競合他社に負けないように企業を成長させていくには人材育成は欠かせません。昨今、日本では人材不足が深刻になってきており、問題視されています。そのため、人材育成には国や地方自治体も積極的に取り組んでおり、企業の人材育成への支援として補助金や助成金といった施策を行っています。
国や地方自治体だけでなく、企業も積極的にリスキリングなどの人材育成に取り組んでいます。この記事では、大手から中小まで、さまざまな人材育成企業をご紹介していきます。これから人材育成に力を入れていきたいと考えている人は、参考にしてください。
目次
大手企業はとくに人材育成に力を入れています。ここからは、大手企業の人材育成事例についてご紹介していきます。
企業によって重点を置いている点も特徴もさまざまですので、みていきましょう。
ニトリホールディングスでは、「社員に企業内を旅してもらう」というコンセプトを元に人材育成をしています。そのため、人材育成の段階でさまざまな仕事に携われるのが大きな特徴です。
たとえば、インターンシップの段階で商品開発に携われたり、社内に大学を作ったりと新入社員が楽しみながら教育を受けられる環境を整えています。ニトリホールディングスは生活用品などの販売を手がけているため、人々の生活を豊かにする新しいアイデアを生み出す能力が求められます。社員に社会課題の解決や社会貢献を意識するための価値観を根付かせるような人材育成を行い、さまざまなヒット商品を作り出すことに成功しています。
Yahoo! JAPANでは、「社員一人ひとりが才能を開花させ成長する機会を与える」ことをコンセプトに人材育成を行っています。具体的には、上司と部下が1対1で行う「1on1ミーティング」を積極的に取り入れています。評価面談とはことなり、週に一回を目安に頻繁に行われるもので、所要時間は30分ほどが多いでしょう。
このとき、上司は説教や指摘は行わないのが大きな特徴です。部下の仕事での悩みを聞き、部下の能力を引き出すために寄り添う姿勢が大切です。課題解決に向けて一緒に考えていくことで、指示されずとも課題解決できるようになる能力を引き出す人材育成方法です。Yahoo! JAPANではこの1on1ミーティングを取り入れることで、指示を待つのではない、自主性の高い人材の育成に成功しています。
スターバックスコーヒージャパンでは、以下の2種類の人材育成方法をメインで行っています。
価値観ワークとは、社員同士が尊重し合える環境を作るために行う人材育成です。社員同士の関係性などの職場環境は、会社全体の業績に大きく関わります。実力があったとしても協調性がなかったり、職場環境を乱してしまったりする人物がいると、離職率が上がり、いつまでも人材が育ちません。
とくにスターバックス社員の多くは店頭での接客業につきますから、店舗内の人間関係が非常に重要です。円滑な人間関係の構築のために、価値観ワークでお互いの価値観を共有し議論し合うことで、尊重し合える関係性を築く機会を作っています。
OJTとは、「On The Jobtraining」のことであり、実践を積みながら業務の知識を身につける人材育成方法です。たとえば店頭では、新入社員の横に先輩社員が立ち、実際にお客さんを相手にしてレジやドリンクの作り方などをトレーニングします。
実際に教わりながら業務をすることでマニュアルには載っていない知識が身につき、先輩・後輩社員との交流も必然的に深められるため、より良い職場環境が作られていきます。このような育成方法が、スターバックスコーヒー特有のあたたかい接客やおもてなしができる人材育成の成功につながっているのでしょう。
サントリーホールディングスでは、「トレーニー制度」と「次世代のリーダーを選出」することに力を入れています。
トレーニー制度とは、若手の社員を海外に出張させる制度で、グローバルに適応した人材の育成を目的としています。変化していく社会に求められるサービスを展開するには、固定観念を捨て、柔軟で新しい考えを持つ必要があります。日本と異なる文化でさまざまな人々と仕事をすることで、新しい価値観や物事に対する考え方を身に付けられるのです。
次世代リーダーの選出に関しては、すべてのグループ企業を巻き込んでの人材発掘で成果をあげています。2016年には、各グループ企業の人材やポジションの共有を行うために「グループタレントレビュー会議」を開催しました。グループ企業の垣根を超えて優秀な人材を発掘しキャリア構築をサポートする姿勢が、優秀な人材にいつまでも自社で働いてもらうことにつながっています。
積極的に人材育成に取り組んでいるのは大手企業だけではありません。数多くの中小企業も人材育成に取り組んでいます。ここからは、人材育成に取り組んでいる中小企業についてご紹介していきます。
中小企業だからこその取り組みもあります。それぞれみていきましょう。
株式会社山岡製作所は、金属部品や車載部品の製作を主に行っている企業です。「社員一人ひとりの競争力を高める」ことを人材育成の方針として「マンパワーUP活動」と「スキル・マネジメント教育」の2つを軸に取り組んでいます。
マンパワーUP活動とは、社員が自己のスキルアップを目指して目標を設定し、その達成に取り組む活動です。優秀な活動は全社員に披露され、表彰されます。
スキル・マネジメント教育とは、社員の知識や技能の向上を支援するための体系化した教育プログラムです。所属に関係なく自由に受講できるため、社員の会社に対する理解度も高まります。講師は資格を持つ社員が行い、教えるために学習することによって講師と受講者、両方の育成を図っています。
株式会社琉球光和は、主に医療機器を販売している企業です。株式会社琉球光和では、社員一人ひとりが経営者としての自覚を持てるように、年間の事業計画を社員の手により作成します。達成率によって評価が変わるため社員のモチベーション向上にもつながるほか、社員間のコミュニケーションも活発になります。
株式会社浅野製版所は、新聞や雑誌などのデザイン作成や印刷などを行っている企業です。株式会社浅野製版所では、役職に応じたビジネス系の社外研修を年に3回行っているほか、全社員を対象とした他社の講演会や管理職候補者対象の研修も年に2回実施するなど、数多くの取り組みを実施しています。
また新入社員に対しての育成にも力を入れており、内定時に面接所見や適性検査の結果などをすべて伝えます。新入社員一人ひとりに合った講師をそれぞれ配置することで、効率的な人材育成を可能にしています。
株式会社中村ガラスは、内装ガラス工事を行っている企業です。株式会社中村ガラスでは、「幸福共有」「人格向上」「社会貢献」を経営理念に掲げ人材育成に取り組んでいます。社員の資格取得を目指して社内で課題を出すことで日々技能を高め、定期的に講習会なども開催しています。それだけではなく技能グランプリに出場したり、半年にわたる外部研修を行ったりしています。
その結果、一級ガラス施工技能士や二級建築施工管理技士といった資格を取得するなどの実績を生み出しています。
ここまで人材育成企業についてご紹介してきましたが、企業によって取り組み方が異なり特徴があります。自分の企業にはどのような人材育成が合っているのか、他社と比較しながら検討することが重要です。人材育成を行う際には、この記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。