「docomo academy」がキャリアに関するモヤモヤを払拭するきっかけに。外の世界を知ることが、リスキリングを加速させる

公開日:2024.04.02 更新日:2024.04.02

社員の「学び」に力を入れるドコモグループは、一歩踏み出す勇気を育む企業内大学「docomo academy」を、2020年から毎年開校しています。年齢、性別、役職に関係なく、グループ社員であれば誰でも参加可能で、受講者は半年間かけて、自分が本気で取り組みたい事業案をつくります。多様なジャンルの著名人による外部講師講話、メンターとの壁打ち、役職・年齢・性別を完全シャッフルしたクラス制など、新しい刺激や気づきを得られるプログラム設計です。 2023年度のdocomo academy参加者である酒川 史さんに、プログラムに参加した背景や事業開発スキルのリスキリングについての考えをお話いただきました。


プロフィール

酒川 史
2006年、新卒で株式会社NTTPCコミュニケーションズに入社。法人営業を経て、2010年より法人向けインターネット接続サービス「InfoSphere」のプロダクトオーナーを担当。サービスの運営、モバイルサービス立ち上げ、NTT東西の光コラボレーションを活用した法人向けサービスの立ち上げなどに携わる。その後ISP事業者向けの卸提供ビジネスの担当を経て、2022年7月より2023年7月まで高齢者向けキャッシュレスサービスを提供するKAERU株式会社へ出向。現在はサービス企画部門の総括業務に従事。2023年10月からdocomo academyに参加。レッスン事業者のためのコミュニティツールをテーマにした事業案を検討中。

docomo academyを、新しいキャリアづくりのきっかけにしたい

――まずは、ご経歴についてお聞かせください。


私は、新卒で株式会社NTTPCコミュニケーションズに入社し、約3年間、法人営業に携わりました。その後、インターネット接続サービスのプロダクトオーナーを任され、そこから12年間同じ業務に携わりました。ゼロからサービスの企画開発をおこなうというより、すでにコンセプトが決まっているものをかたちにする業務に近く、「企画」とは名ばかりであることに、どこか引っかかる気持ちもありましたね。

そのような経緯もあり、2022年度に1年間「レンタル移籍」という制度を活用し、1年間、高齢者向けの金融サービスを展開するスタートアップ、KAERU株式会社へ出向しました。その後は、サービス企画部門の統括に任命され、部署の取りまとめをメインに担当しています。


――docomo academyに参加した背景を教えてください。


2023年6月まで実施していた、レンタル移籍での経験が大きかったです。これまで内勤の仕事が多く、顧客に会うといった、外の世界に触れる機会がほとんどありませんでした。しかし、KAERU株式会社にてユーザーとの対話を経験するなかで、外の世界と交流をもつことが、サービスをよりよくするには重要であると実感しました。そのようななか、docomo academyの募集を見つけ、自分が求めていたプログラムだと感じて応募をしたのです。とくに、外部講師の方を招いての講義に価値を感じました。

また、プログラムに応募した背景にはもう一つ、今のキャリアに閉塞感をおぼえていたことがあります。10年以上企画職でしたが、ゼロイチで新しいものをつくった経験がなく、このままでいいのかなという気持ちがあったのです。何か明確なロールモデルがあったわけではありません。ただ、40歳を迎えキャリアも折り返しに差し掛かるなかで、プロダクトをゼロから生み出せる力を手に入れたいと思い、docomo academyへの参加を決めました。

コミュニティでの会話が、毎日の癒しになった

――docomo academyに参加を決めてから、今に至るまでにどのようなフェーズの変化がありましたか?


私の場合は、入学初日から、ずっと楽しく参加をさせてもらっています。とくにありがたいのは、自社で働いているだけでは出会えなかった人と交流ができることです。私にとっては知っている人がほとんどいない環境ですが、入学式で初めて出会った方々と仲良くなり、飲みにも行って、新しい人間関係がつくれました。

チャットツールを介したコミュニケーションも楽しかったです。普段は業務上のやり取りだけで、雑談のようなコミュニケーションはほとんどありません。一方、docomo academyのコミュニティでは、誰もが普段の仕事とは関係ない内容を投稿でき、その投稿に対して多くの人たちがリアクションをします。docomo academyメンバーとの会話は、毎日の仕事の癒しになっていましたね。


――酒川さんの場合は、外部講師との交流で世界を広げることが、docomo academyに参加した理由の一つでした。狙い通りにいったのでしょうか?


はい。第一線で活躍されている方々の話を毎週のように聞き、新しい発見や価値観の変化がありました。

たとえば、イノベーションにつながる場づくりに取り組む、株式会社ウィズグループの奥田 浩美さんは「未来から来た」と自己紹介で言うそうです。今取り組んでいるサービスや機能は、数年後に誰かを幸せにしているもので、そのような未来から戻ってきたつもりで、目の前の仕事に臨んでいるとのことでした。不思議な言い回しですが、考えてみれば今の仕事の積み重ねが未来になるわけで、自分も、未来をつくる一因なのだと発見がありました。

教育アントレプレナーの小林 りんさんは「悲観は気分、楽観は意思」と言っていました。厳しい現実に直面してネガティブな感情に陥っても、それは気分でしかなく、自分の意思で楽観視することもできるとのことでした。困難に直面したときは、その言葉を思い出しながら仕事をしています。

ユーザーインタビューを重ね、顧客から求められるサービスにブラッシュアップ

――事業案づくりはどのように進めていったのでしょうか?


プログラム開始から2ヶ月ほど経ったころ、本格的に事業案づくりに取り組み始めました。docomo academyの卒業生で、一度事業づくりを経験しているメンターと1on1を重ね、自分が本当に取り組みたいと思えるテーマは何なのか、考えるところから始めました。

当時私が考えていたのは、ダンスやヨガなどレッスンサービスを提供している個人事業者向けのプラットフォームづくりでした。場所の予約が簡単にできたり、月謝の回収がスムーズにできたりと、レッスンの先生たちが求める機能がすべて揃っているプラットフォームをつくれれば、需要があると考えたのです。フィードバックをもらうためにdocomo academyの同期にアンケートをお願いしたり、近い領域でビジネスを展開している方々へ話を聞きに行ったりし、少しずつビジネスモデルを構築していきました。

しかし、12月の中間発表を経てからは、方向性をプラットフォームからコミュニケーションツールへと修正しました。ユーザーインタビューを開始し、サービスのターゲットである先生方に話を聞くうちに、コミュニケーションに課題を感じていることがわかったからです。生徒とのコミュニケーションにはInstagramやLINEをよく活用するそうですが、一人ひとりとやり取りをするには管理が大変で、さらに最適なツールはないかと探していました。月謝の回収や場所の予約など、必要な機能はそのまま残しつつ、スムーズなコミュニケーションに特化をしてサービス設計をし直すことにしたのです。

会社の外にある「おもしろさ」に気づくことが、リスキリングの最初の一歩

――docomo academyがテーマとして掲げる「イノベーション」「変革人材」において、プログラムを通して得られたことについて教えてください。


docomo academyでは「行動あるのみ」「発信は大切」などマインド的な部分の学びが多かった一方、スキル面では「ユーザーインタビューのやり方」が私にとっては大きな学びでした。

ちょうど同時期に既存サービスのリブランディングプロジェクトに携わるようになり、そこでdocomo academyでの学びが活用できました。NTTPCコミュニケーションズのメンバーの多くは、そこまでユーザーインタビューの経験はなく、 docomo academyでの学びがあったからこそ私 からリードして進めることができたのかなと思います。docomo academyでの活動を通して知り合ったドコモグループのメンバーにも協力してもらい、広がった人脈を本業に活かすことができました。


――酒川さんの場合は、プロダクトづくりの知見を手に入れたいというモチベーションもあったかと思います。その点に関しては、学びはあったのでしょうか?


ありました。何もないところから自分のやりたいことを見つけ、それを事業に落とし込む、という一連のプロセスについて、身をもって学べたと思います。普段の業務では得られない経験で、大きな財産になりました。


――事業開発分野でのリスキリングを考えている方に、アドバイスをお願いします。


一つの仕事を長く続けると、今の環境が居心地よくなって、挑戦する必要性を感じにくくなります。それでも、心のどこかに「これでいいんだっけ」とモヤモヤを抱えている人は、ぜひ外の世界を知るために、一歩踏み出してもらえるといいのではないでしょうか。今私は、docomo academyに参加する前よりも前向きに仕事に取り組めています。それは外の世界を知り、自分の仕事の価値やおもしろさを客観的にとらえられるようになったことが大きいです。

もっとおもしろい世界がある、もっとおもしろい人がいると知ってもらえれば、何を学ぶべきかも見えてきます。整った環境のなかで新しい挑戦を始めることは勇気のいることですが、その最初の一歩として、知ることから始めてもらえるといいのかなと思います。


――最後に、今後の展望についてお聞かせください。


事業案を通して改めて感じた「人をエンパワメントして社会を明るくする」という自分自身の「Will」を軸に、自社を変革するアクションをしていきたいです。
docomo academy自体は2023年10月から始まって、翌年3月には終わってしまいます。その先、事業を続けるのかは当人に任されており、私の場合は、できる範囲で小さく立ち上げることがいいのかなと思っています。会社の枠にとらわれず、docomo academyを通して培ったグループ全体の人脈を生かして、仲間を見つけたいです。

また、プログラム参加により手に入れた人脈は事業開発に限らず、どんどん活用するつもりです。せっかくできたつながりを、自分自身のキャリアを豊かにするためだけでなく、本業やドコモグループ全体に還元するためにも積極的に活用できればと思っています。

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