ミドルシニア世代とは?企業が有効的に活用するための人材戦略

公開日:2023.07.26 更新日:2023.07.26

2021年4月「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、各企業は70歳までの就業機会を確保することが努力義務となりました。少子高齢化が進み、現役世代が減少の一途を辿る中、政府にはミドルシニアと呼ばれる世代の労働力を確保したいという考えがあります。また人生100年時代とも呼ばれている通り、60歳を過ぎても元気に働ける人は増えてきています。
そこで本記事では、ミドルシニアとはどのような人材が該当するのか、企業がミドルシニアを有効的に活用するための課題や人材戦略を解説していきます。

ミドルシニアとは?何歳からが該当するの?

ミドルシニアを明確に定義しているものはありませんが、転職市場において多いのは35歳〜54歳がミドル世代、55歳以上がシニア世代という呼び方です。一般的にはミドルシニアとは中高年、おおむね「40代〜60代」を指していると捉えられます。
少子高齢化が進む中、ミドル世代、シニア世代が占める労働人口の割合は、全労働人口の半数以上を占めており、労働力確保の観点からもミドルシニアを重視している企業が増えています。

企業におけるミドルシニア世代の課題

企業がミドルシニア世代の活用をしていくにあたって、二つの大きな課題があります。一つは「ミドルシニア世代のこだわりが強い」こと、もう一つは「ミドルシニア世代のモチベーション」です。
ミドルシニアはこれまでの業務経験が豊富です。プライドを持って仕事に従事していた人も少なくなく、新たな職場で仕事に対する手法が異なっていると、環境に適応するのが難しいケースもあります。あらかじめ柔軟な対応の必要性を、お互いに確認しておくと良いでしょう。
もう一つの課題が、ミドルシニア世代のモチベーションです。たとえば、ミドルシニア世代を再雇用する際には、以前の職場よりも給料が減額されるケースが多くあるため、収入面からモチベーションが低下することがあります。またワークライフバランスなど、ミドルシニア世代と若い世代では、生活環境の違いなどから仕事に対する考え方が異なる面も多々あります。周囲と自身の価値観のズレを感じる場面が多いと、モチベーションの低下につながるおそれもあります。
企業はミドルシニア世代を採用するだけではなく、働きやすい環境を提供することが求められます。

企業がミドルシニア世代を活用するには

企業がミドルシニア世代を有効活用するためには、以下のポイントが大切です。

  • ポータブルスキルを重視する
  • 多様な働き方の仕組みづくりをする
  • キャリアデザインを掲げる
  • リカレント教育をサポートする

それぞれのポイントについて解説していきます。

ポータブルスキルを重視する

ポータブルスキルとは、「専門的なスキル以外に、職種や業種が変わったとしても活用できるスキルのこと」です。具体的にはコミュニケーションスキルやマネジメントスキル、スケジュール管理スキルなどが挙げられます。
専門的なスキルを持っていたとしても、ミドルシニア世代を活用する際に、そのスキルが活かせる職種をタイミングよく用意できるとは限りません。ポータブルスキルはどのような職場でも必要とされる、汎用性の高いスキルです。専門的なスキルにこだわりすぎず、ポータブルスキルを重視することで、さまざまな職種に優秀なミドルシニア世代の人材を配置することが可能です。

多様な働き方の仕組みづくりをする

昨今ではフルタイム勤務ではなく、時短勤務やテレワークなど多様な働き方を自社の仕組みとして取り入れている企業が増えています。ミドルシニア世代を確保するためには、自社の働き方の仕組みも整えておくと良いでしょう。
たとえばフルタイム勤務は難しいが、時短勤務であれば仕事を続けていきたいと考えている人は少なくありません。多様な働き方ができる環境を整えられれば、プライベートの時間も重視したいと考える層からの応募も期待できます。他の世代の従業員に対しても良い影響を与える仕組みとなり得ますので、ミドルシニア世代の確保をきっかけに環境整備を考えてみてください。

キャリアデザインを掲げる

ミドルシニア世代に対してもキャリアデザインを掲げることは大切です。自身に求められていることやゴール設定が明確になることは、モチベーションの向上につながるからです。
キャリアデザインは企業側が強引に掲げるのではなく、該当者とコミュニケーションを取りながら決めていくと良いでしょう。将来的な不安を抱えている人も少なくないため、サポート体制を整え、二人三脚で進めていくことが大切です。

リカレント教育をサポートする

リカレント教育とは、生涯を通じて学び続ける教育のことです。ミドルシニア世代の中には、これまでの経験における自信から、新たな学びは必要ないと考えている人も少なくありません。結果として、これまでの手法に固執してしまうことから、新たな場で活躍できない可能性が生まれてしまいます。
こうした事態を避けるためにも、セミナーの案内やゼミの受講、資格取得のサポートなどリカレント教育をサポートする体制の整備が大切です。新たなスキルの習得によって、より幅広い活躍が期待できます。仕事へのモチベーションにもつながるため、積極的にサポートすると良いでしょう。

ミドルシニア世代向けのおすすめ研修2選

ミドルシニア世代向けの研修としておすすめなものとして、以下の2つを紹介します。

  • モチベーションアップ研修
  • シニアマネジメント研修

それぞれの研修について解説していきます。

モチベーションアップ研修

前章でも解説したように、ミドルシニア世代は仕事に対するモチベーションが低下してしまうケースがあります。モチベーションの低下によって生産性も下がり、さらなるモチベーションの低下を招くという悪循環も懸念されます。
こうした事態を避けるために実施したいのがモチベーション研修です。自身のモチベーションを高める方法や、やりがいや達成感を得るためのノウハウなどを学べます。スキルが高くてもモチベーションが低くては、自社の力にはなりません。高い意欲を引き出せるような研修を準備すると良いでしょう。

シニアマネジメント研修

ミドルシニア世代を管理する管理職向けに行いたいのが、シニアマネジメント研修です。ミドルシニア世代が自分自身でモチベーションを上げるだけではなく、管理職が適切なマネジメントを行うことで、活躍してもらう土壌が整います。
ミドルシニア世代には、若手にはない経験や知見が多くあります。こうしたスキルを業務に活かしてもらうために、日々のコミュニケーションは大切です。良好な人間関係を築き、自社で活躍してもらうために、管理職向けの研修もおすすめです。

ミドルシニアが活躍するこれからの人材戦略

少子高齢化の波が押し寄せ、企業としてはミドルシニア世代が活躍できる環境の整備が事業発展に向けた課題の一つになっています。
ミドルシニア世代の人材確保はもちろんのこと、既存のミドルシニア世代の従業員に対しても自社で継続的に働いてもらえるような環境作りが必要です。
部署を移動しても活用できるポータブルスキルを認識する機会を提供したり、新部署を設置し、小規模でも利益を出す経験をしてもらったりするのも効果的です。これまでの経験のみでなんとなく業務に携わるのではなく、継続的に活躍してもらうための人材戦略が求められます。そのためには、さまざまな仕掛けを用意することが大切です。

まとめ

企業にとってミドルシニア世代の活用が必要不可欠な時代が、すぐそこまできています。経験豊富なミドルシニア世代を有効活用することは、企業の新たな発展のために欠かせません。
一方でミドルシニア世代の課題を認識し、対策することも大切です。人材確保と適切な環境づくりを連動させることで、自社の持続的な成長や採用時のアピールポイントにもなります。リカレント教育のサポートやキャリアデザインを掲げるためのコミュニケーションなど、できることから整えていくと良いでしょう。

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