定義済スキル標準とは?企業の人材育成戦略に役立つスキル標準化のポイントと活用法

公開日:2023.07.07 更新日:2023.09.10

定義済スキル標準(iCD)とは

定義済スキル標準(iCD: Industry-defined Competency Dictionary)とは、業界固有のスキルや職能を明確に定義した標準です。これにより、企業が従業員の能力を評価し、人材育成プログラムを効果的に実施することができます。iCDは、企業が求めるスキルセットと従業員の現在のスキルレベルのギャップを把握し、研修やリスキリングを計画する上で重要なツールです。

企業内でスキルの標準化が求められる背景

近年、技術の進歩やグローバル化に伴い、企業が求めるスキルや知識が急速に変化しています。この変化に対応するためには、企業内でスキルの標準化が重要となります。以下は、スキル標準化が求められる主な理由です。

  • 効果的な人材育成

スキル標準化により、企業は従業員の能力を客観的に評価し、必要な研修やリスキリングを適切に提供することができます。

  • 人材の柔軟な配置

スキル標準化により、企業は従業員のスキルや経験を正確に把握し、適切な職務に配置することが可能になります。

  • 業界の競争力向上

業界全体でスキル標準が整備されることで、業界全体の人材力が向上し、競争力が高まります。

定義済スキル標準の具体例

定義済スキル標準にはさまざまな業界や職種に特化したものが存在します。以下に、いくつかの具体例を紹介します。

  • ITスキル標準(ITSS)

IT業界におけるスキルの要件をカバーする標準で、プログラミング言語の知識、システム設計・開発能力、セキュリティ管理などの技術スキルが含まれます。

  • 知的財産人材スキル標準

知的財産(IP)に関するスキルを定義した標準で、特許出願手続き、技術情報分析、契約交渉などの専門知識が対象となります。

  • リサーチ・アドミニストレーター(URA)スキル標準

研究活動を支援するリサーチ・アドミニストレーターのスキルを明確化する標準で、研究費の獲得支援、研究成果の活用促進、研究倫理などが対象です。

  • ロボットSIerスキル標準

ロボットシステムの設計・開発・運用に必要なスキルを定義した標準で、ロボットの機械設計、制御技術、システムインテグレーションなどが含まれます。

  • iコンピテンシ・ディクショナリ(iCD)

企業ごとの業務や役割に応じたスキル標準を定義するためのフレームワークで、組織内で求められるスキルセットや職務内容をカスタマイズして設定できます。

これらの具体例からも分かるように、定義済スキル標準は業界や職種に特化したものが多く、企業は自社のニーズに合わせて適切なスキル標準を選択・活用することができます。また、独自の業務内容や職務に応じてカスタマイズ可能な標準も存在し、柔軟に取り入れることが可能です。

企業内での定義済スキル標準(iCD)の活用方法と注意点

活用方法

  • スキルギャップ分析

iCDを使用して、従業員の現在のスキルと企業が求めるスキルとのギャップを分析し、適切な研修やリスキリングプログラムを計画します。

  • 人事評価制度の見直し

iCDを基に、従業員の評価基準を見直し、スキルに基づく客観的な評価を実施します。

  • 適性配置
  • 従業員のスキルをiCDを用いて把握し、適切な職務に配置します。

注意点

  • 業界の動向に合わせた更新

スキル標準は業界の動向によって変化するため、定期的に見直しを行い、最新のスキル要件に対応する必要があります。

  • 従業員への説明と理解促進

iCDの導入に際して、従業員にその目的や評価基準を十分に説明し、理解を促すことが重要です。

  • 個々の従業員の特性を考慮

iCDはあくまで基準であり、個々の従業員の特性や適性を無視しないよう注意が必要です。従業員のモチベーションやキャリアプランにも配慮しましょう。

定義済スキル標準(iCD)は、企業の人材育成戦略において重要なツールとなります。企業内でスキル標準化を推進し、効果的な人材育成、適性配置を実現できれば、組織全体の競争力を向上させることができます。ただし、業界の動向や従業員の個性に対応した運用が必要であるため、適切な更新やコミュニケーションが重要です。

定義済スキル標準(iCD)を活用した取り組み

企業は、定義済スキル標準(iCD)を活用して、次のような取り組みを行うことができます。

  • メンター制度の導入

経験豊富な従業員が、新入社員やスキル向上を目指す従業員に対して指導やアドバイスを行い、スキル標準に沿った育成を支援します。

  • 社内研修の充実

定義済スキル標準に基づいて、社内研修プログラムを充実させ、従業員が求められるスキルを習得できる環境を整えます。

  • 外部研修や資格取得の支援

企業は、従業員が業界のスキル標準に沿った外部研修や資格取得を行えるよう、支援策を整備します。これにより、従業員のスキル向上を促し、企業全体の競争力が高められます。

最後に、定義済スキル標準(iCD)の導入や活用にあたっては、組織全体で取り組むことが重要です。経営陣や人事部だけでなく、各部門や従業員が協力し合い、スキル標準に沿った人材育成を実現することで、企業の競争力を維持・向上させられます。スキル標準化は、組織の持続的な成長に向けた取り組みであり、今後ますます重要性が高まると考えられます。

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