当者の負担軽減など、期待以上の効果を得られているようです。組織のレベルアップのためにeラーニング導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

おすすめの
パートナー企業