バックオフィスDXとは?推進するメリットや活用できるサービスを紹介

公開日:2023.06.08 更新日:2023.06.08

経理や人事、総務などのバックオフィス業務は、企業活動を円滑に回すためになくてはならない部門です。

一方で、こうしたバックオフィス業務は無駄なプロセスが発生しやすく、非効率を放っておくと会社全体の生産性を低下させてしまう恐れがあります。

そこで今回は、バックオフィスDXをテーマに、バックオフィスのDXを進めるメリットや活用できるサービスについて詳しく解説していきます。

バックオフィスDXとは

「バックオフィス」とは、経理、人事、総務など、顧客との直接的な関わりがほとんどない内部管理業務の総称です。バックオフィスの対概念に「フロントオフィス」があり、顧客と直接コミュニケーションが発生する営業職やカスタマーサポート部門を指して、そのように呼びます。

バックオフィスDXとは、デジタル技術を駆使して、業務プロセスの最適化を図る取り組みのことです。たとえば、ITツールの導入、データの活用、業務の自動化などを通じて、業務の効率化を図り、組織の生産性向上につなげます。バックオフィスDXは、ビジネスの競争力強化に不可欠な要素となっており、多くの企業が積極的に取り組んでいます。

バックオフィスのDX関連の課題とバックオフィスDXが必要な背景

まずは、バックオフィスのDXに関する課題と、バックオフィスにDXが必要とされる背景について解説していきます。

バックオフィスのDX関連の課題

バックオフィスのDX関連の課題としては、まず、データの煩雑な管理があげられます。データの蓄積量が増えるにつれ、その管理が困難になる場合があります。また、データの整合性や品質の問題も発生しやすくなるため、データの管理や運用に特化した部門や業務プロセスが求められます。

また、デジタル技術を活用する人材の不足も課題の一つです。バックオフィスDXを目指してデジタル技術を活用するためには、IT技術を理解し、使いこなす人材が必要です。しかし、そのような人材は今や多くの業界から必要とされています。採用や育成は容易ではなく、課題を抱える企業もあります。

バックオフィスDXが必要な背景

現在、企業が生き残るためには、迅速かつ正確な意思決定の重要性が増していますが、従来のような手作業による業務では業務プロセスの効率化には限界がありました。
このような中で、デジタル技術の進歩によって、業務プロセスの自動化や情報システムの導入が進み、業務の効率化が図られるようになってきました。こうした取り組みによって、企業はより迅速かつ正確に業務を行い、競争優位性が確保できるようになっています。
ただし、デジタル技術の活用によって解決できる課題には限界があり、新たな問題が生じるケースもあります。たとえば、先にあげたようなデータ管理の煩雑さや、既存システムとの整合性の難しさがあげられます。
こうした課題に対応するために、バックオフィスDXが注目されています。バックオフィスDXは、単にオフィス業務をデジタル化するだけでなく、デジタル化によって得たデータを有効活用し、企業の競争力をさらに強化するために行われます。

バックオフィスDXを推進するメリット

バックオフィスDXを進めることで、業務プロセスの最適化が図られ、以下のようなメリットが得られます。

業務の効率化・生産性の向上

バックオフィス業務のDXを進めることで、業務効率化・生産性向上が図れます。
バックオフィス業務はある程度ルーティン化された業務が多いため、デジタルツールの導入・代替にも非常に適した領域といえます。人の手や目による作業や確認では、効率化したくとも限界があった業務も、DXを導入すれば大幅な効率化が実現できます。
また、DXによりバックオフィス業務を効率化できれば、スタッフをより重要度の高い管理業務やマネジメント業務、新規の業務にアサインできるようになり、社内の人材活用にも貢献できます。

コスト削減

アナログな方法で非効率なバックオフィス業務を続けていると、社内の人手を多く割かなければならないため、高い人件費が必要になります。また、紙ベースで労務管理を行っている場合、備品購入費もかさんでしまいます。
DXにより各従業員の業務負荷を削減できれば、従来より少人数で足りるため、人的コストの削減が可能になります。
デジタル化によりペーパーレス化を実現すれば、備品などの費用も節約できます。

テレワーク・リモートワークへの対応

クラウド化やペーパーレス化によって職場のデジタル環境が整うと、テレワーク・リモートワークなど、従業員の自由な働き方を認めやすくなります。特に昨今の新卒・転職市場では、リモートワークを前提とした求職者が増加しており、採用力強化のためにはリモートワーク環境の整備が必須といえます。

バックオフィスのDXを推進することで、バックオフィス業務担当の従業員も全国から採用しやすくなり、人手不足の問題も軽減されます。

バックオフィスDXの事例

次に、バックオフィス業務のDX事例を具体的に見ていきましょう。

ビール会社のRPA導入

RPA(Robotic Process Automation)とは、ソフトウエアロボットによる業務自動化を指します。大手ビール会社のサッポロ、アサヒ、キリンは同時期にRPAを導入し、膨大なバックオフィス業務を削減することに成功しています。

サッポロビールでは、これまで商品を卸す小売業者ごとにPOSデータをダウンロードする必要があり、これが長時間労働の原因になっていました。

そこで同社はPOSデータのダウンロード業務にRPAを導入しました。これにより4万5000時間の業務時間削減を見込んでいます。

【わかさ生活】労務管理のペーパーレス化を実現

健康食品を販売する株式会社わかさ生活では、テレワーク推進を目指した社内のペーパーレス化を実現させています。

同社では、従来から労務管理において年間4000枚の書類を消費しており、これが業務を煩雑にし、保管場所の確保を難しくしていました。

さらにコロナ禍に突入したことで、これまでの働き方の見直しが求められるようになります。

そこで同社では、従業員のテレワークを推進するため、業務フローの見直しやペーパーレス化を推進していきました。

これにより、これまで約2週間かかっていた入社手続きを1時間で完了できるようになるなど、労務管理にかかる業務時間を大幅に削減することに成功しています。

バックオフィスDXに活用できるサービス

バックオフィスDXはデジタル技術を活用して業務プロセスの最適化を図る取り組みであり、ワークフローシステム、ビジネスインテリジェンスツール、RPA、クラウドサービスなどのサービスが活用されます。それぞれの特徴について詳しく解説していきます。

ワークフローシステム【コラボフロー】

ワークフローシステムは、業務プロセスの自動化や統合を実現するためのシステムで、各部署で行われている業務の流れを可視化し、効率化することができます。

また、業務プロセスの改善や統合を行うことで、業務品質の向上にも寄与します。ワークフローシステムには、さまざまな種類があり、企業の業務に合わせたカスタマイズも可能です。

株式会社コラボスタイルが提供する「コラボフロー」では、Excelと連携できるワークフローシステムに強みを持っており、既存のExcelを使い続けたい企業におすすめです。

具体的には、ExcelファイルをWebフォームに変換し、社内で使用する各種申請書の作成が可能です。また、承認段階に応じて入力する項目を調整できたり、追記内容を自動で判別できたりする機能も備わっています。

BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)【LaKeel BI】

BIツールは、データ分析やビジュアライゼーションによって、業務プロセスの可視化や改善を支援するツールで、業務プロセスの課題を特定し、改善計画を立案するのに役立ちます。
また、データの活用による新たなビジネスチャンスの発掘といった面でも、BIツールは期待できます。

株式会社ラキールが提供する「LaKeel BI」は、データ分析のノウハウや知識がなくても、豊富なテンプレートを選択するだけで簡単にデータの抽出やデータ・ビジュアライゼーションができるBIツールです。
社内のリソースが厳しい会社でも、データに基づいて客観的に業務プロセスの改善ができます。

RPA(Robotic Process Automation)【WinActor】

RPAは、人間が行うルーティン業務を自動化するためのテクノロジーです。たとえば、データ入力や書類の整理などの業務を自動化し、人的ミスの減少や業務効率化を図ることができます。

業務の自動化によって生じる余裕を、より高度な業務に活用できるようになるため、業務プロセスの改善にもつながります。

NTTアドバンステクノロジ株式会社が提供する「WinActor」は、Windows上でデータ入力や書類整理などの作業が可能で、複数システム間の情報連携もできます。現在までに7,500社以上が導入している実績があり、日常のルーティンを自動化・効率化してくれます。

クラウドサービス【ジョブカン経費精算】

クラウドサービスは、データの保管や共有、アプリケーションの提供などをクラウド上で行い、業務プロセスの最適化を支援するサービスです。クラウドサービスを活用すれば、データの共有や業務の柔軟性が向上します。また、社内のITインフラの費用削減や運用の効率化にもつながります。
これらのサービスを組み合わせることで、より高度な業務プロセスの最適化が可能になります。
ただし、サービスの導入にはコストや導入期間などの課題もあります。導入前に十分な検討が必要です。

バックオフィス向けのクラウドサービスとしては、たとえば、株式会社DONUTSの「ジョブカン経費精算」があります。
ジョブカン経費精算は、あらゆる経理業務を自動化できる経費精算システムです。乗換案内サービスとの連携もできるため、交通費の精算も迅速化でき、バックオフィス業務が劇的に効率化します。

まとめ

これまで見てきたように、バックオフィス業務のDXは会社の業務効率化、人材の有効活用に大いに貢献します。

また、バックオフィス業務は比較的ルーティンワークが多いことから、DXと相性の良い領域が多く、非効率な業務はすぐに改善できる点がメリットとしてあげられます。

今回ご紹介したバックオフィスDXに活用できるサービスを参考に、ぜひ社内のDXを検討してください。

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