「人材育成に向けた考え方を知りたい」「人材育成の目標を設定する際の考え方とは?」などと悩んでいませんか?
人材育成に力を入れたい人の中には、手順や導入に向けた考え方を知りたい人も多いかと思います。
企業の経営戦略によって、人材育成の考え方や目標設定方法は異なります。社員の育成方法はさまざまですが、将来的にどんな人材の確保を目指したいかを明確にすることが大切です。
本記事では人材育成の考え方や目的、目標設定方法について解説していきます。企業が必要とする社員に育てるための方法や課題もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
企業の人材育成を考えるうえで大切なことは、目的の明確化です。何のために人材育成を行うのか理解しておかなくては、社内でも方向性がブレてしまう恐れもあります。
一般的には人材育成を行う目的は、以下の通りです。
それぞれ詳しく解説します。
人材育成を導入する目的の1つに、「社員の作業効率を上げる」ことがあります。業務に必要なスキルを社員に身につけてもらい、効率よく仕事を進められるようにします。
さらに、業務がスムーズに完了することで社員が感じる達成感も大きくなり、モチベーションの向上にもつながります。
利益の最大化を目的として人材育成に力を入れる企業も多くあります。効率的かつ効果的に業務を進められるようになれば、企業の競争力が高まり、利益の最大化を目指せます。
また、既存の社員が今後の経営戦略において重要な役割を担う立場となる可能性もあります。貴重な経営資源の一つでもある人材の育成は、企業が取り組むべき最重要課題と言えるでしょう。
DX時代の到来によって、社員全体のスキル向上や体制の見直しを目的として、人材育成に目を向ける企業が増えています。デジタル化やDXが進みビジネスモデルが大きく変化する現代において、スキルの学び直しは大切です。
DX時代に即した新しいスキル獲得のためにリスキリングを導入する企業も増え、従来定めていた役割の見直しも図られています。変化する時代への対応を見据えて、社員だけでなく指導者の育成に力を入れている企業も多くあります。
人材育成の手法として、以下の3つが有名です。
OJTは普段の業務を通じた指導によって所属意識を高める効果があり、企業と社員の関係性を深めることに役立ちます。Off-JTは外部での研修がメインとはなるものの、自社では学べない分野の知識やスキルの習得が可能です。
SDは自らセミナーを受講したり書籍で勉強をするため、主体的に動ける社員を増やすことにつながります。企業の経営戦略や育成する内容、社員のモチベーションによって選ぶべき手法は異なるため、導入する際には注意しましょう。
人材育成を進めるとき、目標はどのように設定するのでしょうか。具体的な設定方法をまとめると以下の通りです。
それぞれ詳しく解説します。
人材育成を進めるときには、社員だけでなく企業全体の目標数値の設定が大切です。たとえば、年間売上20%上昇を目指すのであれば、逆算して今取り組むべき業務の目標数値を割り出すとわかりやすくなります。
目に見える形で数値を割り出しつつ、目標値に向けてどんな行動が必要かも明らかにすると良いでしょう。はっきりとした行動目標があれば、社員自らが常に目標を意識して日々の業務に励むようになります。
人材育成にどれくらいの期間がかかるのか、具体的に提示しましょう。期間があいまいで先のことが不透明な状態だと、育成期間中に社員のモチベーションが低下するおそれもあります。
育成にかける期間や時間を決めつつ、目標を定めることが大切です。組織全体のパフォーマンス向上を目指すためにも、将来的なビジョンを社員と共有しましょう。
人材育成を始めるにあたって、社員一人ひとりとの交流を増やすことは非常に重要です。なぜ人材育成に励むのかという明確な理由を伝えているかどうかで、社員が自分ごととしてとらえ、主体的に動けるようになるかどうかが変わってきます。
共通認識を持たない状態で人材育成を行っても、育成される社員は目的意識を持つことが難しくなります。結果的に育成が思うように進まないうえに、日々の業務におけるパフォーマンスの低下につながるケースもありますから、常に社員との意見交換を心がけましょう。
企業全体で人材育成力を高めていきたいのであれば、指導者側の育成にも力を入れましょう。指導者としてのスキルを持ち合わせた人が増えれば、経営戦略に沿った形での継続的な人材育成が期待できます。
ただし、指導者側となるような立場の社員は日々の業務が立て込んでいることも多く、そのうえで育成スキルを身につけたり、指導したりするとなると相当な負担がかかってしまいます。人材育成に専念してもらえるように他の社員に仕事を割りふれる環境を整えるなど、企業側の配慮が必要です。
社員のモチベーションを維持するためにも、人材育成で得た学びを実践する機会を設けましょう。スキルを習得した社員が、学んだことは本当に役に立つのか疑問を持っている場合もあります。
そのため、学んだ内容を実践できる場が必要となります。実践の場で身につけた学びが役に立つ経験をすることで、社員のモチベーションは高まります。
企業にて人材育成を行う際には、以下の順番で進めていきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
まずは、現場が抱える現状の課題点を把握しましょう。人材育成においてどんな課題があるかを知ることで、必要なスキルや知識、人材が判明します。
人材の現状について把握し、現場の声を参考にしながら今後必要だと思われる研修や教育内容を決めましょう。
次に、経営戦略の整理やギャップ分析を行いましょう。今後の経営方針によって必要な人材は異なるため、状況の整理をすることが大切です。
また、ギャップ分析を行うことで、理念の実現を達成するためには何が必要かを把握できます。現状に不足するものの把握は課題の明確化につながり、取り組むべき施策の立案にも役立つでしょう。
次に、プログラムの計画を立てていきましょう。人材育成を進める際に重要なのは、長期的・短期的な目線による目標値の設定です。
いつまでに何を行うのか、どういう状態を目指すのかを明確にします。予算や工数を考慮しながら、最適なプログラムを検討しましょう。
形で運用していくか、制度化・仕組み化できるように考えていきましょう。
制度を定着させるためには、人材育成担当者との意見交換が大切です。マニュアルの制作や社員への継続した周知により、定めた目標に近づいていきます。
人材育成を始めたら、必ず効果の測定と振り返りを行いましょう。どれだけの効果があったかを数値として分析すれば、改善すべき点も見えてきます。
他にも、アンケートや面談を実施して直接的な意見を聞くことも大切です。問題点が見つかったら、次に打つ施策について人材育成担当者と話し合いをしましょう。
人材育成を進めていくにあたって、どのような課題が考えられるのでしょうか。具体的な課題例をまとめると以下の通りです。
それぞれについて解決策と一緒に解説します。
人材育成を行う場合、育成する側の業務量が増加します。普段の業務に加えて人材育成の時間も割り当てるとなると、時間の確保は容易にはできません。
時間に余裕がないと人材育成は後回しにされてしまいます。そうならないためにも、企業側は育成担当者の業務量を調整するといった対策を施す必要があります。
いざ人材育成をはじめようと思っても、育成能力のある役職者がいるとは限りません。人材育成のためのプログラムを導入するなら、育成する側となる役職者のスキル向上も目指す必要があります。
そもそも人材育成の重要性が共有できていないと、「本来の業務ではない」という理由から、育成に力を注がない役職者もでてくるかもしれません。まずは人材育成の重要性を理解してもらうことが大切です。そのうえで、積極的に育成スキルを身につけてもらえるように、施策に取り組める環境を作りましょう。
人材育成に力を注ぎたい企業側の思いとは裏腹に、育成に対して批判的な意見を持つ社員もいます。学ぶ意欲が低い状態で人材育成を行ったとしても、大きな結果は得られないでしょう。
社員の意欲を引き出すためにも、普段からコミュニケーションは必要不可欠です。新しいスキルを身につけた後にはどんな未来が待っているのか、仕事のやりがいも踏まえての話し合いが大切です。
企業の経営戦略によって、人材育成の考え方や目標設定方法は異なります。社員の育成方法はさまざまですが、将来的にどんな人材の確保を目指したいかを明確にすることが大切です。
本記事を参考にして、人材育成に対する考え方を見直してみてはいかがでしょうか。