離職防止とは?従業員が離職する原因や企業にできる取り組みを解説

公開日:2023.07.07 更新日:2023.07.07

従業員の離職を防止するための取り組みは、自社の貴重な人材の流出を回避する上で重要です。離職防止に取り組む際は、従業員がどのような理由で離職を決意するのかを把握して、それぞれの原因に対して適切な対策を講じることが求められます。

本記事では、従業員が辞めてしまう主な原因や離職防止のために企業にできる取り組み、おすすめの離職防止ツールなどについて解説します。

離職防止とは?

離職防止とは、従業員の離職を防ぐための取り組みを指します。「リテンションマネジメント(リテンション)」と呼ばれることもあります。

離職防止は、風通しの良い職場風土の醸成や働きやすい環境作り、コミュニケーションの活発化など、複数の取り組みを複合的に行うのが一般的です。

従業員が辞めてしまう原因

従業員が辞めてしまう原因には、労働条件への不満や会社の将来性への不安など、さまざまなものがあります。ここでは、従業員が退職を決意する原因としてよく挙げられる、5つの理由について解説します。

労働条件に不満を持っている

任せられる仕事量や難易度に対して給与が低い、労働時間が長い、休暇を取りにくいなど、労働条件に不満を持ち、辞めてしまう従業員は少なくありません。「責任だけが重く、正当な対価を受けられていない」と感じると、ストレスが蓄積しやすくなり、退職を考え始める従業員も増えていきます。

また、労働時間が長かったり、休暇を取りにくかったりすると、疲労が慢性化して仕事のパフォーマンスが低下します。このように、労働条件になんらかの不満を持つ従業員を減らすことは、予期しない離職を減らすためのポイントのひとつです。

会社の将来性に不安がある

安定的な経営ができていないのではないかと感じられたり、将来的なビジョンが見えなかったりと、会社の将来性に不安を抱き、離職を考える従業員もいます。売上が毎年大きく変動する企業に勤務し続けると、自身の年収やキャリアアップなどにも悪影響を及ぼす可能性が高いためです。

経営層は自社の将来的な展望を従業員に十分に理解してもらい、安心を与えられるような経営を行う必要があります。また、自社で働き続けることによって従業員にどのようなメリットがあるのかを伝えることも重要です。

人間関係がうまく行っていない

現場の人間関係が起因となって離職を決意するケースもよくあります。人間関係の不和が生じる原因は、ハラスメントのように明確な原因があるものから、従業員同士の相性によるものまでさまざまです。

相性による人間関係の不和であれば、適切な配置転換によって離職を回避できる可能性が多々あります。従業員が離職を決意する前に適切な対応を取り、離職回避に努めましょう。

ハラスメントが原因の場合は、早急にハラスメント防止対策を取り、再発防止策を講じて従業員に今後の対策を伝え、信頼を回復させることが求められます。

自分が評価されていないと感じている

従業員が「自分の仕事やスキルが正当に評価されていない」と感じて、離職を考える場合があります。従業員の成果に対して不当に低い評価を与えているケースはもちろん、高いスキルがあるにもかかわらず簡単な仕事を与え続けることによって、不満を募らせるケースも少なくありません。

従業員一人ひとりのスキルを見極めたうえで適切なレベルの業務を任せると同時に、明確な評価基準を設けて、正当に評価することが大切です。

仕事に目標を持てず意欲的に取り組めていない

日々、取り組んでいる仕事の目標が見えず、意欲的に取り組めていない従業員が、やりがいを求めて離職を決意するケースです。また、今の仕事を続けていてもスキルアップが難しいと感じている場合に、離職につながることもあります。

従業員の仕事が社会においてどのように役立っているのかを示したり、会社に貢献しているのかを明確にしたりすることは、モチベーションを維持する上で重要です。会社や組織としての目標を明示したり、一人ひとりのキャリアパスを描いたりするのも有効です。

離職防止のために企業ができる取り組み

従業員の離職を防止するための取り組みには、さまざまなものがあります。ここでは、多くの企業で実施されている5つの取り組みを紹介します。

従業員の負担軽減施策を講じる

労働時間が長かったり、残業が多かったりして従業員の労働負担が重くなっている場合は、できるだけ速やかに負担軽減施策を講じることが大切です。従業員の配置を適正化する、業務フローを見直して効率化する、ITツールを導入するなど、さまざまなアプローチで負担軽減をはかりましょう。

長期間にわたって従業員に負荷がかかり続けると、離職につながるリスクが高まるため、可能な限り早期の段階での環境整備が大切です。

こまめに面談の機会を設ける

従業員の不満や不安、悩みを知るためには、こまめに面談の機会を設ける方法も効果的です。定期的に上司と一対一の面談の機会を設けて、現状の業務の状況や、健康面、心配な点、今後のキャリアパスなどについてじっくりと話す時間を作りましょう。

早めに不満や不安、悩みを引き出して対策を講じることで、離職を決意する前に問題が解決され、離職防止につながります。

社内のコミュニケーションを活発化する

社内のコミュニケーションを活発化し、人間関係の不和が起こりにくい環境を作ることで、従業員の離職を防止しやすくなります。

社内イベントや交流会、グループウェアによるコミュニケーション、社内表彰制度など、さまざまな形で従業員同士が交流する機会を設けて、風通しの良い職場風土を醸成しましょう。

退職時に原因をヒアリングして改善に努める

残念ながら既に退職を決意してしまった従業員がいる場合は、退職時に原因をヒアリングして、今後の改善に活かしましょう。退職の手続きがひと通り済み、落ち着いたタイミングで原因を聞いてみると、本音に近い意見を聞ける場合が多いです。

まだ退職するかどうかを決めかねている段階や、手続きを進めている段階で執拗に原因を問い詰めてしまうと、不信感につながって離職を撤回するチャンスがなくなってしまったり、本音を引き出せなくなったりする可能性があるため注意が必要です。

離職防止ツールを導入する

近年では、離職防止ツールを導入して従業員の離職を未然に防ぐ取り組みを行っている企業も増えてきています。離職防止ツールには、従業員の心身のケアに特化したものや、モチベーションアップに優れているものなどさまざまな特徴を持つものがあるため、自社に合ったツールを選ぶことが大切です。

特に従業員数が多く、一人ひとりの従業員とのつながりが希薄になりやすい大企業などでは、離職防止ツールが高い効果を発揮します。

離職防止で使用できるツール3選

前述のように、離職防止で使用できるツールにはさまざまな特徴を持つものがあります。今回は、特におすすめの3つのツールを紹介します。

いっと

株式会社フォロアスが提供する「いっと」は、従業員の離職理由や、企業の課題発見を支援するためのシステムです。システムを通じて従業員へ「アンケート」と「インタビュー」を行い、企業としての問題点を明らかにして、根本原因の解決につなげることを得意としています。

従業員へのインタビューは、フォロアスが抱えるプロのインタビュアーが担当するため、上司や人事に話しにくいことも引き出しやすい点が特徴的です。「なぜ離職してしまうのか?」を根本から探り、改善案の検討と反映まで一気通貫で実現できます。

Geppo

株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジーが提供する「Geppo」は、働き方改善におけるPDCAをサポートするためのツールで、「個人」と「組織」双方の課題を見える化できます。

個人に対しては、毎月1回のアンケートを実施して、個別の現状課題や離職の兆候を把握することが可能です。組織に対しては、半期~四半期に1回程度、20問のアンケートを実施して、組織単位で抱える課題や離職リスクを明らかにできます。

個人ごとのケアと組織改善を両立できるため、2つの観点からのアプローチで離職防止につなげられる点がメリットです。

HR Ring

株式会社カケハシスカイソリューションズの「HR Ring」は、従業員一人ひとりの状態を把握し、ケアすることに特化した離職防止ツールです。

「パルスサーベイ」と呼ばれる毎日2問のアンケートを実施して心身の状態を把握したり、より多くの設問が用意された「アンケート」機能によって、さらに詳しく従業員の状態を分析することもできます。

また、社内SNSと連携することで、従業員同士が感謝の気持ちを贈り合える「ポジティブポイント」機能を使用し、社内コミュニケーションの活性化につなげる取り組みも実現可能です。

必要に応じてツールの導入も視野に入れ、積極的に離職防止に取り組もう

従業員の離職を防ぐ離職防止は、労働力不足が深刻化する現状において、企業の重要な課題のひとつです。なぜ従業員が離職を決意するのかを正しく理解し、自社の現状に合わせた適切な対策を講じることが大切です。

近年では、離職防止に役立つツールも数多く登場しています。従業員のコンディションケア、モチベーションアップをはかるなら、離職防止ツールの利用も積極的に検討するとよいでしょう。

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