人材育成プログラムという言葉をはじめて聞いた人も多いのではないでしょうか。人材育成を行っていくうえで「人材育成プログラム」は必要不可欠です。昨今、多くの企業が人材育成を課題にしています。他企業よりも効率よく質の良い人材育成を行うことができれば、将来的に自社の大きな強みとなるでしょう。
この記事では、人材育成を行う際に必要となる人材育成プログラムについてご紹介します。人材育成プログラムの概要やメリット、設計方法を解説していきますので、人材育成に力を入れたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
人材育成プログラムとは、人材育成を行う際に必要となる計画のことです。人材育成を行うにあたってどのようなプログラムを作成するのかは非常に重要となります。どのような人材を育成したいのか、対象となる社員は誰かなどを明確にして人材育成プログラムを作成しましょう。
ここからは、人材育成プログラムを作成するメリットについてご紹介します。人材育成プログラムのメリットは主に以下の4つです。
それぞれみていきましょう。
人材育成プログラムを作成することによって社員が目指すべき人物像が明確になるため、目標が立てやすくモチベーションも維持しやすくなります。また、明確な目的があると社員にも育成の大切さが意識されて、研修にも積極的に取り組むようになるため育成効果も高まります。
人材育成プログラムには育成に関する計画が細かく記載されています。「なにを」「だれに」「いつまでに」「どのようなやり方で」といった重要項目をすぐに確認できるため、人材育成の担当者が変わっても迅速に引き継げます。
人材育成プログラムを作成することによって育成状況を把握しやすくなるのもメリットです。育成状況の把握により課題になっていることはなにか、次に実施すべきことはなにかを認識できます。状況を整理しながら育成を進められることは、育成担当者の負担軽減につながり、自身の現状を理解しながら研修を受けられることは、社員の学習へのモチベーション向上、維持に役立つでしょう。
PDCAサイクルとは、業務活動の計画から改善までの一連の流れを繰り返し行うことです。PDCAサイクルには以下の意味があります。
PDCAサイクルを回すことで効率よく、より良い人材育成を進められます。
ここからは、人材育成プログラムの設計方法についてご紹介します。人材育成プログラムを作成する際に何から取り組んだらいいかわからない人もいるでしょう。人材育成プログラムを作成する際には以下の4つを意識しましょう。
それぞれみていきましょう。
企業が経営戦略を行っていくうえで必要となる人材を明確にしましょう。ここで重要なのは将来を見据えた視点です。現状の問題解決も重要ですが、その場限りのスキルや知識は将来役に立たなくなる可能性がありますから注意しましょう。
具体的な目標を立てることも重要です。「いつ」「どのくらい」「だれが」といった細かい部分までしっかり設定するようにしましょう。この際、高すぎる目標を立ててしまうと社員のモチベーションが低下するおそれがあるため、頑張れば達成できると社員が思えるレベルにすると良いでしょう。
必要な人材や目標を決めたら、実施する育成方法を考えます。必要なスキル、現状と理想のギャップ、本業との兼ね合いなど、さまざまな考慮すべきポイントがあります。本業と研修で社員の負担が大きくなる場合はオンライン研修を、新入社員など比較的時間に余裕がある社員は対面形式で行うなど、多様なケースを想定するようにしましょう。
ここからは、人材育成プログラムを設計する際の注意点についてご紹介します。人材育成プログラムを設計する際は以下のことを意識しましょう。
育成プログラムを作成する際は、現実とかけ離れた目標を立てないようにしましょう。高い目標や理想も大事ですが、現実離れしていると達成する可能性が下がり、社員のモチベーション低下につながります。時間もコストもかけたのに思うように人材が育たなかったという結果にならないように、適度な目標を立てるようにしましょう。
繰り返し改善していくことも忘れてはいけません。人材育成プログラムの作成当初は見えていなかった課題点が、実行したことで見えてくる場合もあります。人材育成プログラムを実行しフィードバックを行うことで、より良い人材育成プログラムへとアップデートできます。
ここからは、実際に企業がとり入れている人材育成プログラムの具体例をご紹介します。今回は以下の企業に絞りました。
それぞれみていきましょう。
ソフトバンクグループの人材育成プログラムは、新人だけではなく30代・40代の中堅層に向けても積極的に実施しています。新入社員など若い層向けの、仕事のやり方を教えるような人材育成プログラムとは異なり、中堅層向けの人材育成プログラムでは「キャリア研修」を中心に行います。
ある程度経験を積んで仕事になれてきた中堅層が、自身の今後のキャリアについて悩むケースも多いようです。そのため、ソフトバンクグループではキャリア研修で従業員それぞれが目指したいキャリアを明確にする人材育成プログラムを実施しています。意欲がある従業員にはキャリアアップの機会を与えることで、向上心が高い中堅層への育成に成功しているようです。
豊田合成が注力している人材育成プログラムは「自ら考えて行動に移せるグローバルな人材を育成すること」です。豊田合成は自動車の部品など、ものづくりを中心に世界的な取引を行っています。そのため、自発的にアイデアを出しそれを形作る行動力や、世界と取引できるグローバルな人材を必要としています。
豊田合成では、自社が求める人材を社内で育成するために、専門分野のスキルアップ支援制度を導入しています。とくにものづくりの場面では、専門分野に特化した人材が多いほど対応できる取引も増えます。従業員の能力を伸ばすための人材育成プログラムとしては非常に効果的な方法でしょう。
北上信用金庫が最も重要視している人材育成プログラムは、「地域の人に寄り添える人材を育成すること」です。銀行は地域の人々や中小企業との関わりが非常に重要です。地域の人に寄り添いながら一人ひとりにあった金融商品を紹介したり、地域産業を守るために融資などの相談に乗ったりと細やかな配慮が求められます。
そのため、利益だけではなく、地域住民や産業に寄り添った考え方ができる人材が必要です。北上信用金庫では、信用金庫に関する歴史や職員としての心構えなどを教育しています。また、自主的に成長できる環境を作るために、入社4年目までは通信講座や書籍の購入補助もあるようです。
この記事では、人材育成プログラムの作成方法やメリット、注意点をご紹介しました。人材育成を行っていくうえで人材育成プログラムは必要不可欠です。効率よく円滑に人材育成を進めるためにも、この記事を参考にしてみてください。