DX化とは?注目されている理由や企業事例など簡単に解説

公開日:2023.04.27 更新日:2023.09.09

近年、DXという言葉をよく耳にするようになりました。DXを推進する企業も増加しており、政府や自治体も積極的にサポートしています。DXとよく混同されるのがデジタル化です。明確な違いがわからない人も多いでしょう。

この記事では、DXとデジタル化の違いや注目されている理由、企業事例などを解説します。DXについて詳しく理解したい人は、本記事を参考にしてください。

DX化とは

「DX化」という言葉を耳にすることがありますが、「DX」はデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称。「Transformation」が「変身」や「変化」を意味するため、「化」をつけると意味が重複してしまいます。「DX」と表現する方が良いでしょう。

DXとは、AIやインターネットといったデジタル技術を活用し、業務や生活をより効率よく、質の高いものにすることです。DXは、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏が「Information Technology and The Good Life」という論文の中で提唱したことが始まりといわれています。エリック・ストルターマン氏は、IT技術の浸透が人々の生活を豊かに変化させると考えました。そこから時が経つにつれDXの考えは人々に広まり、ビジネスでも使われることになります。ビジネスにおいてのDXとは、企業がデジタル技術の導入・活用により、事業業績や顧客範囲を向上・拡大させることです。

DXとIT化の違い

DXとIT化が指す意味はそれぞれ異なります。IT化とは人の手で行っている業務にデジタル技術を活用し、効率的にすることです。たとえば、リモートワークやオンライン会議などが当てはまるでしょう。

一方で、DXはデジタル技術を活用し、ビジネスモデルを根底から変化させることを指します。デジタル技術の導入だけではなく、導入した先に従来の業務の改善点を見出したり、新たなビジネスモデルを創り上げたりすることで、競合他社との競争に負けないようにするのが目的です。

DXとデジタル化の違い

デジタル化もよくDXと混同される言葉です。デジタル化とは業務の一部あるいは企業全体の業務にデジタル技術を導入し効率化を図り、それに伴い業務プロセスも変化させることです。

IT化とデジタル化はあくまでDXを実現する手段にすぎないことを理解しておきましょう。

DXが注目されている理由

なぜここまでDXが注目されているのでしょうか。ここからは、DXが注目されている理由について解説します。

2025年の壁問題

2025年の壁とは2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」に出てくる言葉です。DXレポートによれば、これから日本の企業がDXを推進してゆかなければ2025年以降、毎年12兆円もの損失が発生するとされています。DXを推進していない企業は今後、社会変化に適応できず、存続が危ぶまれるとされています。

参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)

既存のビジネスモデルの見直し

2020年に流行した新型コロナウイルスの影響により、ビジネスモデルは大きく変化しました。今まで当たり前だったクライアントへの訪問やミーティングがWeb上で行われるようになり、仕事場も会社か自宅か選べるようになりました。デジタル技術を導入していない企業は、このような社会の変化に対応できないことから、業務パフォーマンスの低下も見られます。ビジネスモデルのあり方について新型コロナウイルスを契機に見直すことになったのも、DXが注目されている理由のひとつです。

DXの企業事例

ここからは、実際にDXを推進し、成功している企業について解説します。

資生堂

化粧品メーカーの資生堂は、国内のシェア率No.1を誇っている企業です。資生堂は2018〜2020年の間に約500億円以上ものデジタル投資を行っています。その一環として、顧客一人ひとりにあった化粧品を提供するためにIoT機器「オプチューン」を開発しました。オプチューンは肌の状態に合わせて乳液と美容液を抽出する機器です。専用のアプリで自分の肌を撮るだけで、肌の水分量・きめ細かさ・毛穴を測定し、気候や顧客の状態をも加味してベストな化粧品を届けます。従来の基礎化粧品は、種類が少なく選択の幅が多くはありませんでしたが、このオプチューンでは1000種類以上の乳液・美容液を抽出できるため、他社にはない強みで差別化を図れています。

Peach Aviation

Peach Aviationは通称「ピーチ」とも呼ばれ、2012年に創業した格安航空会社です。ピーチは、システムの運用をすべてクラウド上で行うようにしました。クラウドにすることでシステム維持に人員を割く必要がなくなり、最先端の技術も導入しやすくなりました。2019年にバニラ・エア株式会社と統合し、現在では国内最大の格安航空会社となっています。

日本交通

日本交通は、1982年に創業したタクシー会社です。日本交通は、日本で初めてアプリでの配車を行いました。携帯で誰でも簡単にタクシーを呼べるため、使いやすさが評価され、高い需要を誇っています。現在、日本国内を走行しているタクシーの数は約24万台とされていますが、そのうち約20%の5万台以上はアプリで連携しています。顧客の乗車記録や各地のイベント情報、気象情報をもとにAIが顧客需要が高い地域を算出するのが強みです。結果、現在では最も利用者が多い配車アプリになっています。

身近にあるDXの事例

ここからは、生活に浸透しているDXの事例について解説します。DXは我々の生活のあらゆる分野で活躍しています。それぞれみていきましょう。

ネット注文

インターネットによる遠隔注文もDXによるものです。お店に行く手間が省けスタッフと対面することもないため、コロナ禍において非常に人気のサービスとなり、今では生活に定着しています。企業にとっても顧客のデータを収集できるなど、顧客の獲得にも役立っています。

 無人レジ

スーパーやコンビニでは無人レジの普及が進んでいます。無人レジにすることで人件費を削減でき、スタッフの管理に伴う企業の負担も緩和されました。顧客が自分でレジの作業を行ってくれるため、少ない人員でも24時間営業が可能になりました。また、混雑している時に待たずに自分で会計を行えることは、ユーザビリティのアップにもつながっています。

サブスクリプション

AmazonプライムやNetflix、Spotifyといった月額制の配信サービスなどもDXの事例。利用料金を払うことで、場所や時間に関係なく動画や音楽を楽しめるようになりました。今まではレンタルショップでDVDやCDを借りることが当たり前でしたが、サブスクリプションの普及によってその必要性がなくなりました。

DXを理解しビジネスモデルを変革していくことが重要

ここまで、DXの概要やIT化・デジタル化との違い、企業事例などを解説してきました。DXの推進は日本だけでなく世界中で取り組まれている課題です。DXを推進していない企業は社会の変化に適応できず、生き残りが危惧される事態になると言われています。競合他社との競争に負けないためにも必要不可欠なDX。その推進が企業を発展させ、経済の循環を加速させていきます。

この記事をきっかけにDXの必要性への理解を深め、導入について考えてみましょう。

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