DXとデジタル化の違いは?DX推進の流れや具体例も解説

公開日:2023.06.05 更新日:2023.06.05

日本企業ではDXの遅れが指摘されており、その推進の必要性が叫ばれています。

経済産業省が発表した「DXレポート」でも指摘されているとおり、今後DXの遅れは日本企業に重大な損失をもたらす恐れがあります。

一方で、DXは単に「デジタル化」を進めれば達成されるものでもありません。

そこで本記事では、DXとデジタル化の違いやDX推進の流れ、具体例について詳しく解説します。今後のDX推進の参考にしてください。

DXとデジタル化の違いは?

DXとデジタル化は混同されがちですが、実はその定義や目的は異なります。

デジタル化とは

デジタル化とは、既存の業務などをデジタル技術によって効率化することをいいます。

デジタル化の最も身近な例は、書類などのペーパーレス化です。専用のシステムを導入すれば、請求書や契約書をデジタルデータで発行し、紙に印刷することなくやり取りできます。

DXとは

DXとは、デジタル化を手段として企業の事業を変革させることを指します。

重要なのは、デジタル化はあくまで手段であり、デジタル化自体が目的ではないということです。

DXはそれ自体がビジネスチャンスにもなっており、印刷や輸送、一次産業の流通など、レガシーな企業や業界のDXを推進力にした新興企業も増えてきています。

DXとデジタル化の違い

DXとデジタル化の大きな違いは、デジタル化はデジタル技術を活用すること自体がゴールであるのに対し、DXはデジタル化をあくまで手段として捉えているところにあります。

そのため、DXの最終目標は単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を導入して何を達成するかに焦点が当てられるべきでしょう。

デジタル化のメリット

DXもデジタル化が前提となります。そこで、まずは既存の業務をデジタル化するメリットについて考えてみましょう。

業務の効率化

デジタル化のメリットの一つに、業務の効率化があげられます。

これまで人員や時間、コストをかけていた業務をデジタル化することができれば、その分を他の業務にまわすことができるようになります。

働き方改革の推進

デジタル化によって、働き方改革を推進することができます。

たとえば、遠方での打刻システムに対応すれば、わざわざオフィスに帰らなくても出先で退勤報告をすることができます。

また、業務の効率化は時間外労働の削減につながるため、働き方改革の推進にも寄与します。

テレワーク・リモートワークへの対応

デジタル化によってテレワークやリモート勤務に対応することができます。

たとえば、資料をペーパーレス化することで、資料を確認するためにわざわざ出社する必要がなくなります。

また、オフィスでの会議をリモート会議にすることで、自宅でも会議が可能になります。

DXのメリット

企業がDXを推進するメリットは、以下の通りです。

事業の根本的な変革

DXは、デジタル化よりも事業の根本的な変革が期待できます。DXはデジタル化より一歩進み、ワークフローの抜本的な見直しを行います。これにより、短期的・部分的な効率化ではなく、長期的・総合的な効率化、企業の競争力強化などが図れます。

BCPへの対応

DXの推進はBCP(事業継続計画)への対応にもつながります。BCPは、万一の災害やシステム障害などの危機的状況による被害を最小限にし、事業の継続を図るための取り組みのことです。

最近ではコロナ感染防止という目的から、リモートワークの推進が叫ばれてきましたが、こうした不測の事態が起きてもチームワークを発揮するためには、社内の業務がDXされている必要があります。

業務の優先度の明確化

DXを進めるためには闇雲にデジタル技術を導入するのではなく、多くの業務の中から効率化できるものを洗い出す必要があるため、既存事業の課題や課題解決の優先度の理解につながります。

DX推進の流れ

DXを推進するためには、主に以下の5つのプロセスを経る必要があります。

DXの目的を明確化する

DXはデジタル化自体が目的ではないため、何のためにシステムや業務をデジタル化するのか、DXの最終目的は何なのか、社内で明確化する必要があります。

この段階で目的が不明瞭だと、社内での同意が得られない可能性があります。

経営層からの理解を得る

DXは経営そのものの見直しに関わる大きな改革であるため、特定の部署のみで推進することは不可能です。また、DXの推進には、時にトップダウンの決断も必要です。

このことから、DXの推進には経営層からの理解が重要になります。DXの目的が明確であれば、経営層の中でも課題を共有しやすくなります。

自社の課題を洗い出す

DXを推進するには、業務のどの部分に課題があるのかを洗い出す作業が必要です。その上で、課題をDXによって解決可能かどうか、優先順位は高いかどうかをチェックし、DXの対象となる業務やワークフローを選定していきましょう。

業務のデジタル化

対象となる業務が決まったら、まずはコストやインパクトが小さな業務からDXを進めていきましょう。これは、他部署との連携や現場の反発を最小限に抑えるためです。

たとえば、議事録のペーパーレス化、保管する書類のクラウド保存などがあげられます。

PDCAサイクルの確率

小さなDXで成功体験を積んだら、その後は、決済・承認システムや勤怠管理、経理など、よりインパクトの大きなDXにチャレンジしていきましょう。

このようなDXのさらなる推進には、PDCAサイクルの確立が欠かせません。DXの推進から効果測定までを継続し、次のDXに役立てる体制づくりが求められます。

DXとデジタル化の違いの例

次に、混同されがちなDXとデジタル化の違いを、3つの例から解説していきます。

例① 勤怠管理におけるDXとデジタル化

勤怠管理はDXの代表的な例のひとつですが、組織体制の変革がなされなければ単なるデジタル化で終わってしまうことがあります。

たとえば、ある企業ではタイムカードで出勤と退勤を記録していましたが、これを打刻システムに置き換えました。この置き換えは「デジタル化」といえます。

一方で、勤怠管理システムを導入することで、社員の残業時間が可視化され、これにより合理的な仕事の配分が可能になります。このように、デジタル技術を導入することにより組織改革につながるケースで、はじめてDXが達成されたといえます。

例② マニュアル作成におけるDXとデジタル化

DXとデジタル化のわかりやすいもう一つの事例に、企業のマニュアル作成があります。

多くの企業では新入社員向けに業務のマニュアルを作成し、学習を促していますが、これらの多くは未だに紙媒体のままです。

これを電子化して閲覧できるようにするのは、文字通り「デジタル化」といえます。ただし、これだけでは単にマニュアルを閲覧する媒体が変わったにすぎず、組織に変革をもたらしたとはいえません。

ある企業ではマニュアルの電子化に伴い、ワークフローの変更があった際には、電子マニュアルの情報もすぐに更新し、チーム内で共有するようにしました。

このように、マニュアルの電子化により情報共有のスピードが高まったことで、DXが進んだと見なせます。

まとめ

DXはデジタル化よりも一歩進んだ定義であり、デジタル技術を駆使して企業や事業に変革をもたらすものと定義されます。

DXはデジタル化のプロセスを経るためよく混同されますが、決してデジタル技術を導入しただけで達成されるものではないことを覚えておきましょう。

今回紹介した両者の違いや具体例を参考に、DXにつながる施策を検討してみましょう。

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