「新事業進出補助金」が2024年度補正予算に基づいて新設されます。この補助金は、中小企業や小規模事業者が新たな市場への進出や事業転換を目指す際の資金を支援する制度です。この記事では、補助金の目的や活用のポイント、支援の詳細を解説します。
目次
日本の中小企業は、物価高や人手不足、最低賃金の引き上げなど、厳しい経営環境に直面しています。こうした状況を打開し、企業が成長を続けるために、国は予算や税制、各種制度を総動員して中小企業を支援しています。
新事業進出補助金は、企業が新たな市場への参入や新製品・新サービスの開発を進める際にかかる初期コストを軽減し、事業リスクを抑えながら成長を加速させることを目的としています。
補助対象者は、「企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等」とされています。中小企業・小規模事業者を対象とした支援制度であり、過去の補助金制度の傾向から大企業(従業員2,000人超)や「みなし大企業」などは補助対象外になる可能性がありますが、こちらの内容は現時点での情報であり、今後、変更される可能性がありますので、参考情報としてご覧ください。
基本要件について
「新事業進出補助金」の「基本要件」は、次の通りです。
中小企業等が、企業の成長・拡大に向けた新規事業(※)への挑戦を行い、
下記①②③④の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。
(※事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること)
①付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
②1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円 以上の水準
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等
※なお基本要件②、③が未達の場合、未達成率に応じた補助金返還を求められる可能性があります。
補助金の上限額は従業員数に応じて設定されており最大で9000万円、従業員数が多いほど上限額が高くなり、大幅な賃上げを達成した場合には、補助上限額が引き上げることが可能です。また、補助下限額が「750万円」とされていますので、「1500万円(税別)以上」の投資が必須となります。
従業員規模区分 | 補助率 | 補助上限額 (大幅賃上げ特例適用時) |
---|---|---|
従業員数20人以下 | 1/2 | 2,500万円(3,000万円) |
従業員数21~50人 | 1/2 | 4,000万円(5,000万円) |
従業員数51~100人 | 1/2 | 5,500万円(7,000万円) |
従業員数101人以上 | 1/2 | 7,000万円(9,000万円) |
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+ 6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
①建物費
②構築物費
③機械装置・システム構築費
④技術導入費
⑤専門家経費
⑥運搬費
⑦クラウドサービス利用費
⑧知的財産権関連経費
⑨広告宣伝・販売促進費
※経費の支払いに対する注意点
補助金の交付決定前に支払いを行った費用は、補助対象外となるケースが一般的です。補助金は原則として、交付決定後に発生した経費が対象となるため、交付決定前に支払いを行った場合は補助対象から外れる可能性がありますので注意が必要です。
過去の補助金制度の傾向から、審査で特に重要とされるポイントは次の2つです。この2つのポイントを押さえておくことで、採択される可能性が高まる可能性があります。
単に既存事業の延長線上にあるものではなく、新たな市場への参入や新規製品・サービスの開発が求められます。
例えば、製造業であれば、AIやIoTを活用した新しい生産ラインの構築や、DX(デジタルトランスフォーメーション)により業務効率を改善する取り組みなどが評価されやすい傾向があり、他社との差別化や競争力強化につながる内容を事業計画に反映させることが重要です。
賃金引き上げが必須条件となるため、具体的にいくら従業員の賃金を上げられるかがポイントになります。条件を満たすことで、補助金の上限額が引き上げられる「加点措置」が適用される可能性があります。ただ賃金引き上げの実施が困難な場合、未達成率に応じて補助金返還となる可能性もあるため、無理のない計画を立てることが大切です。
新事業進出補助金は、初期費用を抑えつつ、事業リスクを軽減しながら新たな挑戦ができる魅力的な制度ですが、自社の成長戦略や投資計画において、この補助金を活用しようと考えている企業は、事前準備をしっかりと進めることが重要です。
新事業進出補助金の申請をスムーズに進めるために、事前に押さえておくべきポイントを3つにまとめました。
新事業進出補助金の申請には、短期間での準備とスムーズな事業実施が求められますので、ほかの補助金と同じくスケジュール管理が大切です。新事業進出補助金において特に注意するスケジュールは次の3つです。
申請期限は必ず事前に確認し、余裕を持って準備を進めることが重要です。多くの補助金は、公募開始から締切までが1か月〜2か月程度と比較的短いため短期間で申請書類を準備する必要があります。また申請直前になると申請システムが混雑する可能性もあるため、早めの準備と提出が重要です。
補助事業期間は交付決定から14か月以内(採択発表から16か月以内)に設定されています。この期間内に、設備や建物の発注から納品、支払いを完了させる必要があります。
たとえば、建物の建築や改修工事、機械装置の納入には通常、数か月以上かかる場合があるため、事前に発注スケジュールや納期を確認しておくことが不可欠です。
補助事業が完了した後は、一定期間内に実績報告を行う必要があります。実績報告では、補助金の使用状況や成果の達成度を示す必要があり、提出が遅れたり内容に不備があると、補助金の一部または全額が返還対象となる可能性がありますので、事業の進行中から必要書類を適切に整理しておくことが重要です。
新事業進出補助金の公募要領は、2025年4月に公開予定となっていますので、仮に第1次公募の採択発表が令和7年7月下旬の場合、交付決定は早くても令和7年9月1日以降になる見込みです。
公募要領が発表されるまでは、スケジュールを組むことが難しいですが、事前に準備を進めておくことで申請から事業実施、補助金受給までをスムーズに進めることができます。特に、どのような経費が補助対象となるのか、具体的にどのくらいの費用がかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。
また、賃金引き上げの実施状況や給与総額の増加を証明するためには、賃金台帳や労働契約書などの書類提出が必要になることがありますので事前に書類準備しておき、スムーズに手続きを進めていけるようにしましょう。
新事業進出補助金は今回が初めての公募となるため、申請手続きに不慣れな企業も多いかもしれません。こうした場合、外部の専門家を活用することで、申請手続きをスムーズに進められる可能性があります。
専門家に依頼することで、審査員に伝わりやすい計画書の作成ノウハウを得られたり、自社に合った他の公的支援策についても相談できるといったメリットがあります。また、補助金の申請に関する専門的な知識や経験を持つ専門家にサポートを受けることで、申請書の完成度が高まり、採択率が上がる可能性もあります。
現在、多くの企業が補助金申請をサポートするサービスを提供しています。自社に合った外部専門家を選ぶ際には、以下のポイントを考慮すると効果的です。
・補助金の申請書作成に関する実績やノウハウが豊富か
・採択後の事務手続きもサポートしてもらえるか
・他の補助金・助成金・税制優遇制度についても相談できるか
・資金調達のサポートを受けられるか
株式会社VibesUpでは、新事業進出補助金に関する無料相談を実施しています。
「新事業進出補助金を活用したいがどこから手を付けていいか分からない」
「申請手続きが複雑で難しく、申請スケジュールの管理が難しい」
「 受給までの資金繰りが不安で融資など含めて相談したい」
このようなお悩みごとは株式会社VibesUpが全てサポートします!
これまでに数多くの補助金申請をサポートしてきた実績があり、補助金制度に精通した専門家が多く在籍しています。補助金を最大限に活用するためには、事前の準備や計画が成功へのカギとなります。申請から採択、実績報告までをトータルでサポートいたしますので、安心してお任せください。
補助金を活用して、事業の成長と成功を目指しましょう!
まずは無料相談から、ぜひお気軽にご相談ください。