2020年におきた新型コロナウイルスの流行を契機に、営業スタイルは従来のものと比べて大きく変化しました。オンライン営業の普及が進んでいるなか、企業に求められるのは営業におけるDXの導入です。デジタル技術を活用し、顧客と社会のニーズを正確に把握することで、自社のサービスや製品を需要に沿ったものへと高められます。
さまざまなサービスや商品がところ狭しと並んでいる現代、ライバル企業の数も増えているといえます。企業間の競争が激しくなっていくなかで競合他社との差別化を図るためには、営業DXは必要不可欠です。
この記事では、営業DXの導入メリットや成功事例、営業DXに活用できるサービスなどを解説します。営業DXについて理解を深めたい人や導入を考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
営業DXとは、デジタルツールやデジタルチャネルを活用し、顧客や社会の需要に合わせた営業スタイルを構築することです。これを聞いてデジタル化と営業DXを混同する人がいるのではないでしょうか。デジタル化と営業DXは大きく異なります。
デジタル化は、今まで人の手で行われていた作業の一部をデジタルツールで代替し、効率化や無駄なコストの削減を図るものです。目的は作業の効率化とコストカットにあるため、顧客のニーズに対して価値を創出するわけではありません。
一方で、営業DXにおいてデジタルツールはあくまで手段のひとつであり、最終的な目的は顧客のニーズに対して最適な営業活動を展開することです。デジタルツールを駆使し市場と顧客の購買分析を行い、営業力を強化します。
営業DXを導入するにあたって、営業業界の課題や背景について理解することが大切です。ここからは、営業DXがなぜ必要なのかという課題や背景について解説します。
今までの営業スタイルは、営業先に訪問し、直接商品やサービスを売り込むことがほとんどでした。従来のやり方では受注や契約に結びつく顧客を発見することが難しく、「訪問に長い時間をかけたものの、無駄足に終わってしまった」といったケースも多くありました。
人口減少が加速している日本では、社員ひとりあたりの生産性の向上と業務効率化が必要不可欠です。デジタル技術を活用し顧客情報を整理することで、購買見込みが高い顧客を特定できます。コストと時間を削減しながら見込み客を絞っていくことで企業全体のパフォーマンス向上につながります。
現状、顧客情報や案件情報は営業担当者のみが把握しているケースがほとんどです。営業担当者しか顧客・案件情報を把握していないと、急な病欠や退職時に対応が難しくなります。デジタルツールを導入し情報を共有すれば、イレギュラーな状況の発生に対して担当者以外でも迅速に対応できるようになります。
また、情報共有によって顧客の思考や行動パターンを把握できるようになれば、次の商談につながる可能性も高くなります。
ここからは、営業DXを推進することによって得られるメリットについて解説します。営業DXのメリットを正しく理解することで「思っているものとは違った」などのミスマッチを防げます。営業DXのメリットは主に以下の通りです。
前述した通り、営業DXを導入することによって、業務の効率化とひとりあたりの生産性が向上します。アナログ業務が多いほど作業工数が増えるため、スキルの習得にも時間がかかってしまいます。営業DXの導入により、従来よりも短時間で多くの経験を積むことができ、企業全体のパフォーマンスも向上するでしょう。
管理職者にとって、営業担当者が顧客とどのような商談をしているかを確認するためには同行するしかありませんでした。しかし、オンライン商談が可能になったことで従来に比べて同席しやすくなり、営業担当者の指導や案件の進捗管理が行いやすくなりました。
営業DXを導入することによって、災害などの緊急事態にも迅速に対応できます。顧客の情報をデジタルで保存しておけば、緊急時に消失する危険性も抑えられるでしょう。自社の情報もデジタルで保存することで、復旧作業もスムーズに行えます。
ここまで営業DXの概要やメリットを解説してきましたが、実際に営業DXを導入している企業について気になる人も多いでしょう。営業DXを導入している企業は多くあります。ここからは、営業DXを実際に導入して成果をおさめている企業について解説します。
パナソニック インダストリー株式会社は、パナソニックのグループ会社で産業・通信・車載をはじめとした幅広いデバイスを取り扱っている企業です。取り扱っている品番は20万個を超え、営業活動も訪問形式で行っていたため社員の負担が大きく、また顧客の要求に対してすぐに対応できないケースもありました。
パナソニック インダストリー株式会社は、この問題を解決するためにCRM(顧客管理システム)を導入しました。CRMとは、社内に散らばった顧客情報をひとつにまとめて管理することを指します。CRMを導入してからは顧客ごとに適切なアプローチを迅速に行えるようになり、より密接な関係を構築できるようになりました。
株式会社マネーフォワードは、クラウドサービスの代理販売や開発・提供を行っている企業です。企業が大きくなるにつれて取り扱う商品は増加し、顧客情報も共有できないまま、業務の属人化に陥っていました。この問題を解決するためにCRMとSFA(営業支援システム)を導入しました。SFAとは、営業担当者の行動把握や案件情報を管理するものです。CRMとSFAを導入することによって案件の進捗状況を社員が認識しやすくなり、業務に対する意識が向上しました。結果、CRMとSFAを導入する前の年に比べて売り上げが3.5倍にもなったそうです。
ここからは、営業DXに活用できるサービスを紹介します。
株式会社Goofyが運営している「SFA Hands-on」は、CRMやSFAの活用方法がわからない企業をサポートするサービスです。目的の設定や企業に合ったツールの選定、業務フローの設計といったコンサルティングなどを行います。これまでの経験をもとに発生しやすい課題を予測することで迅速な対応が可能です。
また、システムを導入した直後は、慣れない作業でリソースが割かれることがありますが、運用フォローも行ってくれるため現場のリソースを確保できます。
CRMやSFAを導入したものの効果が発揮できていない企業やインサイドセールスに力を入れたい企業に、おすすめのサービスです。
「CEO clone」は、タッチスポット株式会社が提供しているサービスで、自社が展開しているサービス内容を顧客に発信できるものです。顧客側は、場所や時間を選ばずサービスや商品内容を確認できるほか、商談の申し込みや質問も簡単に行えるメリットがあります。
企業側は、視聴データをもとに顧客が自社のどの部分に興味を持っているのかや潜在的な顧客ターゲットを見つけられます。顧客のニーズを事前に把握したうえで商談に臨めるため、成約率が格段に上がります。
営業担当者によって成績にバラつきがある企業や自社のサービス・商品を効率的に市場に広めていきたい企業におすすめです。
ここまで、営業DXの概要やメリット、ツールなどを解説してきました。デジタル技術が日々発達していく現代において、企業のDX導入は非常に重要です。激化する企業の競争で生き残るためにも営業DXを導入することを強くおすすめします。社員一人ひとりの生産性が向上すれば、企業にとって大きな利益となるでしょう。営業DXを導入したいと考えた人は、ぜひこの記事を参考にしてください。