社員研修プログラム作成のポイントや具体例、最新のトレンドを解説

公開日:2023.04.26 更新日:2023.09.21

人材育成にとって重要な要素となるのが「社員研修」です。
内容や形式にもさまざまなものがあり、人材育成担当や研修担当の方にとっては課題も尽きないことでしょう。
本記事では、社員研修を検討する方々に向けて、社員研修の目的や種類、トレンドについて詳しく解説していきます。

社員研修とは

社員研修とは、人材育成の手段の一つで、社員を対象にスキルや知識を教えることです。

教える内容や対象はさまざまですが、目的は人材育成であり、企業にとっての長期的なビジョンを念頭に置きながら施策を選定することが重要な視点になります。

社員研修の重要性

社員研修が重要視される背景には、近年のビジネスのグローバル化とデジタル化があります。
2000年代以降のグローバル化により、企業はますます激しい競争の中で自社を存続させる必要が出てきました。そこで必要なのは、グローバル人材や優れたリーダーシップをもつ人材の教育です。


さらに近年では、ビジネスのデジタル化が進み、IT人材の確保や社内人材へのIT教育の必要性が増してきました。
これらの背景から、社員研修による人材育成は企業戦略に必須の要素となってきているのです。

社員研修が重要視される背景には、近年のビジネスのグローバル化とデジタル化があります。


社員研修の目的

社員研修の目的は、以下の3つです。


  • 社員のスキルアップ
  • 社員の信頼構築
  • 社内文化の形成


社員のスキルアップ

社員研修の最も大きな目的は、社員のスキルアップです。


研修で学んだスキルを仕事に活かすことで、生産性を高められるでしょう。ここでのポイントは、実践の機会を設けること。講義やマニュアルを使った社員研修では、インプットが過多になりがちです。学んだ知識を実践する機会を与え、アウトプットの機会を確保することで、スキルの理解を深めつつ、効果的に身につけることができます。


社員の信頼構築

社員研修の目的には、社員同士のコミュニケーション促進による信頼構築も挙げられます。

指導を通して上司や同僚との関わり合いが増えると、お互いの業務を理解したり、親密な人間関係を結んだりする機会も増えます。信頼の構築により、業務効率や社員のモチベーションにも良い効果があるでしょう。


社内文化の形成

社員研修の内容のなかに企業理念や経営ビジョンを盛り込み、これらを社員に共有することで社内文化を形成する目的もあります。


社内文化の普及は、長期的に企業の中核人材を担う社員を育てるのに不可欠な要素であり、社員の帰属意識を高めることでやりがいの向上や離職率の低下にも繋がります。

マインド面の教育という意味でも、社内研修には重要な価値があるのです。

社員研修の内容/プログラムにはどんなものがある?

一般的に社員研修を実施する際には、グループ別に対象を絞って行います。その切り口は主に以下の3つです。


  • 社員の階級
  • 社員の業務
  • 社員のスキル


階級別社員研修

階級別社員研修とは、社員を階級によって分けて行う研修です。

具体的には、各部署の新入社員、中堅社員、マネジメント層などの立場によって社員をグルーピングし、必要なスキルを研修します。


特に新入社員研修はどんな企業にも必要で、ビジネスマナーやOAスキル等の社会人としての基礎スキルを学ぶ重要な場でもあります。

業務別社員研修

業務別社員研修とは、社員を業務の種類によって分けて実施する研修です。


営業、接客、会計などの特定の役割をもつチームで、自社独自のノウハウを共有したり、業務の理解を深めたりするのに適しています。特に、実践的な業務スキルの習得を目的としたOJTとの相性がよいでしょう。

スキル別社員研修

スキル別社員研修とは、教えるべきスキルによって社員を選び、実施する研修です。例えば、OAツール、プログラミング、英会話などの研修が挙げられます。

スキル別社員研修は、特定の能力を体系的に効率よく学習するのに適しています。


また、異文化理解を目的としたグローバル研修などは、特定の環境での業務遂行能力を磨くために行う研修でもあり、広い意味でのスキル別社員研修にあたるといえるでしょう。

社員研修のトレンド傾向

近年の社員研修には、どのようなトレンドがあるのでしょうか?それは以下の2点です。


  • リモート研修の強化
  • EXの改善


リモート研修の強化

コロナ禍以降、リモートワークやオンラインミーティングの普及により、各企業がさまざまなやり方で仕事を行うようになりました。

リモートワークにおける円滑なコミュニケーションや、ツールを活用した協働には未だ課題が多いため、これらの研修の強化に多くの企業が取り組んでいます。


また、研修そのものをリモートで行う企業も増えています。リモート化により費用や時間、場所の制約が減るというメリットもありますが、こちらにも学習意欲の低下などの課題が存在し、多くの企業が改善に取り組んでいます。

EXの改善

EXとはエンプロイーエクスペリエンス(Employee Experience)の略で、従業員の満足度や働きがい、心身の健康など、企業における社員の経験すべてを指します。

顧客体験を表すCXやユーザー体験を表すUXと同じように、社員一人ひとりの体験にフォーカスし、その価値を高めることが重要視されるようになっているのです。


EXの改善がトレンドになっている背景として、自らの働き方を変えるために転職を選ぶ社員が増加したことが挙げられます。つまり、各社員にとって仕事から得られる待遇や精神的な価値が不十分であれば、人材が流出してしまうということです。また、さまざまな企業について豊富な情報が得られるようになったこともあり、社員に不満があれば生産性は低下してしまいます。

このような背景から、EXの改善に取り組む企業が増えているのです。

社員研修の企業事例

ソフトバンクグループ株式会社

ソフトバンクグループ株式会社では、30代・40代向けのキャリア研修を行っています。

特徴的なのは、ほとんどの研修が「認定社内講師」によって行われる点。それぞれの研修コースに講師を募集し、合格した認定社内講師が講義を行います。


100人以上の社員が認定講師となっており、さかんに研修が行われています。生の経験を生かした講義ができるため、効果的な人材育成につながっています。また、講師自身にも自らの経験や強みを再認識したり、考え方を見つめ直したりできるメリットがあります。

株式会社シグマクシス

株式会社シグマクシスでは、社員研修の一部として「ナレッジフェア」という取り組みを行っています。

ナレッジフェアは、社内外の事例や最新の技術動向などを参加者で共有する場であり、お互いに学びのインプット・アウトプットを行うのに役立っています。


定期的なナレッジフェアの開催により、市場トレンドを学んだり、社員間のコミュニケーションが活性化できたりというメリットがあったそうです。


同社ではその他にも、ワークショップやオンラインコースなどのプログラムを用意し、社員研修を構築しています。社員が自らのキャリアプランから必要なコースを選択し、研修を受けられるようになっています。

まとめ

社員研修の意味やトレンドについて解説しました。

研修で学ぶべき内容も、時代や企業によってさまざまに異なります。

本記事で紹介した情報を参考に、自社にふさわしい社内研修を作り上げていきましょう。

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