スキルタクソノミーとは?労働市場の共通言語となるスキル分類とその重要性

公開日:2023.07.03 更新日:2023.07.03

スキルタクソノミーとは

スキルタクソノミーは、労働者が持つスキルを体系化し、国家や地域のレベルで共有・理解することを目的としたフレームワークです。これにより、人々がどのようなテクノロジーやデジタルサービスを利用できるかを評価し、労働市場全体でスキルの共通認識を促進することが可能になります。欧州を中心に展開されているSkills Taxonomyは、スキルを体系的に分類し、コンピテンシー(優れた成果を発揮する人物に共通する行動特性)のレイヤーをレベル1から5までに分類しています。各国・産業・企業・教育・個人のレベルでスキルに基づいた報酬体系や労働移動、昇進昇格、学習コンテンツ体系づくりなどが進められることが推奨されています。

スキル分類の可視化、共有化が必要になる背景

高度なデジタル技術を活用した経済活動や企業活動では、「スキル」が重要な要素となっています。個々の労働者がどのようなスキルを持っているかを明確にすることで、労働・教育政策の決定や労働市場全体のスキルマッチングが容易になります。技術的失業が進行している企業や失業者への支援も、スキル可視化と共有化が求められています。

例として、カナダの教育テクノロジー企業SkyHiveは、従業員の保有スキルの可視化や、将来習得すべきスキルの推薦、必要な学習コンテンツの提供を行っています。同社はカナダ政府と提携し、スキル可視化や学習コンテンツの提供、再就職支援を行う「Skills Passport」サービスを展開しており、政策決定においても貴重な情報源となっています。

このように、スキルタクソノミーやスキルの可視化・共有化は、今後ますます重要性を増すとされており、政府や国家がリーダーシップを取ることが求められています。

企業での活用方法

企業でスキルタクソノミーを活用する方法は以下の通りです。

  1. スキルインベントリの作成

まず、従業員が持つスキルや企業が求めるスキルをリストアップし、それらを分類します。このプロセスでは、従業員へのアンケートや職務内容の分析が有効です。また、業界や職種ごとのスキル基準を参考にする際にも役立ちます。

  1. スキルギャップの分析

スキルインベントリを基に、従業員が持つスキルと企業が求めるスキルのギャップを分析します。この分析結果をもとに、研修プログラムやリスキリングの計画を立てることができます。

  1. 人材配置の最適化

スキルタクソノミーを活用して、従業員の適性を把握し、適切なポジションに配置します。これにより、企業全体の生産性向上や離職率の低減が期待できます。

  1. 社内コラボレーションの促進

スキルタクソノミーを共有することで、従業員同士が互いのスキルを理解しやすくなり、チームワークや異業種間のコラボレーションが円滑に進むようになります。

  1. 採用戦略の改善

スキルタクソノミーを活用して、求めるスキルを明確にすることで、より効果的な採用活動が行えます。また、応募者のスキルを評価しやすくなり、適切な人材を採用する確率が高まります。

海外事例

スキルタクソノミーは、世界各地で活用されている事例があります。以下にその一例を紹介します。

IBM「New Collar Jobs」

 IBMは、従業員のスキルタクソノミーを活用して、従来の職種にとらわれない新しいキャリアパスを提案しています。これにより、従業員が自身のスキルを活かしやすい職種への転職が促され、生産性向上につながっています。

シンガポール政府「SkillsFuture」

シンガポール政府は、国民全体のスキルタクソノミーを作成し、個人のスキル向上や経済発展に役立てています。この取り組みにより、市民が自分のスキルやキャリアを見直す機会が提供され、雇用の質が向上しています。

以上のように、スキルタクソノミーは、企業や国のレベルで幅広く活用されています。これらの事例からもわかるように、スキルタクソノミーを導入することで、人材育成や組織運営の効率化、市場競争力の向上が期待できます。

企業の人材育成担当者は、スキルタクソノミーを理解し、自社に適した取り組みを見つけることが重要です。まずは、従業員のスキルをリストアップし、そのうえでスキルギャップの分析や人材配置の最適化に取り組むことがおすすめです。他企業や国の事例を参考にしながら、独自のスキルタクソノミーを構築し、組織全体の競争力向上につなげましょう。

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