採用計画とは?メリットや立て方などを詳しく解説

公開日:2023.07.25 更新日:2023.07.25

人材の獲得競争が激しくなってきた現代において、自社の戦略に沿った「採用計画」は非常に重要になっています。必要なタイミングで自社が求める人材を確保するためには、綿密な採用計画は欠かせません。
本記事では採用計画の概要、採用計画を行うメリットや立て方などを解説していきます。

採用計画とは

採用計画とは、自社の経営戦略に沿って人材の採用や人員配置を計画していくものです。経営戦略で掲げられた目標を達成するために、「いつまでに」「どのような人材を」「どの部署や部門に対して」「どれくらいの人数が必要か」を決めていきます。
新卒採用で何名を採用するかという単純なものではなく、アウトソーシングの活用や中途採用の人数などを、社内の内部環境や社会情勢などの外部環境も見据えて計画することが求められます。

採用計画を立てるメリット

採用計画を立てるメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

  • 採用市場の変化に対応できる
  • 的確な施策を行える

それぞれのメリットについて解説していきます。

 採用市場の変化に対応できる

採用市場は年々変化しています。変化の要因はさまざまですが、たとえば労働者の意識の変化が挙げられます。これまでは新卒時に入社した会社で定年まで勤め上げるのが一般的で、転職に対して良い印象を持たない人も多くいましたが、現在ではワークライフバランスを重視したり、自分のスキルが発揮できる労働環境を望んだりする人も増え、転職に対するイメージも変わってきています。

株式会社マイナビが発表した調査(「転職動向調査2023年版(2022年実績)」)によれば、2022年の正社員転職率は7.6%と過去最高を記録しています。こうした結果からも労働者の転職に対するハードルが低くなっていることがわかります。

さらに少子高齢化に伴う労働人口の減少も、採用市場の人材獲得競争が激しさを増している一因と考えられます。応募を出すだけでは母集団の形成もままならず、求める人材の確保が難しくなってきています。こうした現状を打開し、優秀な人材を確保するためには綿密な採用計画は欠かせません。

採用計画を立てる際には市場分析も行う必要がありますので、市場の変化に対応できるようになるのもメリットの一つと言えます。

的確な施策を行える

前章で解説したように、採用計画では経営戦略を達成するために「いつまでに」「どのような人材を」「どの部署や部門に対して」「どれくらいの人数が必要か」を決めます。
つまり達成したい目標から逆算で考え、採用活動を進めていく流れになります。採用活動を行う上での課題や現状を明確にしながら進めるため、今必要な施策を客観的に掴めるようになります。
経営戦略を立案している経営陣と相談しながら進めることで、採用計画はブラッシュアップされ、会社の方針とズレのない的確な施策を行えるようになります。

採用計画の立て方

採用計画は以下のステップに沿って進めていきます。

  • 採用体制の構築
  • 採用ターゲット・要件の決定
  • 採用スケジュールの決定
  • 採用手法の決定
  • フォローアップ体制の構築

それぞれのステップについて具体的に解説していきます。

採用体制の構築

最初のステップは自社内の「採用体制」を構築することです。従来は人事部の中で採用部門を設け、採用体制を整える形が多かったのですが、採用計画を立てる場合は、経営層から募集を行う部署まで幅広い協力体制を組み、構築することが大切になります。
人事部の主観に頼らずに、経営戦略に沿い、現場の状況に即した人材募集となっているかが重要です。たとえば短期の経営目標を達成したいのであれば、必要なのは即戦力人材です。しかし、高いスキルがあったとしても、実際に現場が求める人材像にマッチしているとは限りません。経営層や現場と現状を確認しあえる採用体制を構築することが、確度の高い採用活動につながります。

採用ターゲット・要件の決定

どのような人材を採用するのか、しっかりと定める必要があります。ミスマッチを防ぐためにも具体的な要件を決めましょう。「ポジション」「役割」「スキル」「性格」「思考」「勤務条件」などです。これらの要件を言語化し、社内での共有はもちろんのこと、応募者に対してもきちんと伝えておくとミスマッチの防止につながります。
また、採用ターゲットは自社の戦略によって変わります。たとえば、長期的な視点から新卒社員を確保したいのであれば、スキルよりも性格や思考を重視するといった具合です。
可能であれば「コンピテンシー診断」を行い、自社で活躍している人材の行動特性を把握し、似たような人材像を明確にするのも良いでしょう。

採用スケジュールの決定

採用スケジュールを決めることも重要なステップです。採用したい時期や人数などのゴールを明確にし、常に進捗状況を把握できるようにしておきましょう。進捗状況が芳しくなければ、採用プロセスに課題はないかなどの確認が必要になります。
また採用スケジュールを決定する際には、過去の採用実績や現在の採用リソースを鑑みて予定を立てましょう。目標達成のために無理なスケジュールを立ててしまうと、人材の精査が疎かになるなど最終的に効果的な採用活動にはならない可能性もあるので注意が必要です。

採用手法の決定

定めた採用ターゲットを確保するための採用手法を決めていきます。昨今、採用手法は多様化してきており、ターゲットに合わせた採用手法を取り入れるケースが増えています。主な採用手法は以下の通りです。

  • 自社Webサイト、SNS
  • 求人広告
  • スカウトサービス
  • 人材紹介会社
  • ソーシャルリクルーティング
  • ハローワーク
  • リファラル採用

従来の採用活動では求人サイトに募集要項を掲載し、応募を待つ採用が主流でした。現在でもこうした「受け身の採用」もありますが、SNSの発展やデジタル化が進んだことにより、企業側から求職者にアプローチを行う「攻めの採用」も増えてきています。
他にもリファラル採用によって、自社の従業員から紹介して貰うなどの採用手法を取り入れ、ピンポイントで人材確保を行なっている企業もあります。採用手法は一つに絞らず、リソースに合わせて複数運用しても良いでしょう。

フォローアップ体制の構築

採用計画では内定がゴールではありません。内定した応募者に確実に入社してもらうこと、またすぐに辞めてしまうような事態にならないようにすることが重要です。そのため内定者に対してや入社後のフォローアップ体制を構築しておくことも大切です。
たとえば内定者に対しては定期的に連絡を取り、不安を取り除けるようにする、入社後に指導する人材をきちんと押さえておくなどです。内定者との連携だけでなく、社内での連携も整えておくことが求められます。

採用計画で使えるフォーマット

本章では採用計画で活用できるフォーマットを紹介します。フォーマットは本章で紹介する以外にもいくつかありますので、自身で調べ自社に合いそうなものを取り入れることをおすすめします。

  • 求める人材像を明確にするフォーマット
  • 自社分析のフォーマット

フォーマットを活用し、自社分析の精度を上げていきましょう。

求める人材像を明確にするフォーマット

自社が求める人材像を明確にする際には、以下のようなフォーマットを作成・活用することをおすすめします。

    要件の必要度     求めるスキルや資質   
    絶対に必要    
    あると嬉しい    

求める人材像を視覚的に理解するために、要件の必要度(絶対に必要、あると嬉しいなど)や求めるスキルや資質を明確にすると良いでしょう。
明確にした人材像は募集要項にも記載し、応募者が混乱をしないように配慮することも合わせて大切です。

 自社分析のフォーマット

自社の採用戦略を綿密に行うためには、自社の分析も欠かせません。自社分析のフォーマットとしては、「SWOT分析」や「3C分析」などが挙げられます。

◾️SWOT分析

SWOT分析とは、自社の「Strength (強み)」「Weakness (弱み)」、活用できる「Opportunity (機会)」や避けるべき「Threat (脅威)」を分析したもので、市場における自社の立ち位置を分析していく手法です。それぞれの要因を洗い出すことで、求める人物像が明確になっていきます。

◾️3C分析

3C分析とは、「Customer (顧客)」「Competitor (競合他社)」「Company (自社)」の3つの視点から分析を行い、自社の立ち位置を明確にするものです。外部環境、内部環境のそれぞれを分析とすることで、経営戦略に活かしていきます。

採用活動における視点に置き換えると、顧客が「応募者」、競合は「同業界の他社等」、自社は「採用活動における強み」などになります。つまり3C分析を活用することで、採用市場における自社の立ち位置や競合と比較して優位に立てている点などを明確にできます。

まとめ

採用計画は大企業から中小企業まで、全ての企業が取り組むべきものと言えます。とくに知名度が低い中小企業であればあるほど、戦略的に採用を行わなければ、変化の激しいビジネス社会において淘汰されてしまいます。
しっかりした採用計画を立てられれば、求める人材確保が可能になり、経営戦略の達成が見えてきます。自社の目標から逆算し、リソースに合った採用計画を立ててみてください。

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