近年、少子高齢化が進んでいる日本では人材不足が深刻になってきています。人材不足に対応するために、社員を育成し新しいスキルや知識を習得させることは、企業の大きな課題といえるでしょう。最近よく耳にするリスキリングも人材育成の一環として行われており、国や都道府県も積極的にサポートしています。
この記事では、人材育成に必要となる考え方やスキルについてご紹介していきます。人材育成を行い企業をよりよいものにしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
明確な目的がなければ人材育成はうまくいきません。ここからは、人材育成の目的や考え方について3つご紹介します。人材育成を行う前に目的を明確にすることで、人材育成に対する取り組みも円滑に進められるようになります。人材育成の目的があいまいになっている人は確認していきましょう。
人材育成を行う理由の一つは、既存のサービスや業務形態をよりよいものにすることです。従来のスキルや知識だけでは新しいサービスや価値の創出は難しく、絶えず新しいスキルや知識の習得により、日々変化する社会に適応できるようになります。さらに、従来よりも効率的に業務や作業を進められるようになれば無駄なコストを削減できます。
人材育成を通して社会人として持つべき心構えや考え方を身につけられます。社会人になったばかりの新入社員に限らず、社会人経験が長い社員もビジネスマインドを忘れている場合があります。仕事に対する考え方や心構えは日々の業務に反映されるため、人材育成を通して向上心を高めることは非常に重要です。
ここからは、人材育成を成功させるために大切なことをご紹介します。人材育成を行う際は以下のことを意識しながら取り組むようにしましょう。
まず最初にやらなければいけないのは、人材育成の目的の明確化です。目的や目標を決めると社員の成長度合いを管理しやすくなります。また、目的や目標は「客観的に判断できる」「企業にとって利益になる」といった点を意識して設定することが重要です。目的や目標が定まったら、育成担当者は各社員に沿った育成計画を立てます。
人材育成は企業だけが積極的に取り組んでもあまり意味がありません。社員の仕事に対する意識が高くなったときに、はじめて意味を成します。社員の自発的な行動に繋がるような動機づけを育成過程の中で作ることが非常に重要です。
人材育成を実施するだけではなく、社員からの改善点や感想に関するヒアリングの実施も大切です。人材育成の質を高められれば社員のモチベーションが向上するほか、社内のコミュニケーションも活発になります。
人材育成を成功させるために必要なスキルとして、以下の3つがあげられます。
人材育成スキルがなければ育成を成功させるのは難しいでしょう。人材育成を行う際は、相手との関わり方や物事に対する考え方を見直す必要があります。ここからは、人材育成担当者に必要となる3つのスキルについてそれぞれ解説します。
コミュニケーションは、他者と情報を交換しあうスキルのことで、職場内での円滑な人間関係にも大きく関わります。人材育成する際には、コミュニケーションスキルのなかでも以下の2つのスキルが重要です。
ティーチングは、知識や経験を相手に教えるスキルです。おもに経験豊富なベテランから経験が浅い新人へ行われます。ティーチングスキルで最も重要なのは、「誰でも理解できるように説明する力」です。
経験豊富でも説明が分かりにくければ伝わりません。難しい専門用語を言い換えるなど分かりやすく説明するスキルが必要になります。
コーチングとは、育成する相手のやる気や能力を引き出し、自発的に業務を遂行できるようにサポートするスキルです。コーチングスキルで重要なのは、「育成する相手と並走し、見守る力」です。口頭で教えても、実際に業務を行ってみなければ人材は育ちません。
育成相手がミスをしてしまった場合も、カバーや助言をし、並走しながら目標達成まで見守るスキルが必要でしょう。
ロジカルシンキングとは、何か問題が起きた時に結果と原因の繋がりを明確に考える論理的思考法のことです。
人材育成時はミスなどによるトラブルが多く、その都度ロジカルシンキングスキルにより再発を防ぐアドバイスが求められます。
クリティカルシンキングスキルとは、物事に対して疑いの目を持つことで本質を見極める思考法です。全て否定的な意見から入るというわけではなく、今の現状に満足せず改善点がないかを疑う考え方を指します。
人材育成時も教え方などについて、より大きな効果や効率化を探るクリティカルシンキングスキルが必要です。
人材育成で使えるフレームワークとして、以下の3つがあげられます。
フレームワークを参考に人材育成を行えば成功する確率も高くなります。会社が求める人材を育成するために、フレームワークから育成方法を考えることも大切です。
ここからは、3つのフレームワークについてチェックしてみましょう。
ベーシック法では、人材育成に必要な目標を設定します。以下の4つの項目に沿って設定しましょう。
どのような目標をいつまでに、どのような計画で達成するのかを予め決めることで、努力する方向性が定まります。達成基準を設定すると、到達度や達成するために必要な点も明確になり、効率よく人材育成ができるようになります。
どのような手順で人材育成したらいいかわからない場合は、ベーシック法を用いての人材育成をおすすめします。
カークパトリックモデルは、人材育成の際に実施した研修などの教育の成果を可視化するフレームワークです。具体的には以下の4段階で計測します。
「反応」では研修の満足度を計測します。匿名などのシステムで実際に育成する相手からアンケートをとるといいでしょう。「学習」では、研修内容の理解度を計測します。終了後に簡単なテストを実施するのもおすすめです。
「行動」は研修後の行動にどのような変化があったか、「結果」は研修により業績はどのくらい向上したのかを計測します。研修後は行動を見守る期間を作るなど、現在の研修内容が適切であるかの確認や振り返りも重要です。
SMARTの法則は、既に設定済みの目標の質を評価するフレームワークです。以下の5つの項目で評価します。
設定した目標は具体的にどのような成長をもたらすのか、達成するにあたって現実味がある内容かなどを評価します。目標があまりにも厳しい場合、達成が困難でやる気を喪失する可能性もあるため注意が必要です。
また、育成後も目標を設定するスキルは仕事をしていく上で重要な役割を果たします。目標を設定するスキルが上がれば計画性も向上し、効率の良い仕事ができるようになりますから、育成段階で取り入れることをおすすめします。
ここまで、人材育成を成功させるために必要なことやスキルなどをご紹介してきました。人材不足が深刻化していくなか、企業で優秀な人材を育成することが今後さらに求められるようになるでしょう。よりよい人材育成を行うためにも、この記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。